因果の構造をとらえる: 時空を超えて繋がりを見抜くセンスを鍛えよ! 

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『グロービスMBAクリティカル・シンキング』の4章から「因果の構造をとらえる」を紹介します。

今回ご紹介する「因果の構造をとらえる」は、物事を単に要素分解して細かくするだけではなく、その繋がりを動的に見ようというものです。いわゆる「システム思考」と呼ばれる考え方の重要な要素です。すぐれたリーダーは、どこまで意識しているかは別として、このシステム思考が自然にできていることが多く、俯瞰的に物事を見る能力が高いものです。言い換えれば、点でモノをみるのではなく、繋がりを意識して、ビジネスにおいて何がボトルネックになっているか、悪循環を防ぐにはどうすればいいかなどを察知する能力が高いということです。一朝一夕に身につくスキルではありませんが、だからこそ差別化の武器になるスキルとも言えるでしょう。
(このシリーズは、グロービス経営大学院で教科書や副読本として使われている書籍から、ダイヤモンド社のご厚意により、厳選した項目を抜粋・転載するワンポイント学びコーナーです)

因果の構造をとらえる

因果の構造化とは、事象を相互につなげることで因果関係を図示化し、明らかにすることだ。これができるようになると、因果が相互依存的であることの多いビジネスにおいて、事象の分析に役立てることができる。

因果の構造を考えるには、まず「結果」を具体的に分解し、その大元を押さえることから始める。その結果(つまりアウトプット)と、考えられる原因(インプット)の間を丁寧に詰めることでその関係性を明らかにしていく。丁寧に因果の関係、つながりを考える際には、そのアウトプット(結果)にそのインプット(原因)が直接影響しているのか、ほかに影響を与える事象や前提はないかということを問い続けて考えていく。

事例で考えてみよう。ある企業で、次のような現象が表面的に観察されたとする。

1)課長が忙しい
2) 部下に対する課長の指導の仕方がよくない
3) 部下のスキルが低い
4) 部下の士気が低い
5) 課の業績がよくない

これらの事象には相互に何らかの因果関係がありそうだ。図表のような因果の構造が描けるだろう。

問題の因果関係を把握する(課長が忙しい)

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そうすると、課長の上の部長としては、「課長に人材育成のための研修を受けさせる」「MBO(目標管理制度)により、一定の時間は必ず部下指導に割くようにさせる」というように、2)の課長の部下指導が不十分なことへの方策を打てばいいことがわかる。さらには「自分でやらなくては」と考えがちな課長のパーソナリティに着目して、「部下にあえて仕事を割り振るようにしむける」「課長を代える」など、より高次の原因に対応する方策も考えられることがわかる。このように、より抜本的な打ち手を考える際に、つなげて考えること(因果の構造化)は有用だ。

因果の構造化のメリットとしては、以下が挙げられるだろう。

●問題が生じている全体像やメカニズムを把握することができる
●表面的に「問題に見えるところ」や「悪そうなところ」ではなく、事象が起こる本質を特定することができる
●原因をさかのぼることで、より高次の原因を見つけることができる場合がある
●どこの部分が改善感度が高そうか(したがって、優先的にアクションを取るべきか)を理解しやすくなる
●どこから手をつければ、「ドミノ倒し」的に効率よく問題が解決するか(あるいは「レバレッジが効くか」「二度手間を省けるか」)が把握しやすくなる
●あるところに手を打つと、どのような変化が生じるのかをあらかじめ把握しやすくなる(副作用を避けやすくなる)

忘れてはならないことは、100%正しい因果関係図をつくることが目的ではないということだ(現実につくりようもない)。図をつくることで、自ら徹底的に考える、あるいは関係者間で共有することが可能になるといった、その作業自体に価値がある。

◎因果の構造化の留意点

因果の構造化を行う際のポイントとして、「まずは粗くつくってその後に細かい部分をつなぐ」「最後に重要なところを抜き出す」というプロセスが挙げられる。最初から多くの事象を抜き出し、いちいち関係があるかないかをチェックしていては時間がかかりすぎる。絵画と同じで、まずはラフなデッサンを描き、細部はその後に描くのがセオリーである。また、でき上がった構造図が細かい回路図状態では何がポイントなのかがつかみづらいため、大筋に関係のない枝葉末節は大胆に切り取ることが望ましい。「飛躍しすぎない」ことも重要だ。関連はありそうだが、まだ距離感のある事象については、間を細かく埋める作業を地道に繰り返す必要がある。

次回は、『グロービスMBAクリティカル・シンキング改定3版』から「好循環と悪循環」を紹介します。

◆グロービス出版

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