クリティカル・シンキングとは何か: 最強の武器を身につけよう 

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『グロービスMBAクリティカル・シンキング』の序章から「クリティカル・シンキングとは何か」を紹介します。

クリティカル・シンキングの突破力はありとあらゆる領域に及びます。本文にもあるように、人を動かす力が増す、誰も気がつかないビジネスチャンスに気がつく、組織や部下の力を引き出せる・・・数え上げたらきりがありません。競争がグローバルレベルで激化する昨今、こうした結果をもたらすクリティカル・シンキングの重要性は今後さらに高まって行くのは間違いないでしょう。しかし残念ながら、クリティカル・シンキングの考え方が広がり始めてから20年程度が経ちますが、それを的確に使いこなしている人は驚くほど少ないのが実情です。なんとなく分かったつもりになって通り過ぎていく人が多すぎるのです。クリティカル・シンキングは日々の実践と内省、良き仲間との切磋琢磨、そして良き指導者からの指導が欠かせません。そうした環境をどう整えていくかも、これからのビジネスリーダー候補は真剣に考えなくてはならないのです。そうした問題意識も持ちつつ、あらためてクリティカル・シンキングの意義を確認してください。

(このシリーズは、グロービス経営大学院で教科書や副読本として使われている書籍から、ダイヤモンド社のご厚意により、厳選した項目を抜粋・転載するワンポイント学びコーナーです)

◇    ◇    ◇

ここで、本書のタイトルでもあるクリティカル・シンキングについて説明しよう。「Critical (クリティカル)」という言葉の本来の意味は「懐疑的な」「批判的な」ということであり、したがってクリティカル・シンキングをそのまま訳すと「批判的な思考」となる。日本でも何冊かクリティカル・シンキングに関する書籍が出版されているが、これらの書籍ではクリティカル・シンキングを「健全な批判精神を持った客観的な思考」といったような意味合いで用いている場合が多い。認知心理学の研究者が中心となって心理学的な側面からまとめたものや、「思考の罠」(陥りやすい間違い)についてまとめたものなどがある。

本書における「クリティカル・シンキング」は、上記の「健全な批判精神を持った客観的な思考」という意味合いは維持しながらも、心理学の領域に深く立ち入るのではなく、「ビジネスパーソンが仕事を進めていくうえで役立つ」という観点にフォーカスしている。具体的には、論理思考の方法論(テクニックやフレームワーク等)と正しく思考するための姿勢(心構え)を組み合わせることにより、ビジネスにおいて「物事を正しい方法で正しいレベルまで考える」ことを実現しようとしている。

これらの方法論や姿勢は、実際のビジネスシーンや経営教育の現場で数多くのビジネスパーソンの思考方法を見てきた筆者らが、仕事の生産性を上げるために何が必要かという観点で観察を続けた結果、導き出したものである。

◆クリティカル・シンキングの重要性
ここで、クリティカル・シンキングが注目され、その後さらに絶大な支持をいただくようになってきた背景について再確認しておこう。筆者らが運営しているビジネススクールでも、「クリティカル・シンキング」のクラスは開講以来、一貫して受講希望者が増え続け、東京・大阪・名古屋でこれまでに、延べ3万7千人が受講するに至っている(2012年4月現在)。

ビジネスにおいて新たな価値提供、新たな戦い方が求められるようになり、かつスピードが重視され、情報入手が容易になった現代では、もはや昨日の成功体験は通用しない。こうした中で、何も考えずに前例に従ったり、型にはまった考え方をしたり、単に情報の受け売りをしていては、何の付加価値も提供できず、競争に取り残されてしまいかねない。「なぜ、そうなのか?」「それはつまり、どういう意味を持つのか?」「そもそも、このことを考える必要性はあるのか? 自分はいま何を考えなくてはならないのか?」――こうした問いを常に自分の頭の中で持ち続け、考えることが、変化の激しい時代には必要不可欠であることに、多くの人が気づき始めたのである。

◆クリティカル・シンキングでチャンスをつかむ
一方で、こうした変化はチャンスでもある。かつては成功に縁のなかったような人も、クリティカル・シンキングを用い、物事を正しい方法で正しいレベルまで考えることで、大きな成功をつかむ機会が巡ってくるかもしれない。

たとえば、新規事業の構想にあたり、「なぜこのビジネスは日本で成功しているのに諸外国にはないのか?」「諸外国で成功しない理由を講釈する人がいるが、はたして彼ら彼女らが言っていることは本当だろうか? 思い込みにすぎないのではないだろうか?」「どういう条件が揃えば諸外国でも成功するのだろう?」……このような問いを投げかけ、考え抜ける人にとって、成功の可能性は大きく高まるはすだ。

クリティカル・シンキングは、効率的・効果的なコミュニケーションにも役立つ。つい最近まで日本企業では人材の流動性が低く、ビジネスを行う相手も比較的限定されていた。したがって、立場や発想の違う人と始終コミュニケーションを取るという能力はそれほど必要とされなかったし、腹芸やあうんの呼吸でビジネスが進んでいたことも多かった。しかし、人材の流動化はますます激しくなり、国内のみならす海外の企業とビジネスを行うことももはや当たり前になりつつある。

そうすると、いままであえて言葉に出して伝える必要のなかったことまでも伝えなければならなくなる。あるいは、双方の暗黙の前提を推し量りながら相互理解を成立させなければならない。そして最終的には、相手を説得したり、相手の論理を理解したりできなければビジネスにはならない。そこでもクリティカル・シンキングが大きな意味を持つようになってくる。

物事を正しい方法で正しいレベルまで考えることに、権力や地位の区別はない。誰もが等しくアクセスできて、獲得可能なスキルという意味で、クリティカル・シンキングはあらゆるビジネスパーソンにとって身近なものであると言えよう。上記の例も含め、クリティカル・シンキングができることによる具体的メリットは図表のようにまとめられる。

クリティカル・シンキングの効用

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次回は、『グロービスMBAクリティカル・シンキング改定3版』から「クリティカル・シンキングの3つの基本姿勢」を紹介します。

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