サービスの類型: タイプごとにKSFも大きく変わる 

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このシリーズは、グロービス経営大学院で教科書や副読本として使われている書籍から、重要パートを厳選して、抜粋掲載していく、ワンポイント学びコーナーです。

『グロービスMBAマネジメント・ブックⅡ』からのピックアップ第3回目となるとなる今回は、「サービス・マネジメント」章から「サービスの類型」を選びました。「サービス業」と一口に言っても、あまりに業種が多いため、同一に語れないのは言うまでもありません。自分の属する業界がどのタイプなのか、あるいはどの業界からなら有益なヒントを得ることが可能なのかを正しく理解し、効果的なマネジメントにつなげていくことが肝要です。

サービスの類型

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【POINT】
サービス業には多様な業種があるが、サービスの対象や提供手段といった切り囗で分類することで、タイプごとの違いや、異なる業種間の共通性などが浮き彫りになる。類型化の軸としては、サービスの対象、サービス提供におけるモノの存在、標準化かカスタム化かなどが挙げられる。

◆類型化の意義

サービス業には多種多様な業種が含まれており、同じ業種の中でも企業ごとに多様性があるため、相互の共通点は少ないと考えられがちである。しかし、ビジネスの特徴を捉えて業種別以外の切り口で分類することで、業種間の違いや共通性がわかる。自社のサービスを考えるにあたって、一見異なる業種のビジネスからヒントが得られることもある。活用可能な分類の切り囗を知っておけば、自社がとりうる施策の幅も広がり、経営上で大きなメリットがある。

◆類型化の軸

サービス業を分類する際の代表的な軸のいくつかを以下に挙げておく。

■サービスの対象(ヒトかモノか)
理美容のように顧客本人に直接サービスを提供する場合と、クリーニングのように顧客の所有物にサービスを施す場合とでは、サービス提供プロセスにおける顧客の関与の度合いが異なる。本人が直接サービスを受ける場合には、同時性に起因する課題に対応する必要がある。

■サービス提供におけるモノの存在
サービスを提供する際にモノ(有形物)を介在させるか、させないかでも分けられる。教育やカウンセリングといったサービスは無形物が中心(教室や教材、資料といったモノは利用されるが、それが便益の中心ではない)だが、レンタカーやホテルなどは顧客に有形物を利用してもらうことで便益を提供する。モノに依存しないサービス提供では、変動性が高くて品質の担保が難しい、無形性が高くてサービス価値を伝えにくいといった課題に直面する。

■標準化かカスタマイゼーションか(プロセス型とプロフェッショナル型)
ファストフードやリテールバンキングのように、サービスの内容や結果が標準化され、それに伴って提供プロセスも厳格に定義されているタイプのサービスをプロセス型と呼ぶ。一方、コンサルティングや弁護士・会計士、高級レストランのように、提供するサービスの内容を、顧客の予算や要望に応じてカスタマイズして提供するタイプのサービスをプロフェッショナル型と呼ぶ。プロセス型では、サービス提供が従業員個人に依存せす、提供企業が持つプロセスやテンプレートといった仕組みが効率化や品質の安定化のカギを握る。プロフェッショナル型のサービスは個々の従業員への依存度が高く、優れた従業員の採用・育成や維持が重要になる。

■サービス提供の場所(店舗の有無)
サービス提供拠点としての店舗がある場合は、ターゲット顧客が多く見込まれる商圏内で便利な立地を選ぶ必要がある。また、店舗の存在自体が顧客の認知度を高め、店舗デザインや雰囲気がサービスの品質を知る手がかりとなる。一方、無店舗型サービスの場合は、顧客に提供企業を認知させる手段が限られたり、顧客にとっての品質判断の材料が少なかったりして、顧客開拓の難易度は高くなる。また、無店舗型でも、従業員が顧客のところに赴いてサービスを提供する場合は、顧客接点における品質管理が難しく、従業員の動機づけや採用・教育の重要度が増す。

■契約の有無
スーパーマーケットやレストランのようなサービスは、顧客が多頻度でサービスを購入し、そのつど対価の交換が行われる。一方で、英会話学校や生命保険のように契約に基づいて購入され、顧客から見たスイッチングコストが高いサービスもある。後者では、顧客が購入に際してより慎重な判断を下そうとするので、品質を判断する機会を与えること(無料体験の提供など)や、不安を緩和するようプライシングを工夫すること(お試し価格や品質保証の提供など)が重要になる。

(本項担当執筆者: グロービス ファカルティ本部 梶井麻未

サービス市場の類型例

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出典:博報堂ブランドコンサルティング著『サービスブランディング』(ダイヤモンド社)

次回は、『グロービスMBAマネジメント・ブックⅡ』の「サービス・マネジメント」から「サービスの組織のマネジメント」を紹介します。

ダイヤモンド社のご厚意により、厳選した項目を抜粋・転載しています)


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