「ネットとリアルの未来とは」 質疑応答 

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別井:そろそろ会場から質問を受けよう。(45:57)

会場A:創業時はレッドオーシャンにブルーを垂らすという戦い方で勝つこともできると思うが、成長ステージが変わる今後はどんな戦略が必要だとお考えだろう。(46:53)

岩佐:InternetofThings(以下、IOT)にもどこかに限りがあるかもしれないけれど、僕らからするとほぼ限りなく赤い海がまだ広がっている。結局、そこにブルーの一滴を垂らすスポイトのような部隊を5〜10部隊編成するか、500〜5000部隊編成するか。それだけの勝負であり、単純なスケールが可能だと思う。椅子、机、靴、デニム、ベルト、照明、スクリーン、等々…、本会場にあるだけで数百種類のモノがあるけれども、インターネットにつながっている靴やデニムや眼鏡はない。だから、そこにブルーの水滴を落とす部隊を大量編成していくというのがご質問へのお答えになる。スペシャルフォースのような4人1組のチームを500チームほど作って攻める戦略だ。(47:45)

秋好:アメリカの公的機関が発表している「2020年の働き方」といったレポートによると、何十億ものホワイトカラーが現在担っている仕事の3分の1は、2020年、デバイスの進化に伴ってオンラインの労働力になるという。僕たちランサーズとしてはオンラインで働くという領域にこだわって、その3分の1のプラットフォームになりたい。それで2020年までに、日本だけじゃなくグローバルでおよそ1000万人がランサーズでなんらかの報酬を得ている状態を作りたいと。今でも月に1万人弱はランサーズでなんらかの報酬を得ているから、それも夢物語ではないと思う。その結果として、人類全体で可処分時間を増やすという形で社会貢献していきたい。きれいごとかもしれないが。(49:44)

別井:IOTで今までネットワークと無縁だったものがつながるということは、リアルでいろいろなモノがもっとつながるという話だし、その逆もまた然りだと思う。今はOtoOと言っても片方向のマーケティングだけれど、今後はオンラインtoオフラインに加えてオフラインtoオンラインという風に、常時いろいろな形で生まれていく時代になる。その辺を自覚しないと、「ゼロ10」というのもできないような気がする。(51:01)

岩佐:今までオンラインでやっていた人はオフラインが苦手だったし、オフラインでやっていた人はオンラインが苦手だった。僕はそこにブルーオーシャンの一滴があると考えている。うちはオフラインからオンラインに行っている会社だけれど、逆の会社も今後は出る。その意味でも面白いし、今後2〜3年が大きく動くタイミングだ。(51:46)

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会場B:多様な分野や業態をカバーしているランサーズは、発注側と受注側でどのように仕事の質をコントロールし、信頼性を担保しているのだろう。ランサーズとして何かしているのか、あるいはユーザー自身で信頼を担保しているのだろうか。(52:47)

秋好:ご指摘の通りで、ランサーズにとって最も大事なのは納品物をはじめとした仕事のクオリティをどれだけコントロールができるかという話になる。これまでの6年間でもそこに注力してきた。やってきたことは4つ。まず、普通にスキルテストを受けていただくというのが1つ。で、2つ目は、すごくアナログだけれどもランサーズ社員によるサポートだ。今はおよそ15名のサポートがデザインやライティングのクオリティを1件1件見て、「この人はスキルレベル2」「この人はスキルレベル1」といったことを、初回登録のときだけ目視で確認して振り分けている。これはすべて有人作業だ。そこでOKであればもう監視はしない。ただ、たとえばロゴでNGだった場合、もう一度ロゴを出すときは再審査になる仕組みだ。で、3つ目が評価システムになる。仕事をするとクライアントから評価がもらえる仕組みで、それが貯まっていった結果として、「この人は大丈夫だろう」という安心感が生まれる。そして4つ目として、たとえば免許証をランサーズへ送っていただいて本人確認したりしている。あと、秘密保持契約をオンラインで結ぶ、あるいは登録いただいた電話番号に自動でコールバックして本人確認するといったことも行っている。そうした、一つひとつでは地味な作業の積み重ねによって、トータルでクオリティコントロールをしている状態だ。(54:48)

会場B(続き):一方、岩佐さんはネットと家電のつながりにどのようなポテンシャルがあり、将来どのような価値が生み出せるとお考えだろうか。(56:31)

岩佐:僕らは次の商品を考える際、周囲にある、それこそ靴や洋服や眼鏡を見ている。で、そのなかでインターネットにつなげたら生活がもっと便利になるというモノをつくるようにしている。たとえば…、実際には絶対に作らないけれど、僕はよく傘立てを例にとっている。傘立てがインターネットにつながったら何か便利になるか。たとえば朝の暗い玄関で傘立てが光っていたら、「あ、今日は雨が降るから傘を持っていかなきゃ」と判断できる。天気予報を見る暇もないほど急いでいるときだって傘が必要かどうか確認できるし、ほんのちょっと便利になるわけだ。つまり、「あ、濡れちゃった。傘を持ってきたら良かった」という不便を、ほんの少し改善することで生活が便利になるということだ。そういう機器をどんどんつくっている会社だと思ってもらいたい。(57:30)

会場B(続き):あと、岩佐さんの会社にとって命となるイノベーションのアイデアは、今の14人体制でどのように生まれているのだろう。何か工夫はあるだろうか。(59:21)

岩佐:最終結論は僕が出すけれど、アイデア自体は誰でもいつでも出せる。社内のチャットに「ネクストアイデア」というルームを作り、そこにサポートスタッフでもエレクトロニクスエンジニアでも、誰でも自由にアイデアを書いていいという仕組みだ。それを採用するかどうか、あるいは「AさんとBさんのアイデアをセットにする」といったことは僕が決めるけれど、書くのは自由。そんな風に皆のアイデアを吸い上げればモチベーションも高まるし、僕が考える時間も減らすことができるので。(59:49)

別井:社外から募集することはないのだろうか。(01:00:34)

岩佐:今のところはないけれど、今後、インベスター系の人たちと一緒に新しく仕事をする予定だ。スタートアップの支援を徹底的にやっていく。それで日本のハードウェアスタートアップが盛り上がれば僕らもさらに注目してもらえると思う。それで今はいろいろな…、有名どころだとMoffの高萩昭範さんなどをお手伝いしている。それによって結果的には外からアイデアをもらうような感じになると思う。(01:00:37)

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会場C:ネットの特徴はサーチとマッチングと遠隔性にあり、それをリアルにうまくはめ込んだときに新しいものが生まれると思っている。ただ、その3つ以外に何か鍵があるとお考えだろうか。それがどういった領域であればネットの特徴がリアルと融合して活性化するかといった点を含め、皆さまのお考えをお聞きしたい。(01:01:30)

岩佐:多過ぎて「どれを答えたら?」という感じだけれど、無難なところではビッグデータ的な特徴があると思う。これはレコメンデーションエンジンや最適化につながる話だけれど、僕らはそれをすごく地味な領域で使っている。たとえばCerevoの商品をベネズエラの人が使うと、そのログがオンラインであがってきて、その人が何時間、どんなビットレートで、どんなコンテンツをどのチャンネルに流したか等々、すべて分かる。それを見て次の商品を作るというのは大変効率的だ。そうした見えていないところでネットとリアルが融合して、すごく便利になっているところがある。見えないものを見えるようにするという、ある種の可視化はかなり面白いポイントではないか。それをリアルでやろうとするとベネズエラまで行かなきゃいけないわけで(笑)。(01:02:25)

秋好:ネットの特徴という観点では僕らとしてもビッグデータ的活用があると思っている。普通は正社員のデータというと履歴書や職務経歴書になるけれど、クラウドソーシングなら仕事のログを1件1件見ることができる。もっと言えば、その1件のなかでどのような会話がなされたかといったことまでログとして採ることができる。ある意味、その人の“生ログ”が採れたりするわけだ。ログと言えば良いのかビッグデータと言えば良いのか分からないけれど、そうした可能性があるのは確かだと思う。(01:04:07)

会場D:分身化という言葉もあったが、会社のビジョンや行動指針を伝えきるのは結構難しい作業だと思う。そこで何か工夫があれば教えていただきたい。(01:05:30)

秋好:分身化とは、自分の言うことを何でも聞く人をつくるという意味ではなく、考え方において分身化を大事にしているという意味になる。具体的には我々のビジョンや我々が「ランサーズスピリット」と呼んでいる行動指針を、その人が体現しているかどうかが大事だ。で、その伝え方はすごく地味。日々の会話でも伝えていくし、マネージャーとは週1で1on1ミーティングを30分、フリートークという形で必ず行う。そこでフィードバックをしたりすると。従って、何か1つのことを明確にやるというよりも日々のコミュニケーション量と、明確なバリューというか行動指針によって今は担保している状態だ。逆に言えば、今はそれでまあまあうまくいっていると思っている。(01:06:10)

ちなみにフリートークでは、たとえば、「この前秋好さんが言っていたのはこういう意味ですか?それはちょっと気に入らないです」なんて言われるときもある。これは価値観の刷り合わせで、僕はそれをよくパズルに例えている。チームにとって大事なのはパズルになれるかどうか。同じ形でグループをつくることはできるけれど、グルーピングだけでは意味がないし、ぱっちりとピース同士を合わせないといけない。で、合わせるためには互いがどういう人間で、何を言うとどう反応するか、あるいは「こういった強みや弱みがある」ということを知らないといけない。そのために1on1でぶつかって、パズルを組み合わせながらチームにするということをやっている。(01:07:14)

会場D(続き):採用についても伺いたい。ネット系サービスではエンジニア採用が大変重要だと思うが、その点で何か工夫していることはあるだろうか。(01:08:09)

岩佐:僕らもiOSアプリやインフラのエンジニアを採用しているからネット企業の側面がある。で、とにかく僕らは採用ってお見合いみたいなものだと思っている。僕はお見合いというものが嫌いだ。10分や1時間で相手のことなんて分からないから。だから、応募をしてもらった時点で勝負は決していると思うし、その前段階で「この会社って面白そうだな」と感じてもらっていないと恐らく負けなのだろう。だから、僕は社員にひたすら、「ネットに技術的でマニアックなことを書け」と言っている。まず、情報発信がありきだ。エンジニアの人はそういうことをすごく大事にするし、それでお見合いで言うところの、「私の趣味はこれ。昨日はこんなことがあった」ということをツイッターやフェイスブックで事前にすべて見ることができたら、かなり上手にマッチングできると思う。「このフレームワークはダメだから自分たちでゼロから作ります」なんて書いたりすると、「それは僕が直します」なんていう人が来たりする。だから情報を出すことで逆に苦労しなくなる感じだ。あと、家電業界では今、すごい勢いで人材が市場に輩出されている。今はそれを採り放題の一本釣りで、めちゃくちゃいい感じになっている。(01:08:44)

秋好:僕らにとってはエンジニア自体がターゲットユーザーでもある。会員35万人のうち5万人ほどがエンジニアだ。だから会員の方に応募いただくケースがすごく多い。あと、僕自身も一応エンジニアだけれども、会社の代表がエンジニアというのはすごくエンジニアに響く。だから他社さんに比べると採用できているほうだと思う。(01:10:22)

岩佐:僕も元エンジニアだけど今は一切エンジニアリングをしていないし、回路も設計できなければ組み込みソフトウェアも書けない。ただ、たしかにトップが技術を分かっていないと思われると人が来なくなるから、技術的なことは徹底的に、エンジニアと技術面でやり合えるほど勉強する。テッキーなパネルにも積極的に参加し、“技術分かっている感”を必死に出している(笑)。それが採用後もすごく効く。「社長は技術者じゃないから分からないでしょ?」なんて言われたとき、「いや、ここにバリスタを置くのはダメでしょ」なんて話ができるようにならなければいけないと思っている。(01:10:56)

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会場E:時間がかかるものづくりに関して、たとえば社員の方々から上がってくるアイデアを見て「これだ」と決める際は何を判断基準になさっているのだろう。顧客ニーズで判断しているのか、「あったらいいな」で判断しているのか。(01:12:17)

岩佐:全体では加算方式になると思う。まず、業界が凝り固まっていて長らくイノベーションが起きていないようなところというのは1つの判断ポイントで、それは+1。あと、たとえば傘立てを実際にやることはない。世界的に見れば雨が降らない地域のほうが多いからだ。だから、グローバルに売れる商品なら+数ポイントで、そうでなければ−100。開発難易度も判断ポイントだ。「できるかどうか分からないけれど、とりあえずやってみよう」ということにして、1年後に両手を挙げるなんていうことを今の僕らの規模でやると死んでしまうけれど、そこで確実性があればさらに+1。あと、レッドのなかのブルーの一滴というものであれば+5といった感じだ。で、そんな風に加算していった結果、「うん、これは10ポイントあるからやろう」と判断することはある。(01:13:32)

会場E(続き):私もフリーランサーが法人と契約できるような環境づくりにチャレンジしていた時期があるけれど、信頼を担保しようとすれば賠償への対応も必要になるし大変難しかった。そのあたりはどのようにクリアしていらっしゃるかのだろう。(01:14:45)

秋好:その辺の問題があって、どうしても個人に発注できないという大企業さんは多い。だからランサーズでは最近、ランサーズ株式会社が代理で発注するスキームを作っている。ただ、昔に比べて現在は、大企業さんを含めてだいぶご安心いただけるケースが増えてきたし、今後も少しずつ変わっていくと思う。2000年頃、アマゾンにクレジットカード番号を入力するのは恐怖だったと思うけれど、今では普通だ。個人への発注に対する心理的障壁も少しずつ下がっていくだろうし、我々としてもそのためのプラットフォームをつくっていきたい。(01:15:14)

別井:私自身もそうだが、皆さんも今日はいろいろな指摘を受けたと思う。改めてお二人に拍手をお願いしたい。ありがとうございました(会場拍手)。(01:16:08)

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