秋山咲恵氏×竹中平蔵氏×堀義人氏「今、僕らがやるべきこと—先輩リーダーから学ぶ」後編 

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「34歳になり、生命について自分で選択するのはおごりだなと思うようになった。それで二人授かってみたら意外と・・・大変だった」(小林)

小林:ではQ&Aに移ろう。「思想から行動へ」ということなので、「これを聞いたうえでこう生かしてこうしたい」というご質問を簡潔な形でいただければと思う。(49:44)

会場(関谷英里子氏・同時通訳者・翻訳家):20〜30代で気をつけていたことや「40代ではこうした。だから50代はこうする」といったお話が堀さん以外の御二方にもあれば、40代を迎えるにあたってのアドバイスという形でお聞きしたい。(50:26)

秋山:私の場合、20代は社会人としてキャリアのベースを築く時期だった。で、31歳で会社を立ちあげたため、30代はビジネスのベースをゼロから築く時期になった。そして40代を迎えた当時はビジネスをグローバルにやっていかないと成長出来ない時代だったため、それまでに築き上げたベースを小さくともグローバルに広げていこうと考えていた時期だ。政府のお仕事をいただいたということもあり、40代は今思えば勉強の時間だったと思う。そこで少しずつ勉強した結果、今の仕事もやらせていただいているのだと思う。その意味で、10年は何かひとつのことをやるには十分な時間だが、逆に10年をかけてもそれほど多くのことは出来ないと感じる。だから子どもはいない。ビジネスや政府のお仕事で自身のキャリアを積み上げながら、自分なりに満足のいく人生が何かを考えつつ10年単位でやってきたという感じだ。(51:01)

会場(岩瀬大輔氏・ライフネット生命保険代表取締役社長兼COO):竹中先生にとって今まで一番苦しかったご経験と、それを乗り越えたときの心構えを伺いたい。我々はこれから色々な形で苦労や挫折を経験すると思うが、それらを乗り越えるためのアドバイスとしてお聞かせいただきたい。(52:40)

竹中:挫折はしょっちゅうだ。で、そうしたときに詰めて考えることも重要だが、もうひとつの方法も持ち合わせておいたほうが良いと思う。問題に直面したとき、一瞬、引いてみたうえで考える。リーダーシップ論で著名なハーバード・ケネディスクールのロナルド・A・ハイフェッツ教授は、「バルコニーに駆け上がって見ろ」と言っている。現場で懸命にやるのも大事だが、俯瞰してみると違うものが見えるということだ。(53:00)

私が一番悔しい思いをしたのは、博士号を取得するため、サントリー学芸賞というものをいただいた論文を一橋大学に提出したときのことだ。すべての手続きを踏んだのち、最後に教授会でそれを形式的に承認するプロセスがあった。しかしそこで博士号を持っていない先生方が徒党を組んで反対し、結果的に一票差で博士号を貰えなかった。私はそのときワシントンに出張しており、担当教授に「竹中さん、申し訳ない。本当にみっともない話だが、こんなことが起きてしまった」と言われた。(54:34)

その夜、私はホテルで泣いた。しかしそのとき先生に、「竹中君、これはコップのなかの争いだ。こんなことに負けちゃいけない。もっと大きな世界を見ているんだ」と言われた。立派な先生だったと思う。「必ず見てくれる人がいるから」と。実際、その顛末を聞いた大阪大学が「うちに出せ」と言ってくれた。それで私は大阪大学から博士号をいただいた。結局、そうしたときに少し引いてみるということの積み重ねが必要ではないか。もちろん引いて見るばかりでは駄目で、また現場に戻り一生懸命考えなければいけないが、その組み合わせがリーダーには不可欠だと思う。(55:12)

会場(時田由美子氏・CURUCURU代表取締役社長兼CEO):子どもが出来ると母性が膨らんで子どものことを考える時間が増えると、当社の女性社員を見ていても感じている。それが自分の身に起きたとき、「経営者として24時間会社のことを考えることが出来なくなるのでは?」という不安があり、出産を怖いと思ってしまう自分がいる。そうした気持ちとの折り合いの付け方をりんさんにお伺いしたい。(56:07)

小林:私は自身のプロジェクトをスタートさせた翌年に長男を、今は二人目を授かっている。ただ、24で結婚した当時から10年ほどは子どもをつくらないと、主人とも決めていた。で、「キャリアも落ち着いたら産もう」と考えていたら気がつくと34になっていたと。そうなると、特に女性の場合は医学的な期限もある訳で、「今までのように生命について自分で選択するのはおごりだな」と思った。それで二人を授かってみたら意外と…、大変だった(会場笑)。去年はそれで主人とも揉めた。二人だけのときは良かったが、子どもが出来たらやはり自分の好き勝手には出来ない。しかしトップとして仕事はエンドレスに続くし、土日も夜中もお話があればすべて出て行くというようなことをやっていた訳だ。それで「いい加減にしろよ」と。(57:47)

それで長谷川(閑史氏・武田薬品工業代表取締役社長/経済同友会代表幹事)さんとお話をする機会があった際、相談をしてみた。すると長谷川さんは「僕は10時以降一切外出しません」とおっしゃる。土日は毎週奥様と散歩なさるそうだ。「ほんと〜!?」と思ったが、その代わり毎朝4時に起きて1時間、トレッドミルで運動しながら新聞を5紙読むという。そんな風にして二足の草鞋以上のことをしている方がいるなら私も出来るに違いないと。それで今は週3日、夕方6時に子どもを迎えに保育園まで行き、ご飯をつくって一緒に寝ている。で、朝は4時に起きて3時間ほどかけて一気にメール等を片付けている。私もそれでようやく、それまで多くの無駄な仕事をいていたことに気付いた。それで今はようやくバランスをとることが出来はじめた、のかもしれないが、主人は違うと思っているかもしれない(笑)。そういう感じで今も勉強中だ。(59:14)

「円形脱毛症も血尿も体験したが、それでも経験を積むことを美しいと思う。『未来を予測する最善の方法は自らそれをつくること』と信じる」(秋山)

会場(高島宏平氏・オイシックス代表取締役社長):挫折に関する質問を堀さんにもさせて欲しい。挫折感を漂わせない堀さんだが、今まで挫折はあったのだろうか。また、あるとすればどのように立ち直られてきたのかも教えていただきたい。(01:00:30)

会場(本間真彦氏・インキュベイトファンド代表パートナー):大企業の新規事業やベンチャーを育成するのであれば、のれん代の償却を含むM&Aの規制緩和や税制改革が不可欠だと思う。竹中先生はその辺についてどうお考えだろうか。(01:00:53)

会場(絹谷幸太氏・彫刻家):10年後、東京と大阪が必ず壊滅的な状態を迎えると思うが、そのときのビジョンをお聞かせいただきたい。(01:01:25)

堀:僕は挫折や失敗という言葉をほとんど使わない。物事は受け取りようだから、何が起きても天あるいは神様が授けてくれた成長の機会だと考えることにしている。失敗というのは自分が期待していたことと違う方向に結果が動くことだが、仮に失敗しても「こうなって逆に良かった」と、ポジティブに捉えている。その意味ではご質問に答えるのが難しい。松井秀喜選手の言説に面白い著述があった。彼は失敗やエラーを起こしてもそれを認めないそうだ。たとえば新聞記者に「松井さん、今日はエラーしましたね」と言われても、彼は「え?しましたっけ?」ととぼける。失敗を認めるとそれが増幅していくからだ。失敗や成功という概念は自分の頭のなかでつくられていくもの。それならば失敗という概念を小さくして、あるいはそれをポジティブなものに変えることで、エネルギーを生んでいく。(01:02:00)

起業家は何かの壁にぶつかったと思った、その次の瞬間には問題解決に走らなければいけない。挫折感や失敗感を味わっている暇がない。だからそれで行動していくうち、「あれ? なんかあったっけ?」という程度の感覚にしていく。だから僕はそうした挫折の感覚を持っていないので、「答えられなくて申し訳ない」という話になる。それらを思い出して内面まで掘り下げていったら何かあるのかもしれないが、もう忘れたということにしていこうかなと(会場笑)。(01:03:47)

竹中:成長戦略のなかで依然として解決していない大きな問題のひとつに経済社会のメタボリズムがある。つまり新陳代謝の問題。日本では開業率だけでなく廃業率も低い。収益の低い会社が市場に居座り、それを追い出すシステムがないということだ。その一環としてM&Aが上手く進まないという問題がある。日本の大企業は今、世界のなかで圧倒的に小さな規模となってしまった。日本でM&Aが進まないのは、ひとつには今ご指摘いただいた税制の問題があるから。特にのれんを償却するというような諸外国にないような制度が結果的に大きな費用負担になっている。(01:04:23)

そしてもう一つ、従業員が切れない現実もある。選択と集中が必要な訳で、強い部分を取って弱い部分を捨てないとM&Aの意味のなくなるのにそれが出来ない。従って労働市場の改革ということで、明日から再びはじまる産業競争力会議の第二ラウンドでもそれを大きなテーマとする必要がある。この話を出した途端、朝日新聞は「解雇の自由化を主張」と書いた。そんなことは誰も主張していない。「解雇のルールを明確にしよう」と言っているだけだが、結局はそれでまたワイドショー的に議論が歪んでいった。そして志の低い経済人たちは鞘を引っ込めてしまう。それでも進めるためには、まずは政治や官公庁に働きかける。そして可能なら…、経団連は恐らく動かないと思うが、新経連や同友会にも働きかけ、まとまった主張を上げるべきだ。(01:05:26)

そこで思うのだが、川上に議論を上げる一方、川下というか有権者一人ひとりに働きかける必要もあるのではないか。そのシステムが日本にはない。これは政策NPOと言われるもので、アメリカ等ではその分野で大変有名な組織もある。従って、川上へ働きかけるロビイスト的役割と同時に、たとえば「この人はこういう政策思想を持っていて大変信頼が出来ます」といった情報を国民に提供する政策NPOのような組織をおつくりになってはどうか。これまでにはなかった日本の新しい政策イノベーションとして出来ることではないかかと思う。この問題は極めて重要だから、ぜひなんらかの行動を起こして欲しい。皆様で政策NPOの有志を集めてみてはどうか。(01:06:34)

秋山:東京と大阪が壊滅というお話については難し過ぎて直球ではお答え出来ないが(会場笑)、なんとなく、先ほどの出産やキャリアに関するお悩みと同様のご質問ではないかなと感じた。将来、起こり得るリスクはあるし、それについて考える必要はある。ただ、やってみなければ分からないことは多い。従って、「少なくともやってみて上手く行っている人がいるのであれば自分にもやれない筈はない」という風にまず考えるのがベンチャースピリットではないかと思う。(01:07:42)

私はパーソナルコンピューティングの父と言われるアラン・ケイの言葉を座右の銘のひとつにしている。「未来を予測する最善の方法は、自らそれをつくり出すことである」。私も挫折と失敗を繰り返し、円形脱毛症や血尿も一通り経験してきた(笑)。ただ、それでも経験を積むのは良いことだと思う。良い意味で鈍感力がつくし、やらないよりもやってみて軌道修正するほうがクリエイティブだという確信めいた肌感覚があるからだ。東京・大阪の10年後にそこまで確信は持てないが(笑)、何か出来ることがあるのならそれを信じて行動するのが前提。本当にそれが心配であれば脱出して逃げるべきだと思うが、要するにその辺を自分で選択するという話だと思う。(01:08:32)

「グローバリゼーションとローカリゼーションはコインの両面。前者が進むからこそ後者の重要性も増してくる」(竹中)

会場(武井俊輔氏・衆議院議員):地方県議会から衆議院に上がってみると、国会議員には「この人についていきたい」と思える人がいる一方、「こうなってしまうのは…」と思える方もいる。また、後者については10〜20年後には我々もこうなってしまうのかという怖さもある。そうならず常にチャレンジングであり続けるために、そして我々の次の世代が持つ気持ちに対して謙虚であり続けるために、最も気をつけなければいけないことはなんだろうか。堀さんにお伺いしたい。(01:09:55)

会場(紺野俊介氏・アイレップ代表取締役社長):竹中先生にお伺いしたい。我々はインターネットマーケティングの分野で、オペレーションエクセレンスな日本のサービスを武器に世界へ打って出ている。ただ、実際に外へ出てみると外資規制や広告等特定産業に関する規制は大きく、たとえば新興国で事業に取り組みづらいという現実がある。その壁を越えていくためにはパートナーシップが解になると私は思うが、それ以外で、政治的な側面を含め何かソリューションがあれば教えていただきたい。(01:11:05)

会場(岩佐大輝氏・農業生産法人GRA代表取締役CEO):農業生産法人は株式をイグジット出来ず、皆さんから投資もして貰えない。その多くが法制度の問題に起因していると思うが、国としてそろそろ農業生産法人に力を入れていくべきではないかと考えている。ただ、そうしたことを誰に発信していけば制度改革に繋がっていくのかが今ひとつ見えない。竹中先生はこの問題についてどうお考えだろうか。(01:11:43)

堀:僕は三つのことを心掛けている。ひとつは初心。「自分はなんのために何をやっているのか」といったことを書き留めている。何かがあったときに戻るためだ。そして二つ目は自分の欲を削ぎ落とすこと。金銭欲や権力欲を削ぎ落としていないと惑わされてしまう。人間だから美しい女性のほうをふらっと向いてしまうことはあるかもしれないが(会場笑)、社会的な欲求は削ぎ落とす。そうすれば歳を重ねても権力のど真ん中に入っても変わらずにいられるのではないか。そして三つ目が使命感だ。「自分がなんのために生まれてきたのか」「何に自分の人生を使うのか」を真剣に考える。それも書いておくと良いと思う。そうすれば自身の方向性もぶれないと思う。そうは言いながらも「堀さん、変わっちゃったよね」とそのうち言われるかもしれないが、いずれにせよそうしたものをしっかり持つことが世界へ出て行くためにも不可欠だと思う。(01:12:33)

竹中:業態を必ずしも存じあげている訳ではないが、海外へ進出する際の各種バリアは本当に大きい。グローバリゼーションとローカリゼーションはコインの両面で、前者が進むからこそ後者の重要性も増してくる。そこで、たとえば鈴木自動車の鈴木修社長は二十数年間、どんなことがあってもインドにへばりつくことで今日の地位を確保した。私のゼミの卒業生であるマザーハウス代表の山口絵理子さんも同様だ。単身バングラデシュに乗り込んで現在のビジネスを続けてこられた。何かひとつの地域に対するそうした徹底的な思い入れや志が答えになるのではないか。(01:14:23)

それと、農業は本当に成長産業であり、輸出産業になることが出来ると思う。国土面積が日本の1/9に過ぎないオランダは世界第二の農産物輸出国になっている。日本のクオリティを考えたら絶対にその仕組みは可能だ。ただ、頑として動かない強力な参入規制がある。農協の問題と農地法の問題だ。現在の特区は、実はこの岩盤規制を突き破るための機会装置でもある。たとえば愛知県の大村秀章知事も農業で特区申請したいと考えている。そこで、たとえば愛知県のネットワーク等を使う、あるいは農地をお持ちになっている地元の知事さんと共同してやってみる等、ぜひ当事者になって色々進めて欲しい。今回の特区もやり方によっては腰折れしてしまう可能性もあるから、そのなかに自ら入って動かす気概を持っていただきたい。(01:15:42)

会場(為末大氏・アスリートソサエティ代表):海外カンファレンス等を見ていると、正義がもうひとつの正義を攻撃しているだけではないかと思うときがある。皆それぞれに信じているものが違う世界で、それらをすべて取り払ったうえでも人類が共通して持つべき善あるとお考えであれば、それは何になるとお考えだろう。(01:17:09)

会場(山本雄士・ミナケア代表取締役):健康格差が国やコミュニティにとって機会損失であり、経済成長の最も大きな原動力は健康であるという考えのもと、健康と医療に人生を捧げている。ただ、特に若い世代をはじめとして、“自分事”としてこの問題を捉えていない方が多く、忸怩たる思いだ。個人的にビジネスや教育等で色々と動いているが、ムーブメントやマインドセットの変化に繋げることが出来ていない。そこで、「こういう動きが良いのではないか」といったご示唆をいただきたい。(01:17:54)

会場(鈴木隆之氏・ごちまる取締役):堀さんにお伺いしたい。私は日本の大企業からベンチャーに出向しているが、30〜40代の、いわゆる日本の大企業にいるミドルマネジメントが今やるべきことは何だろうか。本セッションを動画でご覧になっている皆様には起業家以外の方も多いと思うので、ぜひ教えていただきたい。(01:19:00)

秋山:たとえばダボス参加者は、一言で表現すれば成功した人たちということになると思う。で、私が知っている限り、成功した人が次に何を考えるかというと、やはり人として善く生きるというところだ。どんどんピュアになる。利害関係を超えたなんらかの共通ゴールが最後に生まれるのなら、やはりそういう部分になると思う。(01:20:08)

竹中:共通のものを議論するのは本当に難しいが、そのやり方が何かと敢えて言うと、むしろ具体的な問題解決だと思う。ダボスのミッションステートメントは‘Committed to improving the state of the world’。世界の問題解決にコミットすることであり、そこで具体的に何が問題かと考える。で、それをじっくり議論していくと、それらのソリューションは意外と共通してくる場合が多いと感じる。それが結局は「共通するものは何か」という話に繋がるのではないだろうかと、かねがね思っていた。(01:20:54)

それと医療・健康の話については、世界から貧困を無くすという運動を続けているジェフリー・サックスの例が素晴らしいと思う。彼は学者としてそのことをずっと主張してきており、知名度もあるからいわゆるコンセプトリーダーになった。ご自身がそうなるのか、または信頼出来る専門家にコンセプトリーダーなって貰うのかは別として、いずれにせよコンセプトリーダーをつくる戦略がまず必要だと思う。で、それでもサックスはなかなか前に進むことが出来なかったが、そこにU2のボノが現れる。サックスの主張に共鳴したアーティストの参加のよって動員力は一気に上がった。そしてサックス自身も世界中を廻って人を集めていって、結果的にそれがマラリア撲滅等にも繋がっていった。マラリア撲滅の過程では、殺虫剤を染み込ませた安く良質な蚊帳をつくることが出来るということで住友化学の名前も広まっていった。従って、コンセプトリーダーとアーティストの組み合わせのような形で一つの社会的ムーブメントをつくるのはどうかと思う。後者はAKBでないほうが良いと思うが(会場笑)。(01:21:48)

「やられた側にもやった側にも正義はある。相対的なものだ。だからまずは自らの正義に向かい勇気を出すほかない」(堀)

堀:大企業の20〜40代については半沢直樹が分かりやすい。「やられたらやりかえす」ってね(会場笑)。あれを観ていて思うのは、内面に原体験、そして「こうしたい」という思いが明確にあることだ。だから大きなエネルギーが生まれる。結局、大事なのは何をしたいのかという明確な意思、それを会社で進める意欲、そして社会を変える使命感だと思う。それがないと燃えてこない。自分が燃えることの出来るものは何かを見極め、その場所に自分を置く。そのうえで竹中さんが仰っていたように戦うこと。そんな気持ちでいたら日本全体でエネルギーが高まると思う。(01:23:27)

そのなかで自分が良いと思うものにどんどん変えていく。為末さんが仰っていた通りで、やられた側にはやられた側の、やった側にはやった側の正義がある。そこでマイケル・サンデルのように「正義とは何ぞや」と言っても答えは出てこない訳で、結局は正義対正義が戦争をするという話にもなる。相対的なものだ。ただ、自分にとって何が正しいかを自分は分かっている訳で、まずはそれに向かって勇気を持って行動すれば良いと僕は思う。そのなかで何が正しいかといった哲学や宗教、あるいはロールモデルや思想に触れていく。そうすれば誰にどう言われようとも、ぼこぼこにされても炎上しても関係ないという気持ちで進むことが出来ると思う。(01:24:25)

小林:では最後に改めて御三方から一言ずつメッセージをお願いしたい。(01:25:41)

竹中:皆様には若いうちに専門性のベースをしっかりつくっておいていただきたい。人生は本当に短い。私も大学ではすでに老教授だ。あと2年半で慶応大学を去る。20〜30代のうちに基礎をつくっておけばその後の成長に大きく活かせる。私自身はそれほど格好良く基礎づくりを意識していた訳ではなく、その時々で一生懸命やってきただけだが、結果を振り返るとそういう面があったのかなと思う。(01:26:10)

そしてもう一つ。そんな風に専門性を極めた時点で、今度はその専門性を超えて欲しい。専門性を超えた領域でリーダーとして本当の力が出てくる。リーダーとしてジェネラルなことをやればやるほど専門性が生きてくるということなのだろう。そしてそのとき、やはり初心を忘れずに戦う姿勢だけは貫いて欲しい。はっきり言って今の時代は何をやっても食っていける。皆に良い顔をする必要はない。振り返ったとき、「批判されてこういう辛い目にも遭ったけれど、俺はこれをやった」と思える人生のほうが面白い。ついでに言うとそのほうがモテる(会場拍手)。ただ、それはまだ実証されていないからその辺に関してはウェルカムということで(会場笑)。とにかく行き詰ったら達観してみて、それでまた現場に戻ったらいい。その繰り返しだ。逆、私たちが絶対に取り返せないのは時間だ。オックスフォード大学内の日時計には「最も罪深いことは時間の浪費だ」という言葉が刻まれている。お金を取り返すことは出来るが時間を取り返すことは出来ない。ぜひ時間を最大の財産として頑張ってください(会場拍手)。(01:27:18)

秋山:今、皆さんはバトンを持っているのだと思う。今取り組んでいるミッションはバトンであり、それは必ず次の誰かに渡さなければならないし、そのバトンを守らなければいけない。ミッションのハードルを下げるという行為は、そのバトンの質を落とした状態で次の人に渡すこと。そうなると受け取った人も「それでいいのか」ということになり、さらにハードルは下がってしまう。従って、限られた能力や時間のなかでも精一杯やるべきことは、今手にしているバトンのハードルを下げず、出来ればさらに高めたうえで次の人に渡すことだと思う。私も悪戦苦闘はしているが、バトンのハードルはなるべく下げず、次の人に渡していこうと奮闘している。小さい背中だが、そういう背中を皆さんに見ていただいていると思うので、ぜひ私を超えて欲しい(会場拍手)。(01:29:01)

堀:時間がないので簡潔に二つだけ。まず、皆さんにはそれぞれの分野で突き抜けて欲しい。日本一になること。で、二つ目は日本国内だけでなく世界で有名になって欲しいということだ。アジア一、そして世界一になって欲しい。それだけだ。そんな風に頑張って欲しい。期待している(会場拍手)。(01:30:57)

小林:フランスのアランという哲学者の「幸福論」という本に、「悲観主義は気分に属し、楽観主義は意志に属する」と書いている。「大変だなあ」と悲観するのは簡単だが、それは気分。未来を楽観するためには私たち自身がその意思を持つ必要があるということだ。そうした勇気を受け取ることが出来たセッションであり、G1アンダー40の二日半だったと思う。今一度御三方に拍手をいただきたい(会場拍手)。(01:31:23)

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