技術進化のとらえ方: 意識改革こそIT活用の鍵 

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このシリーズは、グロービス経営大学院で教科書や副読本として使われている書籍から、重要パートを厳選して、抜粋掲載していく、ワンポイント学びコーナーです。

今回は、『グロービスMBAマネジメント・ブック』の「IT」章から「技術進化のとらえ方」をピックアップしました。技術進化は年々スピードを増しており、本書執筆時に比べてもずいぶん様変わりしました。しかし、どれだけ技術が進化しようが、それを経営で活用し結果を残すためには、人々のスキルアップもさることながら、意識変革こそが鍵であることは時代を問わず普遍的真理と言えそうです。

技術進化のとらえ方

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【POINT】
情報機器やコア技術などの急速な進化によって情報利用の可能性が広がり、ビジネスにも大きな影響を与えている。組織にITを導入する過程では、こうした技術面の進歩だけでなく、情報機器や技術を運用する「人」への影響についても配慮しなくてはならない。

◆情報機器の進化

技術革新により、情報処理能力が向上するとともに情報関連機器の価格が大幅に低下したことから、パソコンや通信機器の利用など、企業活動におけるITの導入は急速に拡大した。

この分野の技術革新は、スピードがきわめて速い。ムーアの法則によると、ITの代表格である半導体は、小型化の進展と集積度の加速度的な増加により、コストが同じままで18カ月ごとにチップの性能が2倍になるという。実際には、規模の経済などによるコストの低下と製造技術の改良の相乗効果によって、さらに安く半導体製品を製造できるようになっている。

◆コア技術の進化:デジタル技術とネットワーク技術

ITはデータベース技術とネットワーク技術を核に進展してきた。現在ではこれに情報の蓄積・移動・活用の効率を飛躍的に高めるデジタル技術が加わり、あらゆる情報のコンピュータ処理が可能になった。ここではとくにデジタル技術とネットワーク技術がビジネスに与える影響を3つの側面から考える。

(1)ビジネスプロセスのデジタル化による消費者の取り込み
デジタル技術の進展によって、企業は顧客をより密接に取り込むことができるようになった。たとえば、POSシステムは販売活動から発生する顧客データをデジタル情報に変換して効果的に利用することで、顧客に対して高い価値を提供することを可能にした。また、オンラインでの株式購入や金融サービスへのアクセスなどは、顧客のパソコンを自社のビジネスプロセスに組み込むことを意味している。

(2)電子商取引の実現と取引コストの低下
市場で取引を行うには、取引相手を探すコスト、成約に至るまでの交渉コスト、契約コスト、意思決定コストなどさまざまなコストが発生する。電子商取引(EC) の実現により、こうした取引コストを劇的に低下させることが可能になっている。

(3)知識のデジタル化と共有
最近では、企業における日常の活動やメモなどの文書情報をデジタル化したり、蓄積された文書情報を分析することによって、企業の知識やノウハウを形式化し、関係者全員で共有化するシステムが構築されている。こうした知識やノウハウなどのナレッジは、社員の動機づけに活用したり、外販して収益源とすることも可能だ。

◆導入における技術軸と人間軸

新たなITを組織に導入する場合、技術面だけではなく、人に対する影響も考慮しなくてはならない。人や組織には、いまの状態にとどまろうとする慣性があり、それが新たなITの導入に対する妨げとなる場合があるからだ。

たとえば新たに業務システム(受注管理システムなど)を導入した場合、従来の仕事のやり方や内容が変わったり、仕事そのものが不要になってしまうことがある。それまでのノウハウが通用しなくなるという危機感、新たな学習を強いられる不安感は、新しい業務システムの導入自体への反発につながってしまう。

こうした組織内の軋轢をいかに最小化するかという課題をかかえる企業にとって、「解凍・移動・再凍結」というモデルが参考になる(図を参照)。これは、第5部<19>で紹介したレビンのモデルを発展させたものだ。いきなりITを導入して従業員を混乱させるのではなく、ます教育やコミュニケーションの改善、組織メンバーの意思決定プロセスへの参加などにより、変革の心構えをさせる。準備ができた段階でハード面の改革を実行し、変化を定着させるための教育やコミュニケーションを行う。なお、教育などだけでは解凍や再凍結が進展しない場合は、交渉や強制などのパワーの行使を併用することも検討すべきである。

組織変革のステップ

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出典 : 高木晴夫『企業組織と文化の変革』慶應義塾大学ビジネス・スクール、1992年

次回は、企業経営とITのパートから「ナレッジ経営と競争優位」を紹介します。

ダイヤモンド社のご厚意により、厳選した項目を抜粋・転載しています)

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