近藤洋介氏×平将明氏×田村謙治氏×中西健治氏「若手政治家が語るこの国の未来」 

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良い政治を届けるための競争原理が働くようになった(近藤)

翁:新進気鋭の政治家の皆様にお集まりいただいていますが、政治はいま非常に困難な状況に直面しています。日本が抱えている問題が沢山ある中で、こういった若手の政治家の方々がどんなビジョンを持っているのか、早速伺っていきたいと思います。最初に今の政治について、どう見ておられるのか。政権交代したわけですが、その意義について。今ねじれ国会になっていますが、その現状をどう捉えておられるのか。一言ずつお願いします。

近藤:私の選挙区は山形県の上杉家の故郷で、米沢から出ております。まず政権交代の意義からお話しします。日本は戦後60年近くほぼ1つの政党で政権を担ってきました。これは先進国でこの国だけです。その空気を変えるという意味においては、間違いなく意義はあったし、今もある。私は2003年に初当選しましたが、それから2期は野党暮らし、3期目は与党暮らししています。政治家として与党と野党の双方を経験しました。競争し合いながら、お客様である国民の皆様にいい商品、いい政治を提供することが使命です。競争原理が働くような時代になったということで、政権交代の意義が私はいまだにあると思います。また数年したら自民党の時代が来ることになるでしょう。

国会にはいったい何の機能があるのか考えると、物事のルールを決める場です。提案してルールをつくり、ルールを決める場であるはずです。法律をつくる場であり、決める場ですけれども、ねじれによって、物事が決められなくなっている。残念ながら今そういう状況に陥りつつある。それは非常にまずいと思っています。野党第一党だったときにしてきたことが、いまブーメランのように返ってきていますから、我々も反省しています。物事が決められなくなっている現状は、どうしたものか。国債の格付けも引き下げられましたけれども、私は別に首相のように「そういうことには疎い」というつもりはありませんから、深刻に受け止めなければならない。課題山積の中で物事が決められない状況をどうしたらいいのか、国会のあり方も含めて大変危機感を持っています。

政権交代はまともな民主主義国家への第1歩(田村)

田村:近藤洋介さんと同じで3期目になります。もともとは財務省、旧大蔵省の官僚でした。学生時代は政治についてまったく考えていませんでしたが、1991年に大蔵省に入って、官僚が政治の場をつくる、その中心になろうという思いで官僚になりました。ところがちょうど入った途端にバブルが崩壊して、激動の時代になりました。当時から色々な構造改革をしなければならない時期に来ていましたが、官僚はもちろん、その上に乗っかっているだけの自民党は何もしない。私が1993年にアメリカ留学をした、ちょうどその頃、政権交代して、11カ月のごく短い期間ながら、細川政権ができました。やはり、まずは政権交代が必要だという思いを強くして帰国してから、しばらく経って立候補しました。

G1サミットの「批判よりも提案を」というコンセプトからすると、少々ずれますが、過去の自民党に対する批判なのでご容赦いただきたいと思います。利権癒着で何もしない。官僚支配というのは結局、官僚にお任せということです。官僚が大きな改革をするはずがないので、そういったことをすべて変えるには政権交代が必要です。ですから、今もいろいろ問題がありますけれども、官僚支配から政治主導へという流れは間違いではありません。そもそも他の先進国、民主主義国家には「政治主導」なんていう言葉はありません。それは政治主導が当たり前だからです。近藤さんが先程おっしゃったように、民主主義では国民が選んだ政治家が主導して、物事を決めるというのは当たり前のことです。日本をそういうまともな民主主義国家にしたい、という思いは当時から今に至るまで持続しています。いろいろ行き詰っていて大変ではありますが、その大きな第一歩を踏み出したわけです。

今こそ国会改革を(平)

平:私はいま2期目で、選挙区は大田区を地盤とする東京4区です。私は世襲でも元官僚でもなく、大田市場という青果市場で仲卸の3代目をやっておりました。現場で野菜を運んだり、セリで売り買いしたりしていました。2005年、当時の小泉純一郎首相が郵政解散した後に自民党から声が掛かりました。公募に応募しましたが、43倍くらいの倍率だったので、決まるまで長い時間が掛かって、自民党公認が決まったのが投票日の25日前です。何の準備もないままの選挙でしたが、小泉ブームもあって奇跡的に12万票を得票して当選しました。非常にラッキーだったのは、世襲・官僚・地方議員出身者は「この先生のお世話になって」ということでしがらみができますが、私は25日間で国会議員になったもので、ほとんどしがらみがなかったことです。

政治の現状を振り返ると、劣化が著しい。自民党は下野すべくして下野しました。当時、与党の中に入って気付いたのは、国益を考えなければならないのに、身内の利益を優先させてしまうことです。世界と伍して戦っていくために、内閣はベストメンバーで組閣しなければならないのに、このお父さんにはお世話になったからその子供を大臣にしましょうとか、そういうことをやる。ワールド・ベースボール・クラシックのときに、イチローだとか岩隈だとかベストメンバーを選んで戦って、韓国に勝ったり負けたりしながらようやく優勝した。そのくらいグローバルな競争は厳しいものであるにもかかわらず、自民党は権力ボケをしていた。ましてや民主党という強いチームが出てきたわけで、最強のチームを作らなければならないのに。たとえて言うなら、長嶋茂雄さんにお世話になったから、一茂さんを四番しましょうというような内閣をつくるわけです。そんなことで勝てるわけがないだろうと、ずっと言ってきましたが、執行部は変わらない。負けるべくして負けた。私は2年前の選挙を冷静に、体質の堕落した自民党と政策の堕落した民主党の戦いだった、と見ています。不幸なのは国民です。

政権交代が当たり前になったことは、確かに良かった。ねじれ国会はおそらくこの先も、選挙区制度の関係で常態化するでしょう。そうすると、大連立を画策する人たちがいる。ナベツネさんとか、小沢さんとか、森さんとか…。老害です。もう勘弁してよ、というのが正直な気持ちです。では大連立ではないなら、どうしていくべきか。ねじれ国会が常態化して政権交代が当たり前となった中で、いかにして新しいルールをつくっていくかということが大事だと思っています。

いま僕らが野党だからといって、与党の足を引っ張っていると政権が戻ってきてすぐ立場が入れ替わる。近藤さんは数年後と言いましたが、多分今年戻ってきてしまいます。ですから、お互い与党、野党を経験して、お互いの痛みがわかる今こそ国会改革をやるべきだと思っております。

日程闘争にあけくれる国会運営(中西)

中西:私は神奈川県選出です。1940年代、50年代から政治がずっと変わってこなかった中で、大きく変わるだろうという期待感を国民に抱かせたという意味で大変重要だったし、これはなければいけなかったことだと思います。

実際に大きく変わっているのかということと、スピード感があるのかということについて、おそらく皆さんには大きなクエスチョンがあるでしょう。私は昨年国会議員になったばかりの1年生議員ですが、それまではずっと民間企業で働いていました。J.P.モルガンという証券会社で21年間、ずっと相場を相手に仕事をしてきたわけですが、そこのスピード感と比べると国会はどうしてこんなにゆっくりなのかと思わざるを得ない。国会運営において、日程闘争が中心になっていることに驚きました。ここまで予算委員会などをやっていれば、法案がこれくらい通って、あとは通さないで済むねとか、そんなことをずっとやっているのが実態です。スピーディーに変えていくためには、やはり仕事の総時間が必要になってくるわけですが、それが確保できない以上は物事がゆっくりと動くことになってしまいます。

昨年の7月に参議院議員になりましたけれども、7月の終わりから1週間だけ臨時国会をやって、その後の2カ月は休会。そして10月の初めから2カ月は臨時国会を開きますが、12月に閉会して、それから1月24日まで国会自体が休みです。国会審議がまったく行われないわけです。1月24日から通常国会が始まって会期が150日ありますが、これは土日を含めての日数なので、賞味110数日しかありません。本来であれば憲法を改正して通年国会にすべきですが、それが困難であれば自主的に延長して国会を開き、法案をどんどん審議していかなければなりません。日程闘争なんかさせないようにしなければ、政策がスピード感をもって動いていかないでしょう。国会改革は超党派で取り組んでいかなければ、絶対に進んでいきません。これが強い問題意識としてあります。

今の政治の一番の問題はリアリティの欠如(平)

翁:ここで次の問題に移ります。いま日本にはいろいろな問題が山積しています。社会保障の問題、財政の問題、成長力の問題などがあり、人口が大きく変化していく中で、1人の若手議員から見て、日本の将来にとって最も重要な課題はなんだと捉えているのか。それぞれ1つずつ挙げて、熱い思いを語っていただきます。

平:様々な問題がありますが、一番の問題はリアリティの欠如です。日本を株式会社にたとえると、国会議員は取締役にあたりますが、その取締役にリアリティがない。ですから、成長戦略においても、まだまだ日本は強いとか、大丈夫だと言って、現実を見ようとしないですね。財政においても、リアリティがありません。

一例を挙げると、税と社会保障の一体改革で、社会保障を持続可能なものにしよう、足りないところを補おうということで、だいたいコンセンサスが取れていて、これくらいの社会保障をやらなければならない、ということになる。そのときの消費税率は、10%上げて15%にしなければならない。消費税15%で安心の社会保障を提供できるなら、なんとか政治家が頑張れば説得できるのではないかという議論があります。ところが、15%の中身は社会保障と税の関係だけであって、プライマリーバランスをどうやって黒字化するのか、17年後には26兆円のギャップが出てきますが、これは計算に入っていません。

さらに民主党さんはどうするのかわからないけれど、マニフェストの予算を事業仕分けと無駄撲滅で16.8兆円捻出するとしていましたが、捻出できたのはフローで実質1兆6780億円ですよ。そうするとここで15兆円、プライマリーバランスのギャップで26兆円のギャップがありますが、実はこれをトータルで議論していません。経営者ならこれをどうするのかという話になりますが、バラバラにやっていてどうにもなりません。

本来なら税と社会保障ではなくて、全体の財政を考えるべきです。そこで必ず抜けるのが経済成長です。経済財政担当大臣の与謝野さんから、財政の話は聞いたことがありますが、経済の話を聞いたことがありませんね。ですから経済成長をどう絡めていくのか、ということも考えなければなりません。

繰り返しますが、今の政治の一番の問題はまさにリアリティの欠如です。問題を直視していない。「不都合な真実」はすべて目の前に出して、合理的な処方箋をいくつかつくり、その上で各政党がマニフェストに掲げて、国民の選択を得ればいいと思います。つまり、いわば日本株式会社の取締役が機能してないので、これは我々の問題として解決していかなければなりません。

日本を「誇り」を持てる国にしていくための2つの要素(田村)

田村:課題についてはいろいろあってそのどれも重要ですが、1つ挙げるとすると、「誇り」だと思っています。日本に対する誇り。それをブレークダウンすると、それぞれの政策になります。日本を新たな誇りを持てるような国にしていくために、2つだけピックアップします。1つ目は、持続可能な国にすること。そして2つ目は、外交において、国際的に高い地位を占めていくことです。それ以外にもいろいろありますけれども、この2つは大きな要素に入ります。

1つ目の持続可能というのは、まさに税と社会保障、経済の話になります。税と社会保障については、結局のところ自民党政権時代にずっと増税を棚上げしたてきたわけです。増税の絶好のタイミングは、景気を考えると、小泉政権の時代だったと思います。ですけれども、増税を打ち出せば当然のごとく人気が下がるから、小泉さんはしませんでした。自民党が野党に下って、ようやくそういう棚上げをしなくなりました。増税は避けられないということは10年以上前から言われていることですから、そういう意味では与野党一致した考えになってきて、協調する余地が出てきたと見ています。

経済成長に関していえば、いま選択と集中という観点から、政策的にどの分野を後押しすべきかという議論がされています。皆様のようにご活躍の方々を、今後さらに伸びるよう、いろいろ政策面でバックアップしなければいけません。しかし、伸ばせない分野はどうしようが伸ばせないわけです。そこは政策的にお金を使う分野を絞って、本当に伸びるようなところにお金を使わなければならない。そもそも時代的にあなたの会社はもう無理でしょうという方も、「この不景気で能力も気合もあるのに政策面でバックアップが足りない」と大合唱しています。政策的にできることには限界があります。新興国が台頭してきて、今後ますます少子高齢化が進んでいく中で、どのように経済成長していくか。そこはまさに政治に対する国民の意識も転換していかなければいけないし、政治家の中でも転換していかなければならない部分もあるでしょう。

再び経済で世界をリードする国にしなければ(中西)

中西:先程も少し触れたように、戦後ずっと続いてきた体制を大きく変えていかなければいけないということです。昨日、渡辺喜美代表が来場して話しましたが、公務員制度改革や農業政策も変えていくべきだし、中央と地方の役割分担は税金を含めて考えていかなければなりません。年金は人口が増えてくる時代に設計されたものですから。これも変えていく必要があります。

そのために、何としても、日本が再び経済で世界をリードする。そういう期待が持てる国にしていかなければならないと思っています。では経済成長を目指すにあたって、何をすればいいのか。資源のない国で、労働人口も減っていくわけですから、当然生産性を上げ、競争力を高める。そのために何をすればいいのかというのは、メニューが出揃っています。ここにいる4人も考えることは同じで、規制緩和、自由貿易を進めなければいけない。TPPも期限が区切られていますから、6月なんて言わないで早いうちに参加表明して、ルールづくりに日本も参加すべきです。

政府は法人税を5%減税する方針ですが、いま40%の実効税率ですが、5%下げても企業の行動はあまり変わらないと思っています。外国企業を日本に誘致したい。もしくは日本の企業が海外に行かないように、空洞化を避けるということであれば、5%下げるだけではあまり意味がないでしょう。法人税減税の第一歩としてはいいでしょうが、いつまでにいくらまで下げるのか、しっかり示すべきです。例えば3年以内、5年以内に、15%下げて25%までもっていく。こうしたことを指し示して、生産性を上げ、日本の競争力を高めていくことが必要です。

「新成長戦略」 21のプロジェクトを粛々と実行していく(近藤)

近藤:日本の将来にとって最も重要な課題は何か。私は経済が専門なので、自分のやってきたことを絡めて申し上げます。だいたい同じですが、一言でいうとやはり成長に尽きます。この国は何で稼いでいくのかを絞って、それに沿ってしっかり実行することです。

昨年6月、「新成長戦略」を閣議決定しました。これは田村さんや僕ら経済系の政務官でまとめたものです。これには21に及ぶプロジェクトが盛り込んでいます。その中に法人税減税も入れています。法人税5%削減はこれまでの政権ではできなかったことですが、まだ足りないですよね。例えば「アジア拠点化」ということで、海外に出ていった企業が日本に本社を戻してくれたら10%下げる、という施策を取り入れています。

過去の政権の20年間で15のプログラムが出されていますが、実行されてこなかった。我々は21プロジェクトを、とにかくやっていきます。21は多すぎるという声もあります。この間、ソフトバンクの孫(正義・ソフトバンク株式会社代表取締役社長)さんと話したら、失笑されました。「だいたい経営者で21もやったって、できるわけがないんだよ。良くて3つ。1つできれば大したものだ」と。そして「(孫氏が積極的な)『光の道』だけやってくれればいい」と言われました。もちろん「光の道」構想も入っていますが、そういうわけにもいきませんから、21のプロジェクトを実行していきます。

実行するには、それなりに抵抗もあって大変です。我々も情けないですが、総理が途中で変わったことが決定的でした。やはり社長が変わるとスピードが緩みます。事業部長が変わってもスピードが緩みます。そういう事情もあって、遅れ気味であることが気掛かりです。

例えば金融でいえば、「総合取引所」構想があります。ややマイナーな話ですが、金融商品や証券をすべて同一の取引所で扱おうという構想です。実はこれを含めて21のプロジェクトの半分以上は、自民党政権時代からずっと言われてきたことですが、政策に著作権はないので頂いています。役人たちは、こういったことに取り組む気はさらさらありません。ところがユーロネクストとドイツ証券取引所が統合される状況の中で、日本だけがバラバラでいいのか。天下りを抱えている取引所を守りたいという寂しい理由で、役人は反対しています。昨日のセッションでも、「既得権を打ち破ることが重要だ」という話がありましたが、21のプロジェクトのほとんどが既得権に絡んでいます。これを変えなければ、前に進めません。次の総選挙は2年半後ですから、2013年までに実施する工程になっています。21のプロジェクトのうち最低でも6割ぐらいはやらなければと思っています。年内に解散総選挙がありませんから。しっかり政策を実行する時期だと思っています。

経済を理解していればソリューションは似てくる。あとはどう実行するか(平)

翁:皆さんのお話を聞いていると、目指すところは似ていますね。それをスピーディーにやっていただければ、日本がどんなに良くなるだろうかと思います、それでもなかなか進みにくい現状があるわけで、そういった中で政治への信頼が最近かなり低下しています。若手政治家としてどのように政治への信頼を取り戻し、具体的にどのようなアクションを起こしていきたいのか、お伺いします。

平:近藤さんと僕は経済産業委員会でも頻繁に議論をしていて、おっしゃるように考え方は一緒です。でも近藤さんのような考えを持った議員が民主党には何割いるか。私のような考えを持った議員が自民党に何割いるか。民主党のことはよく分かりませんが、自民党は3割ぐらいです。各政策テーマでは専門かもしれませんが、私に言わせれば経済産業政策では7割はピントがズレています。ここが悩ましいところです。政治家にはビジネスセンスがない。まず資金繰りの感覚がないから、時間軸の取り方がおかしい。それに国内のことばかり見ているから、グローバルな競争に対するイマジネーションがまったく働かない。

通商問題において、韓国と日本の間で数%の関税差が付く。これがどれだけ致命的かということが分からない。こういうところに問題があり、かついまグローバルな競争が激しさを増しています。たとえ話をすると、フィギュアスケートで浅田真央さんのように才能に恵まれた人が努力しても、キムヨナに勝てなかったりする。浅田真央さんの足にだけ鉛が5キロぐらいついているような状況で、キムヨナに勝ってこいと言ったって酷な話ですよね。いま通商条件で、これと同様の差がついています。これを取り去る作業を、丁寧にやっていかなければいけません。

では具体的に何をするかということですが、方法が2つあります。1つ目の方法は、近藤さんたちの世代が民主党を乗っ取って、民主党でその政策を実現する。2つ目の方法は、河野さんや世耕さんらが…、今や野党でも非主流派と言われていますけれども、彼らが自民党を乗っ取って、我々がその政策を実現する。それ以外に、奥の手として3つ目の方法があります。いま言った2つの方法が実行できず、もうこのままでは手遅れになるとなったら、今度は政党の縦軸ではなくて、世代の横軸でひっくり返すしかない。国会改革はいま超党派でやっています。自民・民主・みんな・公明といった各党を入れて、議論しています。例えば貸金業法改正もまったく経済合理性がないですね。国民全体を何か禁治産者扱いするような馬鹿馬鹿しい法律になっているので、こういうものも超党派で変えていこうとしています。

大きな課題である程度の経済合理性を理解する政治家が出すソリューションとは、だいたい決まっています。ただそれを自民党でやりきれるのか。民主党でやりきれるのか。党内を乗っ取ってできればそれに越したことはないけれども、政治的なハードルはかなり高いので、それぞれが超党派でよく勉強して、間に合わないときは横で連携して政界再編をする。今までの政界再編は好き嫌いや数合わせでやっていましたが、もう、そうした数合わせの政界再編をやっている余裕はありません。

マスコミでしばしば超党派の話題が出てきているので、皆さんもそれにご注目ください。なぜ国会改革から始めたのかというと、政策的に差がないからです。まず国会改革から入っていって、次に税と社会保障、通商、農業改革、成長戦略、国防をどうするのかというところまで入っていけば、政界再編のプラットホームができてくるでしょう。そういうことができるようになったのは、自民党の中では、長老議員の影響力がほとんどないからです。いま派閥のドンが何を言おうが、若い議員は怖くも何ともありません。小選挙区制になって、資金面で世話にもなっていないので、正論を吐くことができます。もう時代が大きく変わってきています。そういう土壌がようやく出来てきました。

1票の格差を放置して国会の正当性は保てない(近藤)

近藤:具体的に何をやるか。平さんと思いは同じですから、重複を避けて違う観点から申し上げます。私はG1サミットに今回初めて参加させていただいて、良かったと思います。基調講演で「1票の格差」の問題が取り上げられました。前々から感じていましたが、そもそも2を超える票の格差はあり得ないですよね。確実に1対1になるかといえば、人口の問題があって実現不可能ですが、1票の格差が2を超えるなんていうことは、本来あってはいけない。そこは国会として取り組んで、この格差を是正するというか、まともな選挙運用をする。これが国会議員に即行動を求められていることではないでしょうか。

これから様々なことを変え、国民に色々なお願いをしなければいけない。1票の格差で国会の正当性が失われた中で、何を決めたってダメです。はっきり言って、支持率なんて怖くありません。4年間は保障されています。たとえ支持率が3%まで下がっても、僕は解散する必要はないと思っています。だけどその本丸の国会が、参議院で1:5の格差があるようでは、おかしい。

それから党内にも問題を抱えています。私は民主党の議員ですから、政権政党としてきちっとしなければならないのは、小沢一郎さんの問題です。秘書が3人、そしてご本人も起訴されたのに、そのまま党に籍を置いておくということはあり得ません。このけじめは大至急つけるべきです。小沢さんは推定無罪だとか、いろいろ理屈はあるでしょう。司法関係のセッションで、郷原(信郎)さんは見識のあるご意見で小沢を擁護されたかもしれないけれども、社会常識からしてこれはおかしい。民主党そのものの公党としての、ガバナビリティ(統治能力)、あるいは信頼性にかかわる問題ですから、大至急けりをつけなければなりません。

専門知識をもった人を要職に据えるべき(中西)

中西:言っていることとやっていることが違うだろうというのが、政治への信頼を無くす一番の理由でしょう。やっぱり不条理なことがあってはいけない。ですから正しいと思う経済政策を、実行していかなければなりません。参議院選挙の際訴えたことの1つが、郵政民営化です。これは当時の小泉首相が衆議院を解散して、国民の多くの方が民営化すべきだという判断を下したのに、今やなし崩し的に少数与党の国民新党に引っ張られる形で、逆行が行われるようとしています。これはプロセスとしてもおかしいと、私は思っています。決めた通りにやるべきです。

それから平さんのほうから先程、民主党の中で世代交代が起こるのか、自民党を平さんたちが乗っ取るのかという話がありましたけれども、もう1つの道として、みんなの党で頑張るということもあり得ます。近いうちに解散総選挙になった場合には、2大政党が過半数まではいかないという読みが強いのではないかと思いますが、その中でみんなの党がそれなりの議席を獲得すれば、我々の主張が通りやすくなる。イギリスのパターンになりますが、そういう形で政策の実現を図っていくということ、も十分あり得るのではないでしょうか。

また私自身についていえば、冒頭に申上げた通り金融・経済が専門なので、このスペシャリティを活かして、政策を提言していきたいと常々思っています。私は参議院で財政金融委員会に所属しておりまして、為替に関する提言を野田(佳彦)財務大臣に何度も行いました。日銀に対しても、昨年10月に「コペルニクス的転回」があり、大胆な金融緩和をやりましたけれども、白川総裁に「不動産投資信託を買うべきだ」と提言したことがあります。白川総裁が日銀に帰ってから職員に「中西の言っていたことは良かったね」と言ったというようなことを仄聞しています。やはり専門性を活かして、みんながそれぞれの分野でまともな提案をしていく必要があります。それに引き換えある大臣の答弁の中には、私の質問の意味すら分かってないなと思えることがよくあります。専門知識を持った人を要職に据えるべきではないでしょうか。そう強く感じます。

政党も年功序列から実力主義へ(田村)

田村:いろいろありますけれども、先程申し上げたように他の先進国のようなまともな民主主義が、日本では始まったばかりだと思っています。それをさらに進化させるために、2つ申し上げます。1つ目は、政治主導の確立するにあたって、民間人との連携を取るということ。そして2つ目は、民主党も進化するにあたって、年功序列から実力主義へ変えていくことです。

1つ目の政治主導というのは日本独特の用語で、あたかも民主主義の国でないかのようです。大臣・副大臣・政務官の政務三役だけで、政策立案を取り仕切って実行するのは、マンパワー的に無理です。場合によっては民間人に入っていただく。あるいはその役所の幹部、事務次官が民間人でも私はいいと思っています。それによって初めて、役所全体をマネジメントできていくのだろうと思います。

10年来おつき合いのあり、G1サミットの参加者でもある加治(慶光)さんが、公募によって内閣広報室の広報戦略推進官に任命されたと聞いて大変驚きました。このように、やはり民間の知恵を直接的に役所の中に入れていただくとともに、あるいは場合によってはブレーンとして支えていただく。私自身、あるいは民主党としても民間人との連携を取って、いろいろと意見をいただきながら、政治主導を確立しなければなりません。

2つ目は、民主党も年功序列から実力主義へ。民主党も人数の少ないときは年功序列と言っていられなかったわけです。今年で13年目になりますが、これまでトップは鳩山・菅・小沢3人がずっと回してきました。民間の大企業と同じように、年功序列が大企業のように進んできたという、残念な現実があります。菅首相には、もっと頑張っていただきたい。最低でも来年9月の代表選挙まで、あるいは次期総選挙まで。その数年間は頑張っていただく。ただ、そこで首相を引退なさる場合には、これまでのトップ3人が“上がり”になります。そこで自動的に世代交代になってくるわけです。

そこでややこしいのは、次の世代を考えたとき、当選6回は民主党ではかなりベテランになります。昭和17年生まれの小沢さんが当選14回、昭和21年の菅さんが10回、その後はあまりいなくて、昭和28年生まれの岡田(克也)さんは7回の当選です。生まれ年でいえば、昭和35年生まれに当選4回の長妻(昭)さん、当選3回の馬淵(澄夫)さん。昭和36年生まれに当選3回の田嶋(要)さん。昭和37年生まれに当選6回の前原(誠司)さん、当選3回の長島(昭久)さん。昭和39年に当選6回の玄葉(光一郎)さんと枝野(幸男)さん。昭和40年生まれで当選5回の古川(元久)さん。当選3回の近藤さん。私は昭和43年生まれで当選3回です。

要は次の世代の当選6回までの議員は、非常に若い。民主党は20代で当選している議員が多く、私の世代までかなり年齢的にみんな近い。皆さんが知らないような議員は沢山います。当選6回あたりから表面的に出ていますが、当選3、4回の議員が沢山います。そういった人たち全員が実力主義になっていくべきです。私がいま支えているのは前原さん、そしてその次は馬淵さんというイメージで、当選6回と当選3回は全然違いますが、年齢は馬淵さんのほうが上という具合に、民主党内にはややこしい垣根があります。実力主義になれば、さらに強い民主党になっていくでしょう。

もう1つ付け加えると、他の先進国の民主主義というのは、リーダーたる首相や大統領が国民の支持を得ながら、政策を担当していくというのが当たり前のことです。日本では良くも悪くも、小泉政権からようやく始まった。表面的な人気ではなく、リーダーが国民に訴えてその政策を支持してもらったうえで進めていく。そういうリーダーでなければならない。日本も当たり前に近づいてきたわけです。私は去年の代表選のとき、国民の支持を得ない小沢さんはあり得ない、と言いました。そういう中で民主党も、国民の支持を得るリーダーが代表になってしかるべきだと思っています。

国会を改革する5つの提言(平)

会場:政権交代が起きたのは、凄くいいチャンスだと思っています。野党の議員はあまりリアリティのないことを言いますから、政権に入って初めて学ぶことがあるでしょう。逆に与党から下野した議員は野党のうちに、これまで野党が嫌がらせみたいにやっていた、足を引っ張るような慣習を変えていかなければ、政権に戻ったときに、より良い国会運営ができない。あと数年経ったらまた戻るのだから、稚拙な言動は慎もうというような動きが出ているのかどうか、教えていただきたいと思います。

平:最初は民主党の細野豪志さんと話をして、様々な課題がある中で勉強しようとなった中で、国会改革からやろうということになりました。国会改革は実は自民党が与党時代に河野さんや柴山さん、みんなの党に行った水野賢一さん、民主党のほうからは馬淵さん長島さん、細野さんが参加して、7名で出した国会改革があります。これをベースにして今やっています。17名に広げて、公明党も入って5つの提言をしております。1つ目は、党議拘束を緩和して議員立法を出しやすくすることです。社会的要請があるのに、党の事情で出さないということがよくあるので、超党派の横軸で議員立法できるようにします。2つ目は、子供みたいな話ですがヤジの一掃です。3つ目は、党首討論を毎週特定の曜日の夜8時にやる。先日、党首討論を初めてやりましたが、あれは多少なりとも僕らの提言が効いているのではないかと思います。ただし、昼の3時や4時にやってもほとんどの国民は見ません。そのうえ、激しく罵り合っているところだけマスコミが編集して流します。それを見て、したり顔のコメンテーターが、「政策本来の議論をやってほしいですね」と言うわけですよ。ふざけるな、という話ですよ。ですから、編集なしで見ていただきたい。これは政局の取引にしないで、皆さんが見られる夜8時にするわけです。4つ目は、質問の事前通告ちゃんとしようということ。困らせても仕方ないので、事前に通告をしてそれを公開する。平将明はこういう質問をしますよと公開して、視聴者もそれを分かっていて、大臣がどう答えるかを見てもらいます。5番目は、先程の小沢さんの話にも関係しますが、予算委員会が政治スキャンダルばかりになってしまうので、予算委員会は予算の審議をする。その代わり、政治倫理審査会には早々に出席してもらう。

そういう動きを若手でやりたいのですが、どうも上層部同士がうまくいかない。というのも、「質問を早く出せ」と菅さんが言ったって、野党時代の菅さんが一番遅かったのだから…、どの口で言っているんだと思いますよ。これまでは自民党がずっと守り、民主党はずっと攻めでしたが、野球のように攻守が入れ替わるものだから、国民本位、政策本位の議論ができるようにするチャンスなので、我々若手が是が非でも国会改革を進めていきたいと思っています。衆議院・参議院の議長・副議長、議院運営委員長、各国対の責任者に対し申し入れをして、議員向けの勉強会を開きました。そこには議員本人が約70名、代理が60名の計130名が参加してもらっています。今回、出した改革案はすぐできるものということで、法改正のいらないものを入れていますが、今後は会議の問題とか、竹中平蔵さんが提案した「ソールズベリー・ドクトリン」も検討していく方針です。

田村:理解ある若手同士で、そういう議論を進めていることは大変大事です。総選挙より1年くらい前の野党時代、民主党に勢いがついてきて政権を取れるのではないかというとき、我々一部の若手議員からもうそろそろ日程闘争でごねるのはやめようという意見が出るようになりました。政権を取ったらすぐに自分たちに跳ね返ってくるからという議論もありましたが、何が何でも手段を講じて政権を取るということで、とにかく批判ばかりをしていました。それがまさにそのまま跳ね返ってきているという状況にあります。我々が総選挙直前までやってきたことですから。大変残念だなと思っています。現実的に申し上げると、やはり政権与党が4割なり5割なり高い支持率を得ているという状況でなければ、野党の幹部はどんどん突き落としそうとするでしょう。当時の野党民主党と同じことを、ひたすらやり続けると思います。2〜3年後にはおそらく菅首相が変わる。もちろん劇的に支持率が回復して、5年政権になるならそれはそれでいいのですが、局面が変わらない限りは、国会運営が変わるということは極めて難しい。ただその準備をしていくのは、とても大事だと思います。

年功序列を排して本当に素晴らしいリーダーを(会場)

会場:疲弊している日本を、本当に皆さん政治家の方たちが真剣に考えてくださっているのかと疑問に感じて、いつもフラストレーションが溜まっています。私が田村さんの話を伺っていて残念だったのが、当選回数を挙げながら実力主義へとおしゃっていたことです。当選回数はまったく関係ないと思います。本当に素晴らしいリーダーを選んで頂きたい。1ついえば、幼保一体化は遅々として進まないし、待機児童の問題も解決されず、配偶者控除も撤廃されていません。女性ももっと活用していただきたい。何より2013年では、もう日本は沈没する一年前ですよ。とにかくスピーディーにやってほしいと思います。

近藤:幼保一体化について、スピード感がないという指摘はその通りです。先送りの典型例で、霞が関の抵抗に遭っています。簡単にいうと、厚労省管轄の幼稚園と、文科省管轄の保育園は、自民党時代は橋本さんをバックにする厚労省と、森喜朗さんをバックにする文科省の争いで、ニッチもサッチもいかなかった。我々になったらできるのではないかと思っていました。ところが霞が関の官僚は動かない。これは粘り強くやるしかない。幼保一体化は本当に切実な問題なので、やらなければならないという思いです。

田村:年功序列はけしからんという、私が申し上げたことをおっしゃっていただきまして、気を強くしております。もう1つ申し上げると、アジアの民族性、そしてこの日本にも年功序列は気質としてあります。大企業でもまさにそうです。50歳の人が社長になれば、若手大抜擢と言われるわけですね。年功序列を助長しているのは、マスコミにも大きな問題があるのではないかと思います。最も年功序列が激しいところが、マスコミです。某最大手の新聞社のドンが、いまだに幅を利かせている。だいたい現場に出ている記者は30代。40歳ぐらいになると、もう現場では上のほうですね。40代半ばからはオフィスに常駐していて、あとは後輩から得た情報を読んでいるだけ。ですから、現場とは完全に乖離しています。そもそも自民党政権しか知らない人たちが記事を選んでいるので、極めて偏ったバイアスがかかっています。そして年功序列の世界の中にいる記者たちなので、実力主義になるべきだというような記事はあまり書きません。小沢さんが一言いえば、もの凄く大きな記事になりますが、そんなことよりよっぽど大きな政策転換をしても、ベタ記事になるかならないかという状態です。私は記者クラブを早く廃止すべきだと思っていて、それぐらいしないとこの現状は変えられませんけども、そういう実態があるということは皆様にご参考のために申し上げたいと思います。

中西:民主党、自民党を問わず政治全般として、実力主義であってほしいと強く思います。私はいま47才ですが、20代からスタートしなければ、この世界で一角の者になれないということでは、ちょっとおかしいですよね。20代で政治家をスタートするということは、それまでの社会経験が足りないという問題にもなるし、40代でスタートしても決して遅くはないはずです。それから幼保一体化の話がありましたが、保育所の数が現状に追いついていかないという大きな理由の1つに、やはり規制の問題があります。地域のことは地域で決めればいいのに、全国一律でこれだけの広さがなければいけないという規定があるわけですが、東京都と北海道は土地の値段もまったく違いますから、一律で面積を縛るのもおかしい。しかも公立の保育所に多額の補助金が出ていて、この負担を地方がしているので、地域の財政を圧迫しています。子ども手当てを実施するということは、直接補償するわけですから、機関補償はできる限りなくしていくべきです。公立であろうが私立であろうが変わらない、というふうにしていかなければならないと思っています。

マニフェストの説明責任を果たす(近藤)

会場:2つあります。私は平先生と同じ昭和42年生まれですが、寿命が80年とすると真ん中ぐらいになります。1票の格差は都市と地方の話になっていますが、私は世代間格差が大きいと思います。20歳から選挙権がありますが、そこから各年代の比率がまったく違い、上の世代に偏っている。これを解消するために例えば、20代前半で2人が投票すれば3票分に換算されるとか、そういうふうにしていくべきです。高齢者の福祉をないがしろにするわけではありませんが、あまりにも偏りすぎている。ここのところを是正する策を、一緒に考えてほしいと思います。もう1点は、マニフェストについて。民主党も自民党も次に出すマニフェストには、その政策を実現する根拠とプロセスを明記していただきたい。そうしないと、例えば法人税を15%下げて25%にするという政策を掲げるにしても、じゃあ減った分はどうするのかという、関連性のある事柄に対する説明がないと、なかなか次の選挙で支持を得るのは難しいと思っています。

中西:一票の格差については、20代前半なら2人で3票になるというのは、また違う方に助長されてしまうということでなかなか難しい提案ではあります。参議院の格差は高裁で違憲判決が出ているので、これは2013年にある次期参議院選挙のときには改めるために、今通常国会にも法案を提出しなければなりません。いろいろな案が民主党の中でも出ているし、みんなの党が出している案は西岡議長のものと、とても似ています。全国をブロックに分けて、そこに比例代表制を導入していくという制度です。同時にみんなの党の案は、議員定数を大きく削減するものです。政治にカネをかけないことが必要なので、それは是非とも与野党でやっていきたいと思っています。

それからマニフェストは、みんなの党ではアジェンダと呼んでいますけれども、政党法を制定しようという話がいま出てきています。政党は政党助成金をもらっておきながら、政党を規定する法律がありません。税金が入っている以上は、政党のガバナンスがどうなっているのか、マニフェストとはどういうものなのか、その進捗状況を報告する義務があるのではないか。公的な色彩のある政党を縛るための、政党法を制定すべき。そういうことではないかと思っています。

近藤:マニフェスト論は、たしかにそうだなと思います。やはり政権が代わって言い訳してはいけないので、できなかったときにきっちり説明するというプロセスが大事です。残念ながら野党時代は霞が関の官僚が情報をくれませんから。おそらく下野した自民党の方々にも、霞が関からかつては局長とか幹部が行っていたのに、いきなり課長クラスになって、まったく情報が取れなくなっているでしょう。政権を取れば霞が関から様々なデータが取れる。だからそれなりのものが政権側はつくれる。しかし逆に突飛なことは言えない。こういうことになります。4年間のうち間もなく2年まで中間決算になりますから、そういった節目に、できなかったことはこういう理由によるものだと、説明するする必要があります。特に経済関係についていわば生き物なので、税収も凄くぶれてしまう。財務省というのはずるいと思います。財源が厳しい、厳しいと言いながら、年度末になったら、2兆円なりの剰余金を急に出てきたりするわけですよ。そういう作戦で、政権に対しても霞が関は正しい情報を伝えていないということがあるわけです。ですから、説明責任も極めて重要だと思います。

平:マニフェストの問題について、ちょっと反論があります。野党だったから分からなかったと言いますが、桁が違います。捻出すると言った16兆が結果13兆だったというのなら理解します。16.8兆が1.689兆だというのは、桁が違いますよね。この車は200km/hのスピードが出るといって売ったものが、20km/hしか出なかったという話なのです。だからもう根本的に間違っていたと認めなさいということ。それから役人の情報は、たしかに野党になると入ってこなくなります。僕らは野党になって、審議官クラスも部長も課長も来ない状態にいったんはなりましたが、やっぱり役所というのは凄いですよ。もう自民党に政権が戻ると思っているから、最近は来る人の位が段々と上がっています。

田村:マニフェストの16.8兆円について、ちなみに私は2009年の総選挙のときに、16兆円はないにしても10兆ぐらいはあると思っていたので、実際に演説でそのように喋っていました。しかし10兆円もなさそうなので、反省をしなければいけないですけれど、ただいま平議員がおっしゃった1689兆円だけでなく、もっとあります。公共事業を削っているので、すでに3〜4兆円削っています。我々は1期4年で政策を実現すると言っているので、今後も削れることを考えれば、2年半後の総選挙までに7兆〜8兆円ぐらいはいけるだろうと思っています。決して10倍に膨らませたわけではないということを、ご理解ください。

梅澤高明氏(A.T. カーニー日本代表):昨日の長谷川さんの経済成長の話と絡めて質問があります。長谷川さんのフォーミュラは、経済成長=労働力×投下資本×イノベーションでした。今日の議論をうかがっていても、労働力人口が減っていくということを前提として、どうやってイノベーションができるか。昨日もそういうトーンが中心にあったように思います。これは前提の置き方が間違えているのではないかと、私は思っています。労働力人口と消費人口を増やすことを真面目に考える。そのためにはもちろん少子化対策が大事だし、短期的には移民が考えられます。投下資本ということからすれば、日本の経済成長率期待を上げるということになるので、日本が国を挙げて、短期的にも長期的にも人口を本気で増やし始めたとなれば、ジャパンパッシングが逆に日本への投資に変わってくるはずだというのが、合理的な議論だと思います。それから、サチュレート(飽和化)している技術革新の後で、さらにどうやってイノベーションするのか。なかなかこれは難しいと大企業の経営者の方がおっしゃっていましたが、それは日本人だけで極めて同質な日本市場をプラットホームにしてイノベーションしようとすれば、それはサチュレートします。ホームマーケットをある意味で内側からグローバル化する。それから企業も内側からグローバル化する。これをやればまったく違ったストーリーができるように思います。この問題についてどうお考えでしょうか。

近藤:移民、労働の話はそうですね。僕は移民にYesとは正面切ってまで言いません。しかし実際、移民の方やブラジルの日系2世3世がいなければ、自動車部品工業がもちません。認めていないのに入れているという、この構造を直さなければいけない。僕らが政府でやろうとしているのは、高度人材を積極的に入れることです。法務省は固いのですが、いずれにしろ実行あるのみで、2013年まで待てないということだと思っています。僕ら政権党にいる人間は一生懸命政府の中で、もしくは与党の中で、制度を変えていくために動き出すときだと思っています。平さんら心が通じる方々とは、個別の法案ごとに一緒に制度をつくっていくということを、一歩一歩やって結果を出していこうと思っています。

平:投下資本と労働力と生産性向上の話が出ましたが、移民をすると言っても、生半可ではダメだと思います。100万人とか1000万人とかそういう単位だと思うので、この政治的コンセンサスを得るのは難しいのが現状です。それ以上に金融緩和なり、将来に繋がるインフラ整備などを思い切ってやるべきでしょう。法人税減税、グローバル特区、成長戦略もまだまだいけるし、さらには一番大きな通商問題など、解決すべきことがあります。それをしながら、移民受け入れの議論に入っていくことになるでしょう。

田村:移民は30年後を見据えて、極めて重要だと思っています。その議論を始めなければいけない。そういう段階です。また少子化対策は、子ども手当も重要です。経済政策に関して、短期中期的な話が出ていますけれども、長期的に考えた場合、教育はとても重要です。それは移民とも絡んできます。まさに人材育成という意味で、内向きになっています。海外勤務が嫌だと言っている商社マンが沢山いるという、想像出来ないような社会になっているらしいので、そこは教育が極めて大事だと思います。

岡本典之氏(株式会社丸八真綿会長):我々一般企業であればP/L・B/S・キャッシュフローがあって、税務会計もいろいろやるわけですが、国の経営状態というのはどうなのかよく分からないということが、そもそもおかしいのではないでしょうか。企業会計と同じようなイメージで数字を毎年出していただければ、意外と今どうなっているのか、どこがどうなのか判断できるはずです。大体の議論は、数字が明確で正しければ、普通の考え方を持っている人であれば、おおよそ同じ答えになると思います。今の状態は様々な数字が色々なところから出てきて、メーターのない車を運転しているようなものです。正確な数字が出せれば多少は良くなるはずですが、ご意見をいただきたいと思います。

近藤:統計の話はまったくその通りです。発表したらガラッと変わってしまうので、日本の統計は非常にまずいです。予算を切られているということもありますが、例えば Excel で公開していません。経産省はExcel で公開するようになりましたが、他の省庁ではそうしていません。

平:正確な数字はありません。B/S、P/Lになっていない。統計ごとにすべて違ってきます。ここは本当に詰めてやらなければなりません。700兆円の資産があっても、正直言って中身は分からない。外為特会とか財形特会はありますが、反対側に負債がある。それをバラしていいのか問うと、財形特会は霞が関埋蔵金でデフォルトリスクをとっていないので、それをどうするのかという問題があります。

会場:政治家に経営感覚が足りない、民間人を登用すべきという話は大賛成です。実際に民間から政治家になるケースが増えていますが、僕らからすると、奇特な例です。先日、私はダボス会議に参加して、非常に参考になる動きを知りました。ベネズエラや南アフリカで、プライベートセクターからパブリックセクターに行くにはどうすればいいかということを、40代の政界と経済界のリーダーが勉強会で議論して、何人かを政界に送っているという事例がありました。そしてその成功事例を各国で共有しました。このG1サミットが、まさにどうやってプライベートセクターの人が政治の場で活躍するか、その議論を両側からする場になればいいのではないかと思っています。そこでご意見をお願いします。

平:なぜ経営者から政界に行く人が少ないのか。奇特な人だということですが、本当に奇特な人しか行きません。なぜなら、経済効率が良くない。給料も下がるし、生活水準も下がります。その風土を変えなければならない。私は地元で300カ所もの新年会に出席しています。不毛ですよね。ですから、政治家は新年会に行ってはいけない、お酌をしてはいけないという法律をつくって(会場笑)、政治家もクリエイティブな生活ができるようになるとうことを、啓蒙していかなければならないと思います。

翁:どうも有難うございました。4人の政治家の方々に大いに力を発揮して頂きたいと思います。

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