組織行動学と人的資源管理: 2つの対照的方法をバランスよく使え 

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このシリーズは、グロービス経営大学院で教科書や副読本として使われている書籍から、重要パートを厳選して、抜粋掲載していく、ワンポイント学びコーナーです。

今回は、『グロービスMBAマネジメント・ブック』の「人・組織」章から「組織行動学と人的資源管理」をピックアップしました。グロービス経営大学院でもこの組織行動学(OBH)と人的資源管理(HRM)の2科目は必修の基礎科目として位置付けられています。組織や個人の特性や成熟度などによってその程度は変化しますが、2つをバランスよく相補的に用い、組織や人に働きかけることで生産性を高めることがリーダーの役割です。

組織行動学と人的資源管理

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【POINT】
人・組織のマネジメントには、部下の管理やリーダーシップなどを扱う組織行動学(OB)と、人員配置や評価制度などを扱う人的資源管理(HRM)という2つの領域がある。いずれも「人の行動メカニズム」に基づいている。両者の具体的な施策閧で整合性を図ることが重要だ。

◆組織行動学と人的資源管理

人・組織のマネジメントは、「組織行動学」(OB:Organizational Behavior)と「人的資源管理」(HRM:Human Resource Management)に分けて考えることができる。本書では、OBを「人や組織に影響を与える“個人の取り組み”」、HRMを「人や組織を動かしていくための“企業の仕組み”」ととらえることにする。

OBとHRMは、社会学や心理学などから導き出された「人の行動メカニズム」(組織において人はどのように行動するかという基本原理)に基づいている。両者の違いは、人や組織に働きかける際に用いる方法にある。人の行動メカニズムを考慮しながら、OBではマネジャーなどの「個人の取り組み」によって、HRMでは評価制度などの「仕組み」をつくることによって、組織や人に働きかける。

企業はOBの考え方とHRMの考え方とを組み合わせて人・組織のマネジメントを行うが、そのときに重要なのは、OBの個別の行動とHRMの具体的な仕組みとの間で整合性がとれていることだ。これらの問で矛盾があると、従業員は戦略目標を見失ってしまい、戦略が実現されないこともある。

これまで、人・組織のマネジメント(とくにHRM)は人事部門の専管事項と見なされることが多かった。しかし、企業の競争優位の源泉となる「ヒト」と、ヒトの持つ「知識」や「知恵」の重要性が増している今日、人事以外の機能を担う部門のマネジャーもOBとHRMを理解する必要がある。

◆組織行動学の視点

OBでは次の2つの側面について考える必要がある。
(1)個人、集団、組織: 人の行動は、「個人」か、「集団」(目的を持った個人の集合)か、「組織」(目的を持った集団の集合)かによって異なってくる。たとえば、意思決定をする場合、要する時間やコンフリクトの多寡などに違いが生じる。そのため、それぞれの特徴を理解しておくことが、マネジメントを行ううえでは重要になる。
(2)認識、行動: 人や組織に働きかけるときには、ますその場の状況を認識し、それから自分がとるべき行動と、それが他者や組織に与える影響について十分に考盧したうえで行動を起こす必要がある。「行動」の前には必ず「認識」というステップを踏むことが重要だ。

◆人的資源管理の視点

HRMは次の4つの要素から構成される。これらは、HRMの施策を立案・評価する際の考え方の枠組みとなる。
(1)HR (Human Resource)ポリシー: 企業の経営理念をもとに戦略を遂行し、ビジョンを実現していくために、組織と人がどうあるべきかを示すもの。したがって、HRポリシーは企業の経営理念、ビジョン、戦略と密接に関係したものになる。
(2)組織構造: HRポリシーに基づいて、個々の構成員をどのように組み合わせて戦略を遂行させるかを決めたもの。
(3)HRシステム: HRポリシーに基づいて、個々の構成員をどのように活用・管理していくかを決めたもの。HRシステムはさらに「人員配置」「報奨」「評価」「能力開発」に分けられる。
(4)組織文化: 組織構成員が共有する信念、価値観、行動規範の集合体のこと。組織文化は厳密には「仕組み」とは言えないが、人や組織の行動に影響を与える重要な要素の1つとして考慮する必要がある。企業は経営理念やビジョン、HRMの施策などを通して、組織文化に間接的な影響を与えることができる。

人的資源管理と組織行動学

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次回は、人・組織のパートから「組織文化と企業経営」を紹介します。

ダイヤモンド社のご厚意により、厳選した項目を抜粋・転載しています)

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