菅義偉氏×竹中平蔵氏「安倍政権が目指す経済成長のモデルとは」前編 

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「強い経済は国力の源。だから『一に経済、二に経済、三に経済』で取り組んでいる」(菅)

菅義偉氏(以下、敬称略):全閣僚に「失言だけは注意するように」と、常に言っている私が失言する訳にはいかない(会場笑)。それで色々な会議等に招待していただくものの、私を呼んでも「まったく面白くない」と。無味乾燥な話しか出来ないのだが、今日も例外ではないのでご理解いただきたい(会場笑)。(00:28)

さて、安倍政権が発足して10カ月が経った。発足前の日本はどうだったか。円高、デフレ、長引く景気の低迷等々、見通しが立たない状況で高校や大学を卒業した若者もなかなか就職出来ない状況ではなかったか。東日本大震災からの復興も遅々として進まず、瓦礫の山を見るたび、被災地の皆様に申し訳ない思いで一杯だった。また、日米関係も最悪の状況だった。中国公船が尖閣周辺の日本領海に侵入を繰り返し、日米関係の不安定さを見透かすように韓国やロシアの首脳が竹島や北方領土に足を踏み入れる。そんな状況で私どもは政権に就いた。(01:20)

12月26日の内閣発足と同時に総理が全閣僚へ指示したのは、日本経済の再生と東日本大震災からの復興加速、そして極めて厳しい安全保障環境下での危機管理徹底だ。この3点について「全閣僚が各々所管大臣になったつもりであたるように」と。私たちはこの3本柱を実現すべく今日までわき目も振らず走り続けてきた。(02:40)

昨年12月の総選挙で自民党が勝利した背景には民主党政権の3年5カ月があまりに酷過ぎたことへの反動もかなりあったと思う。294議席という大勝利だったが、そのなかで私たちは自民党の政策が国民の皆様に受け入れて貰えるよう取り組んできた。そして4月の参議院選挙ではねじれを解消し、安定政権を樹立することが出来た。これは、「とにかく任せるからやれ」という国民の皆様のシグナルであり、そのぶん責任は重いという気持ちで今は政権運営にあたっている。(03:32)
強い経済は国力の源だ。経済が強くなければ財政も再建出来ず、社会保障を充実させることも出来ない。また、外交・安全保障政策を我が国の立場で推進することも出来ない。だからこそ私たちは「一に経済、二に経済、三に経済」と、日本経済の再生を最優先課題として取り組んできている。(04:33)

総理はアベノミクスと言われる3本の矢を発した。大胆な金融政策、機動的な財政政策、そして民間投資を喚起する成長戦略。今はこれがそれなりに効果を生みはじめていると思う。それによって15年間続いてきたデフレからの脱却に最優先で取り組んでいるところだ。昨年7〜9月期の経済成長はマイナス3.5%だったが、安倍政権発足後、春先には株価も上がり円も安くなった。「それは政権に対する期待感だ」と言われたが、4〜6月期は経済成長もプラス3.8%となり、雇用も消費も改善され、設備投資もようやくプラスになった。「アベノミクスが効くのは大都市だけ」という批判もあったが、私どもは地方で補正予算・本予算が効いてくるのは10月以降と考えていた。今は地方にもようやく景気の波が今押し寄せはじめているのではないだろうか。なんとしてもこのデフレ脱却に向けた最高の機会を生かし、日本経済を再生させたい。(05:14)

民主党政権時代に言われていた日本経済を取り巻く六重苦も、少しずつではあるが解消されはじめてきたと考えている。アベノミクス第3の矢における最強の矢は遠くて高くて滞空時間の長いTPPだ。当初、多くの方々は「自民党は参加を決断出来ないだろう」と感じていらしたと思う。しかし私たちは総理の強い指示によって交渉参加の決断に向けた環境を関係閣僚でつくり、2月の首脳会談でこれを決定した。「遅れて参加しても日本の立場を主張出来ないのでは?」とも言われたが、実際はバリの会合でも日本がリーダーシップを取るような形で交渉が進んでいると感じる。(07:27)

また、国際社会で物事を決めるためには首脳同士の会談と信頼構築が欠かせないが、その点で総理は就任10カ月で23カ国を訪問し、数々の実績を残している。日米関係ではシェールガスの輸入についてしっかりと道筋をつけ、トルコ訪問では原子力に関する交渉も出来た。そして横浜で開催されたアフリカ会議を含めると、これまでに110カ国を超える国の首脳と直接会談を行っており、常に日本の存在感を発揮し、その立場を説明してきている。このことは非常に大きな成果だと私は思う。ちなみに民主党政権の3年5カ月で総理が訪問したのは17カ国だ。(09:11)

特にロシアのプーチン大統領とは10カ月で4回の首脳会談を行ったし、先だってはアメリカおよびロシアとの2プラス2会合も日本で行われた。アメリカの国務長官と防衛大臣が日本で同会合を行うのは今回が初めてだ。そうした方向で物事が進んでいるのは外交が極めて順調に進みはじめているということだと思っている。(11:01)

また、2020年のオリンピックも日本開催が決まった。これは総理の外国訪問をはじめとした政府の努力、そして東京都およびJOCの活動が一体となり、まさにオールジャパン体制で進めてきたことの大きな成果だと思う。これを単なる東京オリンピックでなく日本オリンピックにすることが政府の役割だ。観光を含め、日本が再びグローバルに成長出来る大きなきっかけになるのではないか。(11:49)

「企業と家計は対立するものではない。経済の活性化こそ国民生活向上のエンジン」(菅)

一方、総理は10月1日、消費税引き上げを決断した。「規定路線ではないか」と言う方もいるが、悩みに悩んだ末の判断だ。昨年9月には民主党政権下で3党合意という形がとられ、そこで消費税を来年4月1日に8%、その翌年10月に10%へ引き上げることが決まっていた。どういった経済状況をつくりあげたうえで引き上げるかということにはまったく触れず、引き上げの数字だけが決まっていた。(12:51)

しかし政権が交代すれば政策が変わるのは当たり前の話だ。官僚の人々は「決定したのだからそのままやって欲しい」と言っていたが、責任を負うのは政府になる。慎重な上にも慎重に決定した。アベノミクスによって15年ぶりにデフレ脱却の機会を得た以上、それを消費税引き上げで腰折れさせてはならないという危機感があった。一方、安倍政権はデフレ脱却と財政再建という難しい2兎を必ずや実現させる内閣でもある。だからこそ慎重に、5兆円規模の経済政策と同時に発表した。(13:39)

この経済政策が企業偏重だという指摘はあるが、企業と家計は対立するものではないと思う。企業活動が活性化すれば賃金は上昇し、賃金上昇が家計の消費に繋がり、それが企業の売上にも繋がる。その意味では経済の活性化こそ国民生活向上のエンジンだと私たちは考えている。従って、設備や研究開発に投資する企業、あるいは賃上げを行う企業を、政権として応援するのは当然のこと。1年前倒しとなる復興特別法人税廃止に対しても情緒的な批判はあるが、復興財源25兆円はまったくそのままであり、アベノミクスの果実で補填する。(15:07)

それによってデフレ脱却や日本経済成長の起爆剤にしたい。たとえばJT株。3億3000万株を売却し、5000億円の収益をあげ、それを東日本大震災の復興に使う。これは株高で約2倍の9700億円となった。あるいは税収の上振れが1〜3兆円あると言われており、こうしたことをデフレ脱却に使いたい。(16:34)

安倍政権は関係閣僚で物事を決め、総理の指示で政治を進める政権だ。TPPも沖縄問題もそう。それで観光ビザの発給要件緩和も行ったし、日台漁業交渉も17年ぶりに解決した。エネルギー戦略もインフラ輸出も同じだ。ありとあらゆる可能性について関係閣僚で討議のうえ、総理の判断の下、政治を前に進める。政治主導で物事を決め、経済を再生させていくのが安倍政権と言える。(17:24)

昨日、ある新聞に「安倍政権の人事は聖域に踏み込んでいる」という批判めいた記事が載った。この指摘はまったく当たらないと思う。何故、日銀総裁が財務省の次官経験者でなくてはならないのか。私どもは財務省出身であった日本郵政の社長も更迭したが、ある意味で当然だ。全株式は国が所有している訳で、その株主に相談なく取締役会で物事を決めたのだからそれを民間の優秀な経済人に変えるのは当然ではないか。厚生労働事務次官についても旧労働省出身者が二代続くのはおかしいといった論調だったが、よくこうしたことを書くなと思う。海上保安庁の長官にも1万3000人におよぶ現場の代表者としてたたき上げの人材を登用したが、記事には「これは今までキャリア官僚のポストだった」という風に書かれていた。今までそうした人事でなかったことのほうがおかしいのではないか。(18:17)

私たち安倍政権は自ら政策を掲げ、そこで官僚の皆さんに協力いただくという、まさにオールジャパン体制を構築している。そのなかで経済を再生し、東日本大震災からの復興を加速させ、さらには危機管理を徹底する。危機管理の徹底も成長戦略では極めて重要だ。ぜひ皆さんには私たちの政権をもうしばらく見守っていただきたいと思う。必ず日本経済を再生させる(会場拍手)。(19:51)

※後編は1月16日に掲載の予定。

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