「新たなワークスタイルが社会を変える」 質疑応答 

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佐藤:さて、この辺で一旦フロアに振ってみよう。(33:20)

会場A:起業する人や新しいワークスタイルに挑戦する人はたくさんいると思うけれど、そこで成功する人としない人にはどんな違いがあるのだろうか。(33:45)

会場B:新しいワークスタイルを確立するうえで、いざというとき、判断のよすがになるようなお考えをお伺いしたい。(34:28)

会場C:安藤さんの書籍に、「得意なこと、好きなことで世の中に居場所をつくる」というフレーズがあったが、能力的にそれが難しい人も多いと思う。そうした人たちは新しいワークスタイルについてどのように考えていけば良いだろうか。(35:09)

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宮城:最初のご質問については、本質的に「成功とはなんぞや。失敗とはなんぞや」という本質的な問いが必要だと思う。金銭的に言えば私はまったく成功していない。それ以外の見方でも成功している感覚は別にないけれど、とにかく、まずは自分が成功をどう捉えるかが大切だ。「何が自分の人生における価値なのか」と。私が特殊に思われるのは、そうした軸が皆さんの軸と違うところにあるからだと思う。お金や権威を得るという成功に、私はそれほど興味がない。でも、「社会を変える」「社会を良くしていくよう影響を与える」といったことに対しては、大変貪欲だ。従って、「ストイックですね」とはよく言われるけれど、自分としてはめちゃくちゃ貪欲だと思う。そういう軸で成功することと、金銭的成功は必ずしも両立するわけじゃない。背反するわけでもないとは思うから、ストイックに考え過ぎる必要もないと思うけれど。(36:02)

たとえばエティックは「社会起業塾イニシアティブ」というプログラムを12年ほど続けているけれど、辞めた人はほとんどいない。9割ぐらいが続けている。成功の保障もまったくないチャレンジをしているのだけれど、皆、それなりに人生を楽しめているんじゃないかと、私から見ていると思う。なぜか。結局、社会起業家の世界では、まだ誰もプロとして本気でやっていない領域を攻め込むことになる。儲からないから誰も本気でやっていなかったという、いわば道なき道を歩み、そこに道を作るような仕事だ。これは大変リスキーに見えるけれど、3年とか5年とかやっていると結果的には確実にその世界で第1人者になる。大きなリスクをとっていたように見えても、傍から見ると成功と言われるようなポジションに、大抵の人がなっていく。結局、その人が自身のモチベーションや、「自分が求めている成功とは何か」をしっかりと見定めていれば、傍からみればリスクと思われることも大したことはないのかもしれない。(37:55)

もう一つ。これはヒントにならないかもしれないけど、「自分は成功している」と思い込める能天気な人が成功しているような気がする。(41:21)

佐藤:負けていることに気付かないとか。「お前はもう死んでいる」と言われているのに、「いや、まだまだ死んでません」というのはあると思う(会場笑)。(41:40)

宮城:さらに言えば、「思った者勝ち」。成功の尺度というのは、実はそれほど曖昧なものだ。曖昧で、実は自分で決められるにも関わらず人に決めさせてしまっていることが、人生を一番つまらなくしているんじゃないかと思う。(41:48)

安藤:まさに今日お話ししたかったことが2番目のご質問に対するお答えになる。新しいワークスタイルというのは、人間の尊厳、あるいは自分自身が幸せだと思えるようなものでないといけない。「世の中的にどうこう」でなくて、自分が自分の人生における成功者という感覚をつくること。私が大きな影響を受けた本のなかに、ジャック・アタリというフランスの経済学者が書いた『21世紀の歴史——未来の人類から見た世界』という本がある。そこで大変示唆に飛んだことが書かれていた。「限りなく有限である時間のなかで一度きりの人生を生きるためには、自分が幸せである感覚を持たなければいけない。では、その感覚はどこから来るか。これまで成功だと言われていた定義を自分でひっくり返し、自分にとっての働く意義や幸せの定義を見つけ出さなければいけない。そのプロセスは大変孤独だけれど、見つけ出さなければいけない」。会社員時代、それを読んですごく感動したことがある。(42:11)

それで、「そうだよな」と思っていた2009年、私の周りでいろいろなことが起きた。すごくお世話になっていた文庫の編集長が48歳にして志半ばで亡くなってしまったり、その翌年には失敗して落ち込んでいる私をいつも飲みに連れていってくれていた50代の編集長が自殺してしまうといったこともあった。仕事がすべてではないのに、なぜ仕事で命を落としたり、自分で死を選ぶようなことが起きてしまうのか。「なんなんだよコレ」って思った。2009年は私にとって混乱期だ。そのときは。入社時はすごく元気だったのに、それで半年ほど心身ともに壊してしまった。それで、というかなり早い時期から人生と仕事というものの関係をすごく真剣に考えていた。で、そのなかで出した答えの一つはこうだ。誰に認められなくてもいいから、2010年から始まる30代のなかで、「仕事をやってきて良かった」「楽しく充実していたな」「お金的には成功していないかもしれないし有名にもなっていないけれど、自分は自分の成功者だったな」と思えるような人生にしたいと思った。(43:56)

今、私は多摩大で、たとえば就職活動で自尊心をずたずたにされた学生の悩み相談をリアルでもメールでも受けたりする機会が多い。そこでも思うのだけれど、組織に所属するとかしないとか、起業するとかしないとか、そんなことは大事じゃない。大事なのは自分の本質に近い形であって、その結果として世の中に貢献できたらハッピーというだけの話だと思う。まずは「この仕事をやっていて幸せだ」という気持ちに自分がなったら、それでいいのだと思う。そんな話をしながらいろいろな選択肢を、自分も実践しながら見せていきたい。また、仲間とともに何か小さなことからでも実践あるいは発信していくことがすごく大事になると思う。(45:31)

私は会社を辞めるとき、社員の方々からたくさんのメールをいただいた。そのなかには、「自分も本当はそういうことをやってみたいけれど、外に出る勇気がないし、どうやったら実現できるかも分からない」というメールもあった。当時の私はそこで適切なことを言えなかったけれど、今はたぶんいくつかの答えを示すことができる。たとえば会社に所属していても、ピーター・ドラッカーさんが言うところのパラレルキャリアというスタイルは実践できる。組織の仕事と並行して、空いた時間に自分自身のための仕事をするというものだ。ご飯を食べる「ライスワーク」と人生を充実させる「ライフワーク」の2軸で走らせる。また、たとえば最近は自分の空いた時間を切り売りする「タイムチケット」、500円で自分のスキルを売る「ココナラ」というサービスもできてきた。「ヤフオク!」にも2年間からスキルというカテゴリが新しくできていて、モノ以外のコトが売れるようになった。それで自分の力を試す場もできていたりするわけだ。その結果として、仕事のやりがいや生きがいが高まっていけばいいなと思う。(46:51)

仲:3つ目のご質問に関してお話しすると、今は資本主義経済社会だから、働いてお金を稼がないと生きていけないこともベースに関わってくると思う。また、その活動はサスティナブルでないといけない。瞬間風速的に好きなことをやれる人はたくさんいるけれど、ご質問は厳密に言うと「継続して好きなことをして生きていくためにはどうすれば良いか」だと思うので。で、そうなると、「超お金持ちでもないかぎり、好きなことだけで食っていける人はいない」というのが私の結論になる。「好き」と「得意」は掛け合わされるとよく言われるけれど、私は得意ということが重要になると考えている。たとえば世の中にはイケている会社からそうでない会社までいろいろある。で、前者のイケている会社で働くことが理想という人は、そこで働くことが「好きなこと」なのかもしれない。ただ、皆がそこに突然行けるわけじゃない。大抵はそこで活躍できるほどの「得意なこと」がないから、身の丈に合ったところにまず入る。「卒業後はデザイナーになりたいけれど、どうすればいいか分からない」となれば、まずは「喉から手が出るほどデザイナーが欲しいけれども誰も応募してくれない」なんていう小さい制作会社に入るわけだ。で、そこでインターンのように学ばせてもらいながらだんだん戦力になっていく。そうしていくうち、「この組織ではオーバースペック」ということなったら次の組織に行ったりして、どんどんステップアップしていく。それは転職が前提になる社会だと思うけれど、そんな風にしていくと「得意なこと」が身を伴ってくる。そこにプラスして「好きなこと」ができるのかなと思う。(50:08)

従って、「好きな鳥はなんだろう」と、青い鳥を探し続けるような考え方は超ナンセンスだと私は思う。まずは社会に貢献できて、そこにお金を払ってもらえるだけのニーズが自分にないといけない。それは、たとえば会社組織であれば上司の言うことを的確に実行できる力でもあると思うし、会社の外であれば消費者が皆さまの作ったプロダクトにお金を出してくれるということだとも思う。だから、「僕の好きなことができない」ではなくて、社会に貢献できて対価を得ることができるような得意なことを、好きなことのレベルでまずやってみるというアプローチになるのかなと思う。(52:32)

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佐藤:たとえば東京では年収1000万円でも生活に不十分だったりすることがあると聞く。そうなると、使えるお金がどれほどあるかといった話のほうが豊かさを決めてくるとも思う。そこで、地域へ行くというのもある。所得自体は少ないけれど、手元に残る利益がたくさんあるという暮らし方もあるからだ。だから、たとえば東京や京都に住まう必要性を見直してもええんちゃうかなという気もする。好きなことで飯を食うというのは僕のテーマでもあるから、「それなら何の仕事をするにせよ、住む場所を考えようぜ」といったアプローチだ。「農業やったらええやん」といったことを短絡的に言うつもりはないけれど、可処分所得についてはもっと重視したほうがいいという気がした。(53:28)

もう1つ。僕は20歳までやりたいことがなかったから、すごく苦しかった。やりたいことを見つけた人ってキラキラしているし、もてるでしょ(笑)?僕の同級生にも「弁護士になりたい」「政治家になりたい」なんて格好良く言う人がたくさんいて、当時やりたいことのなかった僕はずいぶん悔しい思いもした。ただ、「日本でインターンを日本で広めるぞ」という夢が一つ見つかった後は、芋づる式にやりたいことが見つかっていった。何か1つやりたいことが見つかると、「夢を見つけるコツ」が見つかるような気もしている。だから1つ目を見つけるべく、まずは頑張って欲しい。あと、やりたいことで飯を食うのはやっぱり厳しいし、そのためには嫌でもやらなきゃいけないこともある。だからお気楽ご気楽に生きるというイメージとは違う。そういうことまで覚悟のうえで好きなことをやっていくというのが、「好きなことをやれている」という話だと思う。(54:55)

会場D:新たなワークスタイルを実践することは、ある種、それまでの自分を否定することでもあると感じた。今での常識を一旦捨てる勇気もいると思う。そこを吹っ切るきっかけやヒントがあればお聞きしたい。(56:29)

会場E:皆さまが地方で働くとしたら、どのようななワークスタイルになるだろう。地方では職も少なく、場所を選ばない働き方もなかなか実現しづらいと感じる。地域活性化の観点も含め、そうしたボトルネックを解消する方法があればお伺いしたい。(58:14)

会場F:仕事で心躍る人を増やすというビジョンに強く共感するが、それがなかなか増えていない現実も感じている。その原因は何だとお考えだろう。「世の中に対してこんな仕掛けをすれば」といったお考えが何かあれば、併せてお伺いしたい。(59:02)

安藤:素晴らしい質問をありがとうございます。ご指摘の通りだと思う。サラリーマン時代の私はお給料的にも安定していたし、辞めるうえで一番大変だったのは周囲を説得することではなかった。大変だったのは自分自身を変えることだったと思う。それまでしがみついていた価値観を自分で否定することに多大なエネルギーを使っていたんだなと、今、気付いた。実際、私は辞めようと思ってから1年8カ月ほどの準備期間を経ている。その間、たとえば学校で勉強したり、セミナーに行ったり、書籍を読んだり、多くの人とお会いしたり、貯金をしたり、etc…、とにかくいろいろなことをした。それでも新しい場所へ進む時は大変なエネルギーが必要だったし、今も当時の価値観を全部捨てたというわけではない。結局、人間は不安定と安定と絶妙なバランスのなかで力を出していて、その針が不安定のほうに振れると寂しくなったり自信が持てなくなったりするのだと思う。逆に、安定のほうに振れると現状が物足りなくなったりする。私はそのなかで、今も揺らぎながら仕事をしている状態だ。(59:55)

出版不況と言われる時代、それでもほとんどの社員さんが辞めないなか、なぜ私は辞めたのか。1つには、宣伝マンという当時の肩書きではできない仕事…、本を書いたり今のように話をしたりする仕事の可能性に賭けてみたいと思ったから。あと、私自身の環境もあったと思う。たとえば私の親戚には、メガバンクの支店長まで務めた一方、「雇われない生き方」を模索して不動産投資家になった叔父がいる。また、生涯建設会社で勤め上げた祖父も、最終的には会長職まで務める傍ら、自分で神社を作ったり本を自費出版したりと、会社の仕事以外にもいろいろなことをやっていた。そんな家族を子どもの頃から見ていた。そのなかで、叔父には「収入源は1つでなく複数持て」と言われていたし、祖父にはその背中で「新しいことに恐れずチャレンジしろよ」と教わったように思う。うまく答えられているどうかは分からないが。(01:02:08)

佐藤:会社が収入源を複数持つのは当たり前だ。1つの商品に売上を頼る一本足売上では経営が安定しないから、第2・第3の事業を手がけるという話になる。けれども、個人でお勤めしていると兼業不可という絶対的なルールがあったりするから、その点でかなりしんどいかもしれない。ただ、いつでも移れる準備をしておく必要はあると思う。業務に従事している時間以外はどう使おうと自由なわけだから、そこで、その気になれば稼げる環境づくりをしておくことは可能だと思う。(01:04:05)

宮城:地方に関するご質問にお答えしたい。先日、うちの内部ワークショップで「10年後はどうなっているか」という議論をした時、そこにいたスタッフ全員が「東京にはいないと思う」と言った。たとえば東京に加えて自分の好きな地域と2拠点で働けるような環境、あるいは、まさにどこでも自分のオフィスにして働けるといった環境は、うちのスタッフはリアルに求めていると思う。それともう一つ。我々は現在、東北の復興支援ということで、たとえば東京から東北の現場に飛び込んで1年間仕事をするような人々の応援をしている。で、彼らを見ていると、東北へ行くと“はまって”しまう。それで、1年間のプログラムを終えても6割ぐらいがそのまま現場に居ついてしまったり、東北で自ら起業したりしている。先ほどお話しした成功の定義という話も絡むけれど、「何が大事か」「何が心地良いのか」と考えたときに、東北には東京にない資源がたくさんあるわけだ。豊かな自然環境もあれば、人情が感じられる関係性もある。で、そこで頑張ればその地域から求められたりすると。また、朝になるとお裾分けの食べ物が家の前にたくさん置いてあったなんていうことも日常的にあって、生きていくための経費が少なくて済むというのもある。そういったことをいろいろ考えると、実は会場の皆さんのなかでも地方へ行く人はかなり増えると思う。働いて生きていくうえで何が大切かという価値観自体がより自由になったとき、地域で働き、地域で生きていくことを選ぶ人が確実に増えるという手ごたえを感じている。(01:04:54)

佐藤:これは僕の肌感覚だけれど、最近の若い子としゃべっていて、「あ、こいつイケてるな」とか思う人間の傾向が2極化している。1つは海外に行こうとしている、あるいはもう行っちゃっている人。で、もう1つが思いきり地域へ入っていく人だ。それこそ北海道の果てや山陰の山奥へ、同世代に影響を与えているような連中が引っ越していく。そうすると周囲の連中もつられて一緒に移ったりして、ちょっとしたサティアンみたいな状態を、(会場笑)楽しく構築したりしている。東京や大阪をパスするわけだ。で、最近は「一番乗り遅れたやつが東京にいる」なんていう雰囲気がしている。「あ、分かっているやつは世界か地域に行くんだ」という感覚がある。ビジネスで「レッドオーシャンかブルーオーシャンか」といったことも考えるとその感覚は分からんでもないし、最近は僕も東京に少し長く居過ぎたのかなと感じているところだ。(01:07:49)

仲:仕事で心躍る人が増えない理由が何かというのは難しい質問だけれど、私が最近考えていることの1つに、「報酬ばかりに目が行きがちな人が多いのかな」という点がある。ダニエル・ピンクという人が『モチベーション3.0持続する「やる気!」をいかに引き出すか』という著書で、仕事には2種類あると述べている。1つはルーチンワーク。決められたことをそのままやればいいだけだから、学べばできる。で、もう1つはクリエイティブワークだ。こちらはゼロから1を作ったりする仕事。不確実性などいろいろなことを自分で考えなければいけない。で、同書にはその2種類に関し、たとえば社会学者が行った様々な実験結果のことも書かれている。それによると、金銭的報酬が上がるとルーチンワークは生産性が上がる一方、クリエイティブワークは生産性が下がるそうだ。たとえば子どもを二つのグループに分ける。そして、片方のグループには「いい絵が描けたらご褒美があるよ」と話し、もう片方には「絵を描いてね」と話すだけ。すると、後者のほうが良い絵を描けたりするという。(01:09:18)

これは国の発展段階にもよると思うけれど、現在の中国やインドでは…、高度成長期の日本も同様だったと思うけれど、ルーチンワークが圧倒的に多かった。そうした仕事に就く人たちのなかでは報酬アップが幸せにつながっているわけだ。ただ、先進国ではルーチンワークがどんどん発展途上国に流れていて、逆にクリエイティブなアウトプットが求められる。それなのに、お金中心で仕事を探すという旧態依然のフレームワークから抜け出せていない人が日本には多いのかなという仮説が、私のなかである。ほとんどの人は求人サイトでもまず年収で検索するし、エージェントも最初に年収や福利厚生といった条件面から入る。逆に、NPOでなぜあれほど皆いきいき働いているかと言えば、お金の話が後回しになるから。「このビジョンに共感するから」と言って、お金にはなんも期待せず後で調整し、生きていくだけのお金をもらう。従って、日本が現在迎えているフェーズに対し、マジョリティの仕事選びにおける価値判断基準が合っていないという点が最大の要因ではないか。それが私の見解だ。だから、ウォンテッドリーには報酬や条件が一切載っていない。載せてしまうと、うちのサポートがすぐに電話をして「消してください」なんていう話になる。(01:11:04)

むしろ、「なぜやるのか」が大事なのだと思う。社会学者のサイモン・シネックは、「世の中の偉大なリーダーや組織は、“なぜやるのか”というwhyを中心に据えている」と言っていた。どんなプロダクトを作るかといった話は後。DELLとアップルを比較すると分かる。両社ともシリコンバレーで同じような人材資源と立地を抱え、両社ともお金を持っている。なのに、なぜアウトプットがあれほど違うのか。DELLをはじめとした普通の会社は、たとえば「インテルのプロセッサにこれだけのスピードがあって」と、whatの部分にフォーカスしてしまう。けれども、イケてる企業やリーダーは、「そもそもなぜこのプロダクトを作るのか」と、whyにフォーカスする。アップルはそこで、「世の中の常識を疑う人たちは、一緒に世の中を変えようぜ」といった話をする。そうして作っていくと、結果的に美しいコンピュータができると。だからウォンテッドリーでもそうしたwhyを紹介している。それで、結果的にはウォンテッドリーを使うとめちゃくちゃ優秀な人がスタートアップでも採用できるといった事例が数おおく生まれている。(01:13:18)

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佐藤:最後のお話は象徴的だった。クリエイターにお金を渡しちゃうとすぐに「割に合うか否か」を考えちゃって、「まあ、貰っているこの金額を時給換算してこの程度で止めておこう」なんていう気持ちになる。でも、貰ってないときは自分の納得感まで仕事をするから、自分が完璧だと思うところまで細部にわたって仕事をしていくというのがあるのかなという気がした。さはさりとて、「金は重要ですよ」とも思うので、働き方については引き続きいろいろ考えていきたいと思う。(01:14:55)

宮城:先日、うちの理事である孫泰蔵(MOVIDAJAPAN株式会社代表取締役社長兼CEO)さんと、「日本にもソーシャルスタートアップという概念を定着させよう」という話になり、「SUSANOO(スサノヲ)というプログラムを立ち上げた。これは、たとえばシリコンバレーでITベンチャーが活用してきたリーンスタートアップと言われるモデルをソーシャル領域で応用しようというものだ。いわゆる高速仮説検証。「近くですぐ始められることから始めましょう」と。大それたことを考え過ぎるとなかなか踏み出せないけれど、仮説を立てて動くことを高速に回すということは、実はITベンチャーではすごく大事にされている。これはソーシャルな領域でも、さらに言えば皆さんの人生でも応用できると思う。だから、仮説として今すぐ踏み出せることがあれば、ぜひそのアクションを起こすということをこの2日間で考えてみていただきたい。(01:15:48)

安藤:最後に1つだけ。ワークスタイルの議論がなされるようになったのは、リンダ・グラットンというイギリスの女性教授が2012年に書いた『ワーク・シフト—孤独と貧困から自由になる働き方の未来図』がきっかけだと言われている。これ、すごく良いことだと思う。私は常々、日本のライフスタイルはコンテンツとして世界に誇るものがあると思っていた一方、ワークスタイルに関しては住環境といったハード面でも労働面でも大きな制約があると感じていた。ただ、やっぱり人間は制約があるような環境にいると、どこかで自由を求めたりする。それが、世界的に見てもすごくレベルが高いファッションやインテリア、あるいはロハスやオーガニックといったものの流行にもつながっていたのだと思う。でも、今はようやく、多くの人たちが仕事のやり方について、程度の差こそあれ、良い意味で疑問を持つようになった。そこで何かアクションを起こそうとしたりもしている。それがすごくいいなと。グロービスで学んでいらっしゃる経営者の方々も、そういったことに関心を持つことはすごく大事だと思う。だから、この議論を一過性でなく継続的なものにしたい。私自身も勉強しながら常に皆さまとやりとりをしていきたいので、ぜひ、こういう場がまたあればご一緒に議論して欲しい。(01:17:19)

仲:ウォンテッドリーは世の中を変えるために仲間を募集中なので、ご興味ある方はぜひ当社サイトを訪れてみて欲しい。(01:19:11)

佐藤:うちも採用中です(会場笑)。良い人、来てください。ちゃんと給料は払います(会場笑)。(01:19:30)

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