新刊「人生の座標軸」堀義人 —人生を6つの軸で考える 質疑応答(6/6) 

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質問:アジアの強み、あるいはアジアがこれから向き合わなければいけない課題として、どういったものがあるとお考えだろうか。

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堀:アジアは21世紀のかなり早い段階で、世界GDPの50%を占めることになると言われている。日本・中国・インドに加えてインドネシア・オーストラリア・韓国も含めると相当強くなるだろう。そうした地域で日本がどのようなポジションを占めるか。これは非常に重要な課題だ。歴史的な背景も踏まえつつ、日本がどのようにアジアで関係を構築し、リーダーシップを発揮するか。そこで僕はアジア的な価値体系というものがあると思う。アジアはヨーロッパに比べて歴史的にも宗教的にもかなり多様であると考えているからだ。強みということで言えば、やはり製造業に関してはアジアが拠点になっているし、韓国・台湾・シンガポール・香港の‘FourAsianTigers’も日本に力強く続いている。今後はアジアが大競争時代に入るだろう。今後10〜20年、製造業や研究開発の新たな拠点がアジアにどれほど生まれてくるのか、すごく楽しみだ。

ただ、そうは言っても今までの世界秩序は欧米によってつくられてきたし、文化についても同様だ。そこでアジアがどのように存在感を示すことが出来るか。中国はGDPでアジアNo.1となったが、民主主義ではないために政治的自由がなく、アジア代表になるとは考えにくい面がある。だからこそ日本的リーダーシップをどのように発揮していくのか、考えなければいけない。そう考えると、僕としては日本から世界へというプロセスが考えにくい。グロービスに関しても、日本No.1になった次は「世界No.1に」と言わず「アジアNo.1に」と言っている。まずアジアを意識し、そのうえで欧米との関係とともに世界のなかでどのようなポジションを占めるかを考えるべきだと思う。

この考えは安倍総理とも近いと思う。総理は「地球儀を俯瞰するような外交」と、よく言っている。実際、この1年間で東南アジア10カ国をすべて訪問した。すごい数だ。今まで訪問した国はおよそ30カ国におよぶ。安倍総理の強みは友達をつくるのが上手い点だ。皆が友達だと思わせる。これは外交の世界で重要だ。そうした関係を数多くつくっていけば、それが影響力にもなる。今度はソチ五輪の開会式に行く訳で、プーチンさんは喜ぶだろう。LGBTの問題で多くの首脳に開会式参加をボイコットされているから。今、G8で最も輝いているのは安倍総理だ。そうなると中国か日本ということになるが、中国というよりは日本だということになるから、やはりその価値は非常に大きいと思う。今は中韓との関係が良くないから、それ以外の関係が大事になってくる。もちろん中韓との関係も良くしていかなければいけないと思っているので、それを行ったうえで世界との関係性も考えていく。それがあるべき姿だと思う。その辺については僕自身も考えていきたいし、アジアのなかでは日本的強みが相当生きると思う。

質問:先週もダボス会議に参加していらした。期間中は現地からのツイートを色々と拝読していたが、当地で一番印象に残った出来事をお聞かせいただきたい。

堀:僕は今まで、ダボスで本当に悔しい思いをしてきた。日本の存在感がなかったからだ。理由は簡単。登壇しないからだ。登壇しなければ存在感や影響力は上がらない。あとはフロアから発言するしかないが、それでは時間も限られる。では、主要なセッションに登壇出来る人がどういう人かというと、政治家であれば国家首脳や主要大臣だけ。あとは日銀総裁だ。それ以外のセッションには竹中(平蔵氏・慶應義塾大学教授/グローバルセキュリティ研究所所長)さんや僕が登壇しているが、どうしても端のほうになってしまう。だから主要な政治家の方に来ていただかなければいけなかった。ただ、総理大臣はこれまでも来ていたが、金曜日まで国会があるためにそのあと政府専用機で来るというスケジュールだった。だから土曜日に到着しても、その時にはもう半分以上の方が帰ってしまっている状態だった。重要なのは開会式に出ること。開会式のスピーチは会期中ずっと話題になる。その基調講演が、今まではドイツのメルケルさんやフランスのサルコジさんといったヨーロッパ勢に占められていたという訳だ。

そこで、昨年夏に開催されたサマーダボスのグロービスナイトで、僕らは仲間とともに「次は絶対、安倍総理に開会式へ来て貰おう」と考えた。どう考えてもG8で一番光っているのは安倍総理だから。で、大変な勢いでロビー活動を行った結果、来てくださることが決まった。しかも、初めて日銀総裁が、さらに大臣も5人来てくださることとなった。甘利さん、林さん、茂木(敏充氏・経済産業大臣/内閣府特命担当大臣)さん、下村(博文氏・文部科学大臣)さん、そして山本(一太氏・内閣府特命担当大臣)さんだ。経団連と経済同友会のトップ二人もいらっしゃる。そんな状況をつくることが出来た。

そして、実際のオープニングではクラウス・シュワブ議長が‘JapanisBack!’と宣言して、続いて安倍総理が英語で一気にプレゼンを行った。日銀の黒田総裁も最後のグローバル・エコノミック・アウトルックに登壇した。こちらにはIMF専務理事のクリスティーヌ・ラガルド氏、「フィナンシャルタイムズ」のマーティン・ウルフ氏、イングランド銀行総裁のマーク・カーニー氏、そして数百兆円のお金を管理しているヘッジファンドのトップらも登壇した。そういう舞台で日本人の黒田さんが英語で喋っている。今までは考えられないことだ。そして晩にはグロービスナイトとジャパンナイトが催された。

もう、涙が出るほど嬉しかった。「今年のダボスは日本がすごかったね。チームJAPANだ」と、皆が言ってくれた。期間中は僕らが懸命にお膳立てをして、ネットワークをつくっていた。下村さんや山本さんが一足早く到着したのでシュワブ議長とのバイ会談も行った。大臣が来れば会ってくれるので、次々と主要メンバーとの会談を行っていった訳だ。そういうことを繰り返していくことで、オピニオンリーダーのなかで日本のマインドシェアが高まる。それが上手い具合に出来たことは僕にとって最も印象深いことだった。

今年のダボス会議では、なんといっても‘Japanisback.’というキーワードがあった。ジャパンナイトでは長谷川(閑史氏・経済同友会代表幹事)さんが乾杯の音頭をとったが、彼も流暢な英語で力強く‘Japanisback.’と言っていた。また、「それだけでは以前いたところに戻るだけ。‘Japanisgoingtobebetter.’なんだ。それを僕らがイノベーションを通して実現する」と。乾杯の際は壇上に18人の財界トップが並び、赤いハッピを着て鏡割りをした。シュワブさんもそこにいて、何かこう、「新しい日本が出てきたな」という印象を持った。で、そのあとすぐにグロービスナイトがはじまった。会場にいた方々は勢いを感じたと思う。今回のダボスではチームジャパンとしての勢いがよく出ていた。水泳と同じだ。個人種目だがオリンピック等ではチームジャパンとして戦う。「皆、応援しようよ」と。僕も日本の誰かが登壇する際は必ず応援に行っていた。

ただ、一方では、「あそこまで言っちゃったのだから」ということもある。特に安倍総理は「私はドリルの刃になる。私の刃から逃げられる既得権益者はいない」とまで宣言した。それならこの1年間、本気でやらないと来年は合わせる顔がない。「女性が輝く国にする」とも言ったのだし、実際に女性が前面に出て行けるような政策を分かり易い形で実行しないと、来年は「お前、あれだけ言ったのに何だ?」となる。やるべきことはしっかりやって、来年また安倍総理に来ていただきたい。僕自身、茂木大臣の下でベンチャー有識者会議に入っていて、ダボス後の会合では「ダボス会議はお疲れ様でした。でも、やらなければ何にもならないですよ?」とお話ししている。

質問:ダボス会議についてもう少しお伺いしたい。「自分で参加し続けなければ分からなかった」といったことがもし何かあれば、教えていただきたい。

堀:僕は好奇心によって動かされている。「ダボス会議ってどんなところだろう。見てみたい」という気持ちが当時はすごく強かった。で、実際に行ってみて色々なことが分かった。まず、ダボス会議のような場では人が人を見て評価している。どこでもそうだと思うが、バックグラウンドで評価されない。「A会社のトップだから」ということでなく、堀義人という人間にどれほどの力量や知見があるのかを見てくる。それが高いとなると次々に抜擢され、プライベートな場にも呼ばれるようになる。そうなるとさらに大きなネットワークに触れることが出来て、彼らとの関係からまた違う世界が見えてくる。

で、ダボス会議に関して言うと2500名ほどが招待されているものの、そのなかでもオピニオンリーダーがいる。大変なパワーを持っている人達だ。で、その人達がどう思うかによって世界の見方も変わってくる面がある。昨年、フィナンシャル・タイムズ紙のマーティン・ウルフが肯定的なコメントをしたことでアベノミクスが評価された面もある訳だ。そうした、国際機関のトップや各国政治家をはじめとした、それぞれの分野で大きな影響力を持った人達が100人ほどいて、彼らがどう見ているのかによって見方が変わってくる。

VCで海外へお金を集めに行くとよく分かることがある。当初は日本でお金を集めようとしてもグロービスが小さいこともあってまったく集まらなかったが、海外ではグロービスの大きさも関係なくなる。堀義人という人間が本当に出来る人間なのかどうかと、人を見る訳だ。そして目を見ながら、「よし、賭けよう。5億円投資する」と言う人が出てくる。能力があれば認めて貰える。その代わり、能力がないと思った瞬間、バックグラウンドに関係なく…、仮に日本の総理大臣の話を聞いても、「たいしたことないな」となった瞬間、日本売りだ。良ければ「日本買い」。とにかくトップの力量が評価される。ダボス会議はそうした人の品評会だ。そういう品評会を見続けていると、「こいつはすごい」、「こいつはたいしたことない」というのが少しずつ分かるようになり、自分のなかで尺度が出来る。そこで、すごいと思った人と自分で何が違うのか、自分には何が足りないのかを考える訳だ。それを補ったうえで、「また来年、良い形で戻ってきたいな」と思うようになる。そういうことの繰り返しだ。自分の相対的ポジションを測ることが出来るし、人の見方、そしてさらにはオピニオンリーダーが何を考え、どのように世の中を動かしているのかということも分かる。

これはすごく面白い。たとえば僕はあるとき、「海洋」というテーマでブレックファースト・ミーティングを行った。そこで、「どうすればアメリカ政府は動くのか」といった話とともに、物事の動かし方を議論してきた。そういう経験を通じ、たとえば日本をどう動かすかも分かってきたつもりでいるし、「世界がどう動いていくか」、「どうすればそこで影響力を行使出来るか」という方法論もだんだん見えてきた気がする。そこに世界のトップも集まっていて、「日本は買いか売りか」ということも見えてくる。そういう異次元の世界を数日間、スイスの山奥で見る訳で、本当に面白い。そこで自分がどのように振る舞っていけば良いのかも、10年のあいだに7回も行けばだんだん分かってくる。来年に向けてまた目標設定をしながら一つずつステップアップしたいと思う。

グロービスもグロービスナイトで存在感を大いに高めた。およそ2500人の方に「グロービスナイトへ来ませんか?」というメールをして、グロービスを認知して貰おうとした訳で、これはすごく大きかった。来て貰った方には、たとえばけん玉で遊んで貰いながら、お酒を飲んで大いに楽しんで貰った。そんな風にして末端から存在感を少しずつ高め、ネットワークの中枢へ入っていきたい。10〜20年かけてやっていけば、そうなる機会があるかもしれない。とにかくチャンスがあるなら努力をしたいし、それが日本の影響力を高めることにもなると思う。自分が世界で発言力を高めることは、日本の影響力を高めることにもなる。日本で影響力を高めることは、自分が正しいと思うことが実現しやすくなることにも繋がる。そうして自分のやるべきことを果たしていきたい。皆さんにもそこで、たとえば「堀さん、違うんじゃないか?」と、ツイッターを通して僕に意見を言っていただきたい。世の中はそうやって変わっていく。日本あるいはアジア・地球という枠組みのなかで、僕は出来ることなら重要な役割を果たせるようなポジションに行きたいと思うし、それだけにダボスは僕にとっては貴重な場だ。

質問:グローバルな環境をご存知の堀さんだが、お子様が通っていらっしゃるのは公立学校と、SNSにあった。その辺のお考えを含め、子育てにおけるお考えをお聞きしたい。女の子であれば同じ育て方をしたかどうかも併せてお伺いしたいと思う。

堀:その辺は妻とも議論を重ねた。で、色々調べてみて分かったことがある。まず、たとえば英語がペラペラなバイリンガルも、頭のなかでは一つの言語、つまり母国語でものを考えているという。それを高速で翻訳しながら話している訳だ。これ、逆に言えば多言語を操ることが出来ても深く考える訓練をしなければ、しっかりした考えを持つことが出来ないという話だ。従って、一つの母国語を基にしっかりと考える訓練をするほうが、言語を二つ学ぶことよりも重要だと、僕らは考えた。だから、「まずはしっかりとした言語処理能力と物事を考える力を母国語で身に付けさせ、そしてそれをきちんと説明させていこう」と。それが公立校に決めた理由の一つだ。

あと、たとえば僕の子供の友達は、近くの八百屋さんや肉屋さんの子供だったりする。そういう環境でないと社会のなかで違ったことを知る機会をなかなか得られないと思う。その意味でも日本の公立に行かせようと思った。たとえばオーストラリアは資源が豊富だ。地下資源がたくさんあって、広大な土地がある。そういう国の教育と資源がない国の教育は、根本的に違っていて良いのではないかという気持ちがある。僕は高校時代にオーストラリアに留学していたからよく分かるが、オーストラリアの学校の朝礼を見てみると、もうばらばらで規律がまったくない。そこで日本の運動会なんて見てみると、感動する訳だ。皆が分刻みのスケジュールで動いていて、子供たちも走り回って準備をしている。そうした規律やチームワークを育てる教育は、相当良いのではないかと思う。日本の強みは規律とチームワーク。なでしこジャパンが世界一になったのは象徴的だ。一人ひとりの能力というより、規律とチームワークで献身的に物事を進め、コミュニケーションを図る力が日本の強みだと思う。そうした経験をせずに海外へ行ったとしても日本のリーダーにはなれないのではないか。日本でリーダーになるためには、日本のなかで日本的な文化に触れる必要がある。そのうえで次は世界を理解するため、高校生になったら子供たちにも1年間留学をさせようと思う。

日本の学校では親御さんが「あれやれ」「これやれ」と、学校側に要望を入れることも多いと思うが、僕は割り切っている。学校の教育で得ることの出来るものも出来ないものも両方あると思うからだ。そのうえで家庭での教育が重要だと考えている。両者の分業が重要ではないか。学校では規律やチームワークとともに日本の文化や通常の読み書き算盤が得られる訳で、それで十分だ。それ以外のものとして、「堀家では囲碁と水泳、そして少し英語をやろう」と。あとは鍛錬や話す力。その辺は食事をしながら話をして、意見交換をしたりすることで補っていこうと。色々なことを望むのも結構だが、「良いものは良い」ということで、あとは必要に応じて家庭で補う。僕自身も高校で1年間、大学院で2年間、留学をした。それで英語が上手かというと、まあ、日本語を10とすると英語は9程度だ。下手ではないがネイティブでもない。ただ、そうした英語力よりも中身。人間力やオリジナルな発想をする力が大事になると思う。

逆に言えばグローバル人材は世界にはたくさんいる。それでも海外の人々が我々に「どう思う?」と聞いてくることがあるとすれば、グローバル人材に聞くよりも「日本に根ざした価値体系のなかでどう思うか」を聞きたいからなのだと思う。従って、そこで皆と違う意見を持つことで価値が生まれる。世界に出れば出るほど、日本人としてのアイデンティティや価値体系に基づいた意見を持つことが大事になるのではないか。その意味でも小学校は公立にするのが良いのかなと、僕は考えている。あと、娘だったらというのは…、いないから考えたこともなかったので答えにくい(笑)。ただ、恐らく「男だから云々」「女だから云々」という風に言ってみても子供に説明は出来ないので、男女で教育方針を変えるということはしないと思う。

質問:女性の活躍に関するご指摘もあった。女性という立場でどのように社会へアプローチをしていけば良いのか。女性に期待していることと併せてお伺いしたい。

堀:たとえばアメリカはオバマ大統領で、ヨーロッパで経済的にトップであるドイツの首相はメルケルさん。そしてハーバードでも大学学長が女性のドリュー・ギルピン・ファウストさんで、ビジネススクールのトップがインド人。世界銀行のトップも韓国人だ。つまり、日本であれば日本人のおじさんが恐らくパワーを持った存在だと思うが、世界では今、女性やそれまでマイノリティ扱いされていた方々がトップになっている。マイノリティという表現が良いかどうか分からないが、とにかく世界では多様化が進んでいるからだ。最近はダイバーシティという言葉とともに、インクルーシブネスという言葉も広がってきた。異なる人々を中に入れていくという発想が重要になってきたと思う。

今までトップにいた人々は、自分の価値体系を押し付けてしまいがちだった。「俺たちはこう思うから一緒にやろうぜ」と。しかし、現在は価値体系の多様化に伴ってリーダーシップのあり方も変化してきた。自分のバリューを押し付けるような…、たとえば海外で「日本はこう考えている。だからこうして欲しい」と言ってしまうと、海外の人々からすれば「価値観を押し付けている」となってしまう。従って、リーダーシップというものは今後、他者の異なる価値観や考え方を束ねるようなものになっていくと思う。違いに接した際、「そうか、ではどこに問題があって、どこが大丈夫なのだろう?」と聞く。そして違いを拒否したり無視したりせず、認識し受容して、どこに違いの根源があるのかを考えていく。その根源をしっかりと互いに理解したうえでソリューションを考えていくような方法論が重要になってくると思う。

こういう方法論は女性のほうが得意だと思う。それまでトップにいた方々は自分たちの価値体系のなかだけにいたから、他者の意見を聞く必要がなかった。しかし今後は違いの上に「橋」を築きながら、「一緒に考えていこうね」という、そんなリーダーシップが重要になってくる。「俺についてこい」というのは流行らなくなってきた。だからこそ女性や過去にマイノリティだった人がリーダーになっているのだと思う。ヨーロッパも同様の方向に動いているし、日本も今後はそうなると思う。まだまだ単一の価値体系のなかにいるから、すぐに欧米ほどのダイバーシティを気にする必要性はないと思う。ただ、そうは言っても若い世代と50〜60代の価値観はすでに大きく異なる。従って日本でも今後は女性のリーダーシップがさらに必要とされるのではないか。

安倍総理も、ダボス会議で「2020年に女性の指導層に占める割合を30%にする」とおっしゃった。グロービスも30%にすると宣言していて、すでにボードメンバーは30%を超えた。エグゼクティブ・コミッティもほぼ30%で、来年にはおよそ40%に達すると思う。そんな風に女性が活躍する場が増えてきたらどうなるか。日本というのは変わるまでが大変遅いものの、一度コンセンサスを得たらすごく速い。「決めたんだからやろうよ」と。従って、今後は女性が取締役会やマネジメント層で次々に登用されると思う。そこで女性の活躍する場は広がるが、逆に言えば能力を持った女性が不足するという自体も起き得るのではないか。「私は今のままでいい」となってしまう方が出てくるかもしれない。だからこそ女性の方々には覚悟を決めたうえで、「自分達がリーダーになるのだ」という強い意識を持ち、能力を高めて欲しい。そのためにグロービスがあるということで(会場笑)。とにかく自分の価値体系をどんどん広げて欲しいし、自分を鼓舞して欲しい。女性と男性の一番大きな違いとして、ダボス会議でも言われていることがある。ダボスではパネルに必ず一人女性を入れる方針になっているが、それが出来ないセッションもある。ご自身の専門領域から外れてしまうと辞退してしまう女性が多いからだそうだ。僕は自分の専門領域から外れていても、「…まあ、いいや。せっかくの機会だから」となるが。従って、自分が多少知らなくても思い切って飛び込んでみるということをしないと、チャンスを逃してしまうこともあると思う。やるべきことをしっかりやっているのなら、多少自信がなくても「いいや、失敗しても」という気持ちで臨んで欲しい。自分が出来ることと周囲からの期待に多少のギャップがあったとしても、それは経験を積む機会と考えたら良いのではないか。

ということで時間になった。今日は少し早く終わらせて、後ほど皆さんとまた交流をさせていただきたいと思う。今日は皆さんにお会い出来たこと、感謝申しあげたい。著書をまだお読みになっていない方はぜひ手にとっていただけたらと思う。で、可能であればツイッターやフェイスブックで「今日は面白かったよ」と(笑)。「人生の座標軸〜」が本当に面白いと思ってくださった方は、アマゾンとかの書評欄に書いていただけると嬉しい(会場笑)。ご静聴、本当にありがとうございました(会場拍手)。

写真撮影:東洋経済新報社・尾形文繁

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