LIXIL・八木洋介氏×コマツ・日置政克氏×良品計画・鈴木啓氏 グローバル・リーダーの育成 

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「グローバル・リーダーに不可欠の貨幣は『リスペクト』と『トラスト』」(古森)

古森:本日のテーマは「グローバル・リーダーの育成」。各所で頻繁に聞かれる課題だが、普遍的かつ個別性も高いことから、解決され言葉が消えるというところまでは、なかなか辿りつかない。本セッションでは、認識の分かれがちな「グローバル・リーダー」の定義から実践まで、幅広い実例を持つ3社に伺っていく。
そもそも、グローバル化と言っても、焦点をあてる地域や事業など内容や進め方は各社各様だし、グローバル人材にしても現地採用なのか日本人が行くのかなど各々イメージは異なる。いずれも自社の戦略に紐づいた定義でなければ意味がない。ただそうした個別性の高さと同時に、一般論として、「今後は連結での売上や人材の過半数を海外で」といった計画を立てている日本企業は非常に多い。
(いずれは国境を越えた人材間の競争が日本人である我々にも当たり前のものとなるだろうが)ではそこで、日本の人材はどうなるのかというと、実はしばらくは暇にはならない。数多くの人材をすぐに採用できるわけでも、育てられるわけではないからだ。数年かけて数字的にも大きなものを海外で得て行こうとするのであればなおさら、当面は日本人が積極的に海外へ出て活躍しなければならない。今はその局面という認識だ。(1:59)
グローバルに見てみると、日本人特有の要素というものは確かにある。人の話をよく聞き、全体の妥結をきちんととることが出来て、場合によっては自己犠牲も厭わない。そんな、世界の人々がなかなか出来ないことを自然と出来る日本人は数多くいる。ただ、その逆も当然ある。たとえば日本人は“個”の部分が比較的弱いとされている。だからグローバルでは変えていくべき部分もあると思うが、そのような強さと弱さの両面を持つ日本人が今後はどのように勝負していくべきなのか。(6:10)
私としては、グローバルな組織でリーダーとして人を動かす“貨幣”として不可欠なのは、「リスペクト」と「トラスト」だと考えている。「あの人は素晴らしい」、「あの人がそう言うのなら」と思われる人なら、国籍に関係なくどこでもフォロアーが生まれる。そうした要素を個人がどのように持ち得ていくのか、そして会社として育成していくのか。そのあたりを踏まえつつ、まずはグローバル・リーダー育成の捉え方、実際の進め方をそれぞれよりご紹介いただきたい。(7:30)

「企業のカルチャーは戦略の一部。勝つための文化を企業自らクリエイトすべき」(八木)

八木:LIXILに移る前は13年ほどGEに、その前は日本鋼管(当時)という会社に在籍していた。日本鋼管は非常に良い会社で、GEは非常に強い会社だ。で、私は強いGEにいたあいだ、なんとかして強くて良い日本企業を実現したいと思っていた。そんな折、GE時代のボスであった藤森義明(LIXIL代表取締役社長兼CEO)に「一緒にやらないか」と声をかけて貰った。それで今年4月からLIXILにて仕事をしている。ただし移って約半年しか経っていないので、今日はLIXILというより私自身が考えるグローバルというものについてお話ししていきたい。(8:42)
まず、「グローバルで勝つ」とはどういうことかと言えば、とにかくばらばらでは勝てない。共通の戦略/リーダーシップ/バリュー/評価制度といったものを持ち、それらを規模のなかで生かす必要がある。従って地域を越えた戦略的一貫性を持つことがグローバルで勝つためには不可欠だ。
そもそもグローバル化とはその会社らしさを持つことだと思う。グローバルで勝っている会社を見ると、皆、「なんとかウェイ」を持っている。トヨタさんもコマツさんもそうだし、 武田(薬品工業)さんであれば「タケダイズム」、GEなら「GEバリュー」。しかもそれらを世界でも徹底している。グローバルというと、ともすると「どこの国でも上手くやる」といった考え方になりがちだが、そんな必要はまったくないと思う。(9:48)
ではそこで人事が何をすべきなのかというと、まずはリーダー、要は社長を育て、評価する必要がある。「A」とか「B」といった査定するという意味ではないが、上手く行っていなければ諫言していくことも含めた育成が大事になると思う。また、勝ちの定義も重要だ。たとえばなでしこジャパンは、「どこのオリンピックで金メダルを獲得する」といったことをきちんと決めて勝利を目指している。つまり戦略だ。(11:56)
我々はそういった戦略を考えるうえで、「人に理解される戦略か否か」を大事にしている。偏差値70の人間しか理解出来ないようなものでなく、世界中の人たちが「これだ」と分かる戦略を持つこと。また、人は必ずサボるものだから、そうならないオペレーションのメカニズムを持つ必要もある。そしてストラクチャー。レイヤーを増やしてはいけない。それに加えて人材・タレントが持つ潜在力を出来るだけ伸ばすため、GE流に言うと「ストレッチ」を行なっていく。それによってデキる人材を次々とポジションに入れていく。年功序列なんてとんでもない。(12:43)
勝つためのカルチャーをつくる必要もある。カルチャーというと「変わらないもの」と認識する方も多いが、企業のカルチャーは戦略の一部。勝つための文化を企業自らクリエイトすべきだ。エンゲージメントも同様に大切だろう。関与、絆と言い換えてもいい。とにかくやる気が出る形をつくる。嘘をつかれたり、社長が本当のことを言ってくれなかったり…、そういった当たり前のことが出来ていないときに社員はやる気を失う。そうならないために当たり前のことをきちんとやっていくというエンゲージメントも不可欠だと思う。(12:39)
ともかく日本には良い会社が多い一方、強い会社が少ないと私は感じていた。リーダーについても同じ。良いリーダーは多いが強いリーダーは少ない。変革の時代に必要なのはリスクをとって進むリーダーだ。日本企業は間違いなく世界一質の高いフォロアーを持っているが、残念ながらリーダーの質は世界一低いのではないか。だからこそリーダーを育てる必要があるし、それさえ出来れば日本は勝てると思う。(14:27)
その育成について言えば、LIXILでは「ELT(エグゼクティブ・リーダーシップ・トレーニング)」という研修を行なっている。そこでまず、「皆さんはリーダーになりたいですか?」と聞くと、当然、皆が手を挙げる。そこで次に「じゃあリーダーって何?」と。すると誰も答えられない。で、「君たちは何になりたいのか分らないけれどもなりたいんだね」と意地悪を言うのだが、要するにこれは「リーダーになりたい」とだけ言って、何も努力していないという話だ。だからこの研修は「リーダーとは何か」を分かって貰うために行う。LIXILでは8カ月、同じメンバーを徹底的に鍛える。それぐらいやって初めてリーダーになるための旅をはじめてくれる。(16:20)
それともうひとつ。日本には経験主義者が多いけれども、経験や仕事をどれほど重ねても残念ながらリーダーにはなれない。必要なのは仕事を通じて何が大事なのかを徹底的に考えることだ。また、リーダーは自分のなかに軸を持たなければいけないが、これを持っていない人も多い。だから「何を基準に物事を判断するか」という軸をつくる必要もあると思っている。(17:35)
また、日本人には良い人が多い。私は“良い子ちゃんモデル”と呼んでいるが、それでは駄目だ。私はいつも「目立て。暴走しろ」と言ってけしかけている。それぐらい言わないと失敗してくれない。失敗して、考え、そして自分の意見を言うべきなのだが、そこで大事なのは自ら行動を起こす気持ちの部分だ。気持ちと知恵の両方が必要ではないかと思う。多くの会社は知恵だけの研修をやっていると感じるが、それをどれだけ行なってもリーダーは育たない。だからなんとかして気持ちの部分でスタートさせるようなことを今はやりたいと考えている。(18:03)

「日本人はグローバル化というものを特別なものとして考え過ぎている」(日置)

日置:リーダー論については、八木さんが熱くお話しになると思っていたので、少し視点を変えていきたい。私としては「経験も大事だよ」と(笑)。リーダーとなるにはまず会社の経験がベースになるということも添えておきたい。
で、グローバル人材に関してだが、もちろん海外売上比率が86%という我々だけに、「日本に戻ってくる」とか、そういうことはまったく考えていない。ただ、ある経営研究者の先生による1982年の著書にはグローバリゼーションという単語が載っていなかった。私の同僚のアメリカ人がこの言葉を使ったことも恐らくない。これは私のこじつけかもしれないが、結局、日本人がグローバル化というものを特別なものとして考え過ぎなのではないか。私としては、世界で活躍出来る人材というのは日本でも活躍出来る人材だと考えている。(19:21)
ちなみに先日、「グローバルタレントマネジメント」を主題とするセミナーへ足を運んだのだが、半分はグローバルタレントのマネジメント、そして半分はグローバルなタレントマネジメントについて考えていて、議論が分かれていた。前者は日本人のことしか考えていない。しかしグローバルにやっていくのであれば、海外の人たちとどのように一緒にやっていくかという考えが不可欠になると私は考えている。(20:40)
また、リーダーシップに関して言えば、私はこれまでフォロアーがすごく大事になると思っていた。「チームワークで補い合うことによって良いマネジメントが出来る」と。しかし今は、リーダーをもっときちんと育てなくてはいけないという気持ちが反省点としてある。あとはそのベースとなる考え方だが、人材育成という言葉には「人材は育てなければいけない」という意味があると思う。しかし人は本当に育てなければいけないのか。自分で努力する部分を置き忘れてしまってもいけないと思う。(21:02)
私たちにとってのグローバリゼーションは、一言で表現すれば「海外の人たちと一緒にやっていこう」ということだ。経営を現地化し、そのトップは海外の人。そしてそれを支える日本人という構図になる。そこでは古森さんが仰っていた通り、ともに働いていくなかでどのようにトラストを築いていけるかが肝になると思う。(22:18)
そんなこともあって、とにかくコマツとしてはグローバル化とともに、社内で言われ続けてきたものづくりに関する価値観や心構え、そして行動基準といったものを世界中でシェアしようと言い続けてきた。「そうすれば一緒に働くうえで気持ちが良いんだよ」と。しかし皮肉なことに、私の感覚ではそれを最も理解していないのが日本人なのかなと最近は思いはじめている。グローバリゼーションにおいて敵は本能寺にあったというのが私の結論だ。(22:43)

「尊敬される人であると同時に、人を尊敬できる人でもあるべき」(鈴木)

鈴木:昨年9月から商品の仕事をしているが、その前は日本で人事を4年、さらにその前はイギリスでヨーロッパの事業責任者を8年半務めていた。
まず当社の場合は良品計画という会社に対してというより、「無印良品(以下、無印)」に対する思い入れの強い人間が多い。従って今日は無印についても少しご説明したいのだが、そもそも無印がスタートした背景にはブランド偏重や行き過ぎた消費社会へのアンチテーゼとして、「生活者の視点でもう一度見つめ直そう」というコンセプトがあった。そのコンセプト自体は時代とともに変わると思うが、環境問題や消費者偏重といったものへのアンチテーゼという意味では一貫している。(24:08)
で、そんな当社のグローバル人材ということで自身の海外経験を交えつつ申しあげると、やはり「互いの違いを認め合い、尊敬して学び合い、最適解を一緒に出せる人材」ということになる。同時に、“エンジン内蔵型”…、と社内では呼んでいるが、自分から動くことの出来る人。また、色々な物事を受け入れることの出来る器を持っていることも重要だ。冒頭で古森さんからあった通り、尊敬される人であるとともに、自らが人を尊敬出来る人材である必要もあると思う。(28:41)
あとは文化の違いに対応出来る対人スキルと語学力。ヨーロッパといってもイギリス人とフランス人とではさまざまな違いがあったし、そこで上手く相手の力を引き出すために私も色々と工夫をした。さらに言えば無印の思想を理解し、それに共感すると同時に異なる文化環境下でそれらを伝え、さらには実現する力を持っている必要がある。当然、実務力も重要だ。自分が仕事を出来ていなければ尊敬はされない。その意味でも、きちんとした専門性を持った人材であることが不可欠だと思う。(29:15)
では弊社がどんな育成をしているかというと、ベースとして、新卒で入社して色々な訓練を受けた人材は、全員ではないが2年目をめどに店長となる。そこで経験とともに色々な苦労をさせていく。で、その一方では半年に一度役員全員が集まって、人材の育成と配置を決めていく「人材委員会」というのも執り行う。そこで議論したうえで、「将来がありそうだな」となった人材については若い段階で海外に出す。理想としてはそこで立ち上げや一人駐在をさせる。自分以外に日本人がひとりもいない状況で修羅場を経験させる訳だ。そこで何人かは失敗してしまうが、何人かは上手くいく。(30:06)
「人材育成委員会」というものもある。これは専門度を高めるためのもので、全社的にさまざまなカリキュラムをつくる。そこで公募性の研修も行う。ここで動き出したプログラムとして、現在72名の課長全員を3カ月間、補充なしでとりあえず海外へ行かせるというものもある。そこで各自テーマを決めさせ、仕事を任せる。とにかく色々なものの見方を知るには相手の立場になって経験させるのが一番早いためだ。(31:13)
あと、2011年には現地法人の取締役を本社執行役員に登用して、中国の事業責任者にした。彼女は当時43歳で、当社で最年少かつ女性初の役員だ。このほかにもフランチャイズ先を含めた海外現地法人から、何人か東京に派遣して貰ったりしている。採用に関していえば、最近やっと海外からの留学生を日本で採用するようになった。もちろん海外からの採用もある。(31:40)

「“良い人”なだけでは勝てない。正義の味方は強くなければいけない」(八木)

古森:「グローバル人材」という部分をもう若干掘り下げてみたい。皆さんが「こういう人を育成したい」というのを端的に表現するとどのような人材像になるのか。(32:52)

八木:御二方のお話を伺っていて、改めて日本企業の“良さ”を感じた。互いの違いを認めて尊敬し合い、学び合う。素晴らしい。ただ、それだけだと“強い”にはなれない。勝てないとも思う。たとえば互いの違いを認めない人間もいる訳で、そういう人間に“がつん”と行くような強さを一方では持つ必要があるのではないかと。
グローバル市場では「とにかく勝つことが大事なんだ」と言う人たちは非常に多い。そこで日本人が「良い人でいきます」と言っても、獰猛な競争を勝ち抜いていくことはなかなか出来ない。良さを守っていくためにも、その良さを伝播していく強烈な個性と強さが鍵になると思う。敢えてそれを言わないと日本の人たちは「良いリーダーな訳だからいいじゃないか」となってしまうが、そうではない。「正義の味方は強くなければいけないんだ」という意味で、もう一歩欲しいと思う。(33:42)

日置:パーソナリティがリーダー定義の上位に来るのではないかと思う。八木さんの資料にパッションという言葉も出てきたが、海外で仕事をするのであれば強いパッションが必要だ。駄目なら駄目、良いなら良いと、勇気を持って言えること。日本人はその辺が弱い。「人と同じことをやりなさい」と、訓練されてきているから。
しかし会社では目立つ人が偉くなる。私は個人個人が大事な属性が持っていると思っているし、それを大事にしたい。一部は先天的かもしれないが、後天的に伸ばせる部分があるのではないか。その意味でもリーダーは絶対に教育から生まれないと思う。重要なのはむしろ、「心配せずにやってこい」といった風に場を与えることではないか思う。(35:43)

鈴木:八木さんが仰っていた通りで、良い子になって「君の言うことを聞くよ」だけでなく、文化の違いに合わせて対応を変化させることも重要だと思う。たとえばイギリス人とラテンの方とは傾向が違うと私も感じた。ラテンの方であればまずは相手に喋らせて、そのあとポイントを押さえて話す。一方、イギリスの方であれば上位下達もきちんと働くが、面従腹背もあるのでそこはきちんとチェックする等、使い分けが大事だ。あとはやはり実務力。リーダーであれば結果を出し、フォロアーであれば自分の仕事を当たり前にこなす。これはどこでも同じだと思う。(37:35)

「KOMATSU Wayは経営陣が繰り返し口にし体現したことが定着につながった」(日置)

古森:3人のお話で共通していたのが「らしさ」といった言葉に代表されるものの考え方だ。無印の思想や「KOMATSU Way」といった、行動自体を生むこれらの考え方をリーダー教育ではどのように浸透させていくのか。(39:11)

八木:カルチャーとは少し別になるが、リーダーの軸をどのようにつくりだしていくかについて言えば、一番良いのは失敗したときや腹が立ったとき…、要するに「この野郎」という感情になったとき、何故そうなるのかを考えさせることだと思う。人は腹を立てるとき、その裏に「厭だ」と思う何かがある。で、さらにその裏には自分が大切にしているものがある。「それを出来るだけあぶり出しなさい」と。それを自分のコアとして、きちんとストーリー化する。「それを100回中100回やって、考えないでも出来るようにしなさい」と私は言っている。大切なものをアイデンティファイさせ、トレーニングのうえでパーソナライズし、‘Live it’つまり、それが日々のなかで生きるようにしなさいと。(39:47)
もちろん会社として「こうしたい」というのはある。ただ、それを黙って聞く人ばかりになってしまうのなら単なるロボット集団だ。面白くもなんともない。多様性があるから面白い。だから会社のコア以外にも自分のコアがないといけない。そうでないと、たとえば社長に何か物を申すとか、自分と違う考えを持った人と議論をするとか、そういうことが出来ないと思う。そこでぐっと押し返す力がぶれない軸という話になるのだと思う。(41:31)

日置:実はコマツではある時期まで、ハードの説明ばかりでソフトの説明がなかった。だから皆がシェア出来るものということで、2006年につくったものがある。で、「それが海外でも使えそうだね」と。というのも、海外ではとかく文化の違いが強調される向きもあるが、違いを理解したそのあとはグローバルでも共通の何かが残るという気がしているからだ。だから、「出来るだけ長く働いて、経験を積んで上に行って欲しい」というリテンションのためにも、「こういうことが特にものづくりの現場で言われているよ」という言葉を拾った。それをまず価値観に、マインドセットにして、それから行動様式として共有しようという話だ。強制は一切していない。「それぞれが自分で考え、良いと思うことを実践して欲しい」というアプローチになる。(42:33)
ただ、それをとにかくトップが繰り返し口にしていった。「KOMATSU Way」のトップには5つの行動基準があり、そのひとつには「従業員に対して会社の状況を直接話しなさい」というものがある。「それなら年2回は話すんだ」と言って、今はアメリカでもインドでも従業員を全員集めて説明してくれている。そういったことを通して「これは本物だぞ」という話になったと思う。あと、教育は代理や外の人間でなく、絶対に社内で上の人間がやるべきだということも肝に銘じている。(44:15)

八木:コマツさんもGEもLIXILも軸の部分はそれほど変わらない。どこが違うかというと、上から下までどれだけ本気になっているか。コマツさんを見ているととにかく会長から社長から日置さんから、皆本気だ。ものすごく書生っぽいことを(会場笑)、ものすごく本気でやっている。それが強さなのだと思う。(45:11)

鈴木:2008年に現職となった社長が…、無印思想の権化とも言えるような人なのだが、社長が当時少し心配していたのは、無印は好きだが良品計画について聞かれるとぽかんとする社員が多かった点だ。そこでグローバルに打って出る際、「ブランドだけでなく会社をどうしたいのか」という話をまとめた。リーダーシップのお話で絡めると、たとえば店長としてどのようにリーダーシップを発揮して売上げを上げていくかといった話だ。そこで実績を上げた人を海外へ派遣して、彼らが現地で良品計画の思想を伝播していった形になる。(46:01)

「外国人、女性など実際に登用することで人材多様性確保の本気度は伝わる」(鈴木)

古森:八木さんは現在、「真剣リーダーシップ塾」というものをやっていらっしゃるが、ここではどのようなことをしているのか。(50:54)

八木:徹底的にいじめる(会場笑)。人間の体は怪我をすると自力で治癒する。リーダーシップも同じ。傷つけられたらそれを克服しようとして力を出す。具体的には1時間ほどの面談を一対一で繰り返し、子どもの頃から今に至るまでの来し方をじっくり聞いたりしていく。そこで「弱いのはこの辺だな」となんとなく分かったら、その弱そうな部分の近くに大きな爆弾を投げつける。「お前はきっとこうだろう」と。そして「素晴らしいものを持っているのだからそれを跳ね除けろ」と。「子供の頃にいじめられていた。だから今の自分には笑顔がない」、「お前今50だろ(まだ引きずっているのか)」と(会場笑)。そのうち、「八木に言われるのは腹が立つ」という気持ちが芽生えていく。それを克服したいと願うようになったら、そのときリーダーシップの旅がはじまるのだと思う。ひとつ間違えるとハラスメントになってしまうが、そこまでやることで相手も気付いてくれる。だから“真剣”なリーダーシップ塾。今はLIXILでは3クラス70人ぐらいで回している。(51:27)

古森:日置さんから「リーダーシップはチームで」というお話もあった。(54:57)

日置:たとえば生産の立ち上げひとつとっても、ものづくりの会社ではひとりでやれることが限られる。社長もよく、「社長が出来ないことはたくさんある」と言っている。結構ウェットな話だと思うし、それがマネジメントやホワイトカラーにとってベストかどうかは分らない。ただ、「ものづくりの現場では皆で一緒に頑張る」という文化は意外とどの国でも共通しているのではと思う。(55:21)
その意味では、「皆で一緒に」ということを演出するのも手だ。日本の製造業は昔からQC大会をやるが、そこで「よく改善をしてくれました」と。グローバルでもそういうことの積み上げが大事になるのではないか。「見える化」という言葉はよく聞くが、それに加えて「見せる化」が心地良さを生むのかもしれない。(56:10)

古森:鈴木さんからは女性でかつ外国籍で初の本社役員が出たと伺った。その登用による変化等は何か今お感じだろうか。(57:40)

鈴木:彼女は元々香港の現地法人でたたき上げの取締役となり、そこで成果を上げていた。実際、無印の思想を体現したような人だ。つまり成果が基準という話だが、とにかくそんな人材を役員登用したことで、海外のメンバーにも「現地の人間に任せるというのは口だけではないな」ということが伝わったと思う。2007年以降、同様にさまざまな国籍の人が入社するようになった。(58:03)

質疑応答

・全員がリーダーになれる訳でない以上、どこかで「この人を育てよう」と見極めるタイミングがあると思う。見極めのコツは?(59:00)
・育成において、相手を追い込みすぎてしまわぬ範囲で適切にプレッシャーをかけていくコツは?(1:04:25))
・リーダーに必要な革新性・突破力などと、協調性・人望などとのバランスをどうとるか?(1:05:25)
・ご自身がリーダーとして日々心がけていることは?(1:08:48)

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