ルーム・トゥ・リード ジョン・ウッド会長 −社会を変えるリーダーに必要なこと 

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310万人に学習機会を提供

著書『マイクロソフトでは出会えなかった天職僕はこうして社会起業家になった』(ランダムハウス講談社)が大きな評判を呼び、日本、そして世界で注目を集めているジョン・ウッド氏(45)は、名門ノースウエスタン大(ケロッグ)経営大学院を卒業。マイクロソフトのエグゼクティブに若くして抜擢されるなど、トップビジネスリーダーとして活躍していた。

約束されたキャリアや裕福な暮らし、愛する恋人までをも手放したきっかけは、休暇で訪れたネパールでの体験だった。9年ぶりの長期休暇を取得し、かねてからの夢だった3週間のヒマラヤ・トレッキングの最中、ひょんなことからネパール人男性に出会い、500人の児童を抱える学校を訪問。案内された図書館には、バックパッカーが置いていった本がたった数冊あるだけだった。

衝撃を受けたウッド氏は、すぐに仲間にメールで呼びかけ、数千冊を集めると、数カ月後に学校を再訪。「学校の校長の『次に来るときは、本をたくさん抱えて帰ってきてください』という言葉が私の人生を大きく変えた」と話す。

食い入るように本に夢中になる子供たち。一人の教師は、目を潤ませ、両手をとって感謝の気持ちを伝えてくれた。世界には、同じように本や教育を待っている子供たちが3億人以上いる。悩みぬいたウッド氏は、マイクロソフトを退職。「自分の人生をこの活動に捧げる決心をしました。1000万人の子供たちに本と教育を提供することを目標にしたんです」。

1999年末、NGO「ルーム・トゥ・リード(RTR)」を設立。2008年12月31日現在、7,040の図書館および図書室を開設し、765校の学校を建設。恩恵を受けた子供たちの数は約310万人に上る。2008年には、4時間に1カ所図書館を、1.5日に1校の学校を新設した計算になる。わずか10年の間にこれだけの規模にまで拡大できたのは、ケロッグやマイクロソフトでビジネスパーソンとして学んだ経営手腕が生かされているからだ。

1000万人にアクセスする仕組みとは

RTRへは、ゴールドマンサックス、アクセンチュアなど世界の名だたる企業が寄付しているが、「NGOを安定的に運営していくためには、資金調達先を分散させておくべき」と考えたウッド氏は、個人や財団などからも寄付を積極的に募った。2008年は、年2500万ドル(約25億円)もの寄付金のうち、個人からの寄付金が62%にも上り、企業からの募金はわずか25%を占めるに過ぎない。

巧みなブランド戦略が多額の寄付金獲得につながっている。ニューヨーク・タイムズ、フィナンシャル・タイムズ、ウォールストリート・ジャーナル、サウスチャイナ・モーニング・ポスト、CNNなど主要なメディアからのパブリシティーを獲得し、アメリカで最も影響力のあるトーク・ショー「オプラ・ウィンフリー・ショー」にもゲスト出演。さらにクリントン元アメリカ大統領の支援を得るなど、コストをかけずに活動をPRしてきた。

組織形態も特徴的だ。「非常に高い給料を払って、米国人を途上国に派遣するようなモデルはうまくいきません。有能な現地スタッフがディレクターとして地域住民と協力して活動を展開していることが強みなのです」と話すとおり、ネパール、インド、スリランカ、ベトナム、カンボジアなどの現地ディレクターが責任を持って、リーダーとして意思決定する。地域社会を知り尽くしているからこそ、効果的な施策が打てる。

一方で募金活動のネットワークは、アトランタ、シカゴ、ドバイ、チューリッヒなど世界中に拠点を構えるが、約3000人のボランティアによって運営され、運営コストを最小限に抑えている。例えば東京チャプター(拠点)には275人以上のボランティアが参加しており、2007年の開設以来、企業や個人から2億円以上の寄付金を集めた。ブックオフに本やCD、DVDを引き取ってもらうと査定額にブックオフが10%プラスしてRTRに寄付されるプログラムや、飲食店とタイアップし、ドリンクを一杯飲むごとに100円がRTRに寄付される「BeersForBooks」が次々と開催されるなど、個々人の創意工夫によって活動が行われている。

寄付する慈善団体は星の数ほどある中で、RTRがなぜ選ばれるのか。そこにはNGOという領域にビジネスの世界の“常識”を持ち込んだウッド氏の様々な工夫が垣間見える。例えばNGOとしては珍しく、四半期ごとの財務情報を開示しているほか、学校や図書館の新設情報も逐次更新、資金の流れの透明性作りに余念がない。「NGOだからといって甘えはない。民間企業と同様に業務の焦点をしぼり、オペレーションの効率化を図り、説明責任を果たしていかなければならない」。ビジネスパーソンとして蓄えたスキルや知恵が、社会を変える原動力になっているのだ。

「小学校に通えない子供たちが7700万人いる。貧困を撲滅するには、教育の普及が大前提です。私たちは、1000万人の子供たちに『生涯の贈り物』として、教育を提供したい。それが時代のリーダーとしての、私たちの責任です」

今回の来日で行った寄付金集めのイベントでは、一晩でなんと6500万円が集まった。一つの共感の輪が、さざ波のように広がっていき、やがて大きなうねりとなる。その確かな手ごたえを、ウッド氏は感じている。

『志の高い目標を設定すると、志の高い人々が集まるということです。マイクロソフトでは、「Thinkbig,orgohome!」とよく言われたものです。私も1000万人という果敢な目標を掲げましたが、社会に何か変化をもたらそうとしているみなさんも、周囲から何と言われても、大きな目標を掲げてください』と語りかけた。

対談:ウッド氏×グロービス経営大学院副研究科長中村知哉氏

中村:ネパールの学校の校長先生は、多くのバックパッカーに、「本を持ってきてください」とお願いをしたことと思います。そのなかであなただけがネパールに戻ってきた。なぜそれができたのでしょうか。

ウッド:おっしゃるとおり。校長先生によれば、多くの旅人が、「絶対に支援してあげる」と口先では言ったけれど、その人たちが学校を再び訪ねることはなかったそうです。私がネパールに戻った理由は、マイクロソフトの過酷な勤務から逃げる機会になると思ったからです(会場笑)。冗談はさておき、もう一つの本当の大きい理由をお話しします。

校長先生の話を聞いてから、友人に連絡をし、実家に本を郵送してくれるようにお願いしたんです。「100冊か200冊くらいは集まるかな」と思っていたところ、最初の1カ月で3000冊も集まってしまったんですね。

多くの人たちが本と一緒にメッセージをしたためてくれていて、「教育を支援することはもの凄く積極的でポジティブなことだ」とか、「ただ単に援助金をそのまま支給するのとは違う」という内容が書かれていました。そこで、この取り組みは絶対に成功すると感じました。なぜなら、多くの人たちがこの考えに共鳴してくれたからです。だから私は、ネパールに戻りました。

中村:本の中でジョンさんは、子供時代のことについて触れていますね。本を読むことがとても好きで、図書館員に特別ルールを作ってもらい、貸出制限の冊数以上に本を借りたと書かれています。子供時代のジョンさんについて、少し話してください。

ウッド:非常に頑固でしたね。地域の図書館では、10冊以上の本を借りられなかったんです。当時8歳だった私は、図書館員に「これは本当に馬鹿げたルールだ」と、一生懸命説明しました。

図書館員を呼びつけて、「あなたたちの役割は、子供たちに読書する習慣をつけることですよね。なぜ制限をつけるんですか」と指摘したんです。それから、借りた本は必ず期限内に返していることも強調しました。8歳でも、どちらかという反体制派だったということがお分かりかと思います。だから私は、銀行家としては失敗したのです(会場笑)。

中村:8歳のときから大人と交渉して、特別ルールを作ってもらうというのは、将来のルーム・トゥ・リードの成功を物語っているようですね。

ウッド:まさしくその通りだと思います。このルーム・トゥ・リードの活動に携わるみなさんは、私たちが望みさえすれば、自ら新しいルールを作れるのだと、強く信じています。立ち上げた当初は、悲観的なことしか言わない人が非常に多くいました。多くの専門家は、私のアイデアがうまくいかないだろうと言いました。でも批評家の意見など聞いてはいけません。

東京チャプターを立ち上げた際にも、多くの方々が、「日本だけは絶対うまくいかない」と言いました。しかし、東京での活動は非常にうまく行っています。私だけがこのように頑固で、体制に対して果敢に臨んでいるわけではなく、この東京チャプターの275人のボランティア全員が大きなビジョンを持って、非常に頑固に、しかしながら困難な状況を障壁として考えるのではなく、いい機会としてチャレンジを続けてくれています。

中村:この日本で2年間で200万ドル(約2億円)以上の募金が集まったというジョンさんのお話を聞いて、とても嬉しく思います。ここにいらっしゃる東京チャプターの皆さんに、我々も起業家の学校として拍手したいと思います。本当におめでとうございます。

共感の渦に人を巻き込むリーダーシップ

ウッド:リーダーシップに関していうと、誰かに何かをしてもらうために、金銭の授受がある場合、お金を受け取った人は、支払った人の指示に従わなければならない立場に置かれます。私の考えるリーダーシップというのは、まったくお金が支払われないのに、付いてくる人がいるかどうかが判断基準になります。

まったくお金を払っていないにもかかわらず、どうすれば人々の支援を得ることをできるのでしょうか。三つの方法があると思います。一つは、果敢で志の高い目標を掲げることです。二つ目は、必ず勝利することをみんなが信じることだと思います。やはり敗北するチームではなく、勝利する確率が高いチームに皆さんは参加したいでしょう。三つ目の方法は、結果を出すことです。これまでに765校もの学校を設立し、7000以上の図書室、そして500万冊の本を提供することができたわけです。このようなしっかりとした成果を示すことによって募金が集まるし、人々の関心も高まる。ポジティブなスパイラルが実現していくんですね。

中村:今おっしゃったことは、経営の世界、NGOの世界かにかかわらず、最も新しいリーダーシップの形の一つだと思います。お金を払わない人に、ある意味で自らの意思で何かをしていただくことは、とても斬新な考え方です。ジョンさんはマイクロソフトで学ばれたことが、ルーム・トゥ・リードに生かされているとおっしゃっていましたが、マイクロソフトよりも進んでいることがあります。ローカルマネージャーに米国人を配置しないことですね。ネパールにはネパールの方、カンボジアにはカンボジアの方、南アフリカには南アフリカの方、スリランカにはスリランカの方、それぞれの地域のスタッフが組織を動かしていらっしゃいます。

ウッド:そうですね。私の役割は、各地を訪問して、その地域と常にコミュニケーションを取りながら、彼らが目標を達成するために、手助けすることだと思います。私はこの考え方を、マイクロソフトCEOのスティーブ・バルマー氏から学びました。彼は常に海外出張し、社員と一緒にビジネスに取り組む、非常にエネルギーあふれる方でした。多くの企業のリーダーは、自分の机やアシスタント、スケジュールのなかに隠れてしまうわけです。

ところがスティーブ・バルマーは現場主義で、常にお客様のところに足を運び、社員と一緒に仕事をする。私にとってインスピレーションの供給源でもありました。彼は120億ドルもの資産を持っているので、ゴルフ場で遊んでいたり、バリの海岸でくつろぐことのできる立場にあります。それにもかかわらず、月曜はシドニーに出張し、火曜は香港、今度はシンガポールに行き、香港、東京に行って、その足でヨーロッパを回るという具合に、エネルギッシュに世界各地を回っていました。私が考えるルールは、シンプルです。「机の下に潜っていたら、革命を起こすことは絶対にあり得ない」ということです。

GetStuffDone!行動を起こせば世界は変えられる

中村:ここにいる聴衆のみなさんに、社会を変えていくためのメッセージはありませんか。

ウッド:みなさんが感じている以上に、世界を変えることは出来るんです。世界を変えたいと考えていても、議論に拘泥したり、頭の中であまりにも多くの障害を考え付いてしまい、意欲を無くし、身動きが取れなくなる人たちがほとんどです。私が先日、ハーバード大で講演した際に、一人の学生が私にこう質問しました。「指導教官に『私は世界を変えたい』と言ったときに、『それは無理だ』と言われた。そういう人たちにはどう対応すればいいのでしょうか」。

私は「その指導教官に『Goodbye!』と言うべきである」と答えました。指導教官自身に世界を変える能力がないから、そういうことを言うわけです。支援というのは、決して複雑なことではないんです。例えば「BeersforBooks」やブックオフを通じて支援することができるし、あるいは私の著書を知人や友人に差し上げることも一つの方法なのです。とにかく行動を起こすことが重要です。とにかく行動です。我々のスタッフは非常に楽観的な行動主義者です。国連など様々な国際機関は議論ばっかり。「おしゃべりはもういいから、とにかくやろうぜ」ってことです。

中村:ジョンさんは「情熱や志にしたがえ」と言いますが、こういうことが難しいと思っている人もたくさんいると思うんですね。例えば著書の中で、2004年12月に津波がインド洋で起きたときのことに触れられていますね。5年ぶりに取れた1週間の休暇を、家族と一緒に楽しんでいる最中だった。5年ぶりですよ。それでもニュースを聞きつけるやすぐに、被害を受けたスリランカに渡ったことが書かれています。

ウッド:まず津波の被害で200校もの学校が破壊されたことが、スリランカ政府によって発表されました。私たちの事業計画では、2007年にスリランカにチャプターを設立する予定でした。ところが津波により、スリランカは大きな被害を受けたことを知ったとき、計画を捨てよう。すぐに手を差し伸べなければ」と感じました。

だから私は、CNNに出演し、とにかく一刻も早くスリランカの復興を支援しなければならない、そして子供たちが生活を再構築するためには、どうしても学校を設立する必要があるということを訴えました。CNNの放送が終了してすぐに、ルーム・トゥ・リードの役員の一人から私に電話が掛かってきました。「今すぐスリランカで活動するということですか」という、確認の電話でした。その女性は、スリランカにおいてはまったくスタッフを抱えていないし、資金源もないし、支援活動を行うためのライセンスも得ていないことを指摘してきました。

「それは分かるけど、なぜこれが悪いアイデアなのか」と逆に私は問いただしました。そして津波が発生して1年後までに、ルーム・トゥ・リードは39校の学校を設立しました。そして2年目には80校になりました。これが私たちが常日頃ころから口癖にしている「GetStuffDone(実行あるのみ)」という実例なんです。

中村:グロービスは志を大切にするビジネスパーソンのための学校で、社会や組織の中で「創造と変革」を成し遂げようということを言っています。チェンジを起こすにはおそらく二通りあると思います。一つは、頭のなかの思考が変わることによって、現実が変わっていく方法です。二つ目の方法は、まず行動することです。行動を通じて、我々の思考が変わっていく。日本においては、実はこの二つ目の方法が、昔から伝えられてきた方法です。

皆さんも華道や茶道、武道、書道など、「道」がつく稽古をされたことがあれば思い出してください。師範や師匠と呼ばれる方は、論理的にどのように手を動かすべきか、どのように花を切ったらいいのか、どのように筆を動かすべきかを教えてくれません。ただ、稽古を通じてのみ、型が入って、最後に精神が宿るというふうに言います。ジョンさんのお話を聞いていて、これだけ成功しているのは、「GetStuffDone」、行動ということがベースだからではないかと思います。今日ここにいるみなさんにも、一人ひとり、今日できること、「GetStuffDone」を実行していただきたいと思います。

ウッド:もしも社会変革を起こしたいと皆さんがお考えなら、私のほうから推奨したい本があります。『国境を越えた医師—MountainsBeyondMountains』(小学館プロダクション)という本で、ポール・ファーマーという医師の活動を紹介するノンフィクションです。ファーマー医師は貧困地域の医療問題に真正面から取り組んでいる素晴らしい人物です。ファーマー医師ができること、そして私ができたことは、きっともみなさんにもできます。

それから私は特に大学院に在学中、大前研一氏の著書を読んで感銘を受けました。そしてアジアに興味を抱くようになり、マイクロソフトのアジアの支社で働くようになったわけです。大前研一さんの著書を読んでいなければ、ルーム・トゥ・リードを設立することもなかったと思います。もう一冊。村上春樹の『走ることについて語るときに僕の語ること』(文藝春秋)というタイトルのエッセイ。素晴らしい本です。

でもやっぱりこれでしょう。私の『マイクロソフトでは出会えなかった天職』(会場笑)。英語のタイトルは『LeavingMicrosofttoChangetheWorld』で、直訳すれば「世界を変えるためにマイクロソフトを辞職した」ということです。ビル・ゲイツ氏がマイクロソフトを辞める前に、私がこの本を出せたことが大きなポイントですね(会場笑)。

質疑応答:自助努力を促すモデル作り

会場:「BeersforBooks」のイベントにも参加させていだき、非常にパッションを感じて元気づけられました。しかしジョンさんも人間なので、落ち込んだりやる気が起きないことがあるかと思いますが、そういった場合は、どうモチベーションをキープし続けているのでしょか。

ウッド:私はこういう会場で、モチベーションがとても上がりますね。それに問題を解決したり、人脈を構築していったり、スポンサーになってもらったりということがすべてモチベーションにつながります。正常な心理状態を維持するために、ほかにも二つのことを心がけています。一つは運動です。これは絶対に妥協しません。毎日、必ずスケジュールのなかに、運動する時間を組み込んでいます。二つ目の方法は、夜の9時以降はルーム・トゥ・リードの話はしないことです。24時間365日、ルーム・トゥ・リードのことばかり考える状態はやっぱり良くない。本の話をしたり音楽を聴いて、リラックスしたいわけです。

会場:現地の人にすべてを任せているということですが、現地スタッフとの意見や考え方、方向性の食い違いは、これまで無かったのでしょうか。世界には色々な考え方をする人がいて、現地スタッフが必ずしも望む形ではないやり方をしようとしていたり、熱意を疑うようなこともあったかもしれませんが、そういう場合にどのように対処したのかお聞かせください。

ウッド:南アフリカでは立ち上げ当初、かなり早い段階で会計監査を行いました。その結果、不正が行われていたことが判明しました。そういった場合は、直ちに関係者を解任する必要があります。しかし、幸いなことにこういうケースは稀で、子供の教育を促進するという大きな目標に向かって、大変有能な方々がルーム・トゥ・リードに参加していただいています。バングラデシュでも、ネパールでも、ザンビアでも、現地スタッフの方々には、教育を広げていることが自国の貧困問題の最善の解決策だと、よくご理解いただいています。

会場:教育というのは、実際に子供たちに接する人が重要かと思いますが、発展途上国には子供たちをしっかりと教育できる先生がいるのか。あるいは子供たちは労働力なので、親が学校に通わせず働かせてしまうといった問題も発生するのではないかと思います。それらをジョンさんは、どのように解決しているのかを伺いたいです。

ウッド:素晴らしい質問有難うございます。まず学校設立のモデルについて、簡単に説明します。学校を設立する国の教育省や文部省との間に、「必ず設立した学校に教員を派遣すること」を確約するような契約を結びます。次に、学校を設立する地域の親に、無償で労働を提供してもらいます。例えば、建設にあたって土台を築いてもらったり、100ポンドの重さのセメントを山の上に運んでもらったりなど、教育に対してモチベーションを持っている地域にしか、学校を設立しません。東京チャプターに寄付していただき、ラオスに学校を設立していますが、その地域では、約3000世帯の方々にも、それぞれ100円ずつ寄付いただいているとのことです。これを“ChallengeGrant”と呼んでいます。自助努力のない人に対しては、支援できないという考え方なのです。

会場:教育という分野で大きな貢献をされていますが、またゼロから新たに創り上げることになった場合に、何か関心のある領域はありますか。

ウッド:この世の中には果敢な意思決定を必要とするような、深刻な問題がたくさんあります。一例を挙げると、清潔な水の供給です。清潔な水がないということは、その地域の人々の健康被害につながるし、死亡率が非常に高まります。我々は非常にラッキーで、きれいな水があることが当たり前だと思っています。こういった深刻な課題がたくさんあるわけですが、いま私が関心を向けているのは、ルーム・トゥ・リードの活動をどんどん広げることです。子供たちに教育の機会を与えないことは、悲劇的です。6歳の子供が学校にいけないような状況は、倫理上、許し難いことです。一つ、ポジティブな動きとしては、ビル&メリンダ・ゲイツ財団という慈善基金団体がありますが、この団体が積極的に予防注射の実施を支援しています。もっともっと多くの億万長者が、こうした世の中の課題の解決に向けて、資金を拠出していただきたいと思っています。

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