演繹法: 半端な身につけ方では使いこなせない 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
225e3e66e305328b0b2d9dd78fac4e95

『グロービスMBAクリティカル・シンキング』の2章から「演繹法」を紹介します。

今回の「演繹法」と次回の「帰納法」は、論理展開の2大基本パターンです。特に演繹法は、帰納法に先立ち、古代ギリシャのアリストテレスの時代に確立された人類最古の論理展開と言えるものです。その構造はいたってシンプルです。正しく使えば強い説得力を産みますが、間違った使い方をするとごまかしが効きません。誰の目にも誤りが明確になってしまうため、論理展開力のレベルが容易に見透かされてしまう「怖い」ツールでもあるのです。何事も基本が大事。中途半端な身につけ方で赤っ恥をかかないように、確実に使いこなせるようにしておきましょう。

(このシリーズは、グロービス経営大学院で教科書や副読本として使われている書籍から、ダイヤモンド社のご厚意により、厳選した項目を抜粋・転載するワンポイント学びコーナーです)

演繹法

演繹法は三段論法とも言われる。定義としては、「2つの情報を関連づけて、そこから結論を必然的に導き出す思考法」である。例を挙げよう。

「個人情報の保護をしっかりすることが社会で求められている」……一般論
「D社は業務の特徴として、さまざまな個人情報を取り扱う」……観察事項
⇒「D社は個人情報の保護に力を入れなくてはならない」……導き出される結論

「メリットがデメリットを上回る場合、プロジェクトを実施する」……ルール
「投資案件Bは、メリットがデメリットを圧倒的に上回る」……観察事項
⇒「投資案件Bを実施すべきだ」……導き出される結論

この2つの例を見るとわかるように、演繹法は「ルール」(または一般論)と「観察事項」、そして(必然的に導き出される)「結論」からなっている。つまり、観察事項をルールや一般論に照らし合わせ、観察事項がルールに合っているかどうかで結論を出すのである。

演繹法の仕組み

4466 1

これは、すでに知っている情報と新しい情報を組み合わせて結論を出すという、最も自然な思考方法だ。ただし、ルールや一般論が間違っていたり、論理が飛躍してしまったり、当てはめるべきではないルールを観察事項に当てはめてしまったりした場合、間違った結論を導き出してしまうおそれもある。このような犯しやすい間違いについては、78ページ以降、詳しく述べる。

◎――結論を導き出す:演繹法

まず、演繹法を使って結論を導き出す練習をしてみよう。「   」の中には、それぞれどんな内容が入るだろうか。

演習1
「一般にエクイティのコストは負債(借金)のコストより高い」
「資本コストはエクイティのコストと負債のコストの加重平均で計算される」(注)
「最近P社は社債の発行を行った」
⇒「                         」
(注)厳密にはエクイティのコストと負債のコスト×(1-実効税率)の加重平均で計算される。

解説1
ここでは、最初の2つのルールから、「エクイティの比率が増すと資本コストが上昇する」もしくは「負債の比率が増すと資本コストが低下する」というルールを導出できるかがポイントだ。このルールさえ導ければ、社債は負債の一種であるから、以下の結論が必然的に導き出せる。

「一般にエクイティのコストは負債(借金)のコストより高い」
「資本コストはエクイティのコストと負債のコストの加重平均で計算される」
「最近P社は社債の発行を行った」
⇒「P社の資本コストは下がる」

演習2
「この事業は他社に先行することと、資金調達の2つの条件が満たされれば勝てる」
「他社に先駆けて市場参入した」
「結果として負けた」
⇒「                         」

解説2
この問題は、演習1とは少し傾向が違う。ルールに観察事項を当てはめるというよりは、観察事項を見比べて結論を導き出す形になっている。いわば演繹法の応用だ。

「この事業は他社に先行することと、資金調達の2つの条件が満たされれば勝てる」
「他社に先駆けて市場参入した」
「結果として負けた」
⇒「資金調達がうまくいかなかった」

以上の問題は、それほど難しくないであろう。演習1、2とも、論理を順番にたどっていけばできるはすだ。

次回は、『グロービスMBAクリティカル・シンキング改定3版』から「帰納法」を紹介します。

◆グロービス出版

名言

PAGE
TOP