バリューチェーン: 企業活動を価値連鎖で見る超重要分析ツール 

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このシリーズは、グロービス経営大学院で教科書や副読本として使われている書籍から、重要パートを厳選して、抜粋掲載していく、ワンポイント学びコーナーです。

今回は、『グロービスMBAマネジメント・ブック』より「経営戦略」の章から「バリューチェーン」をピックアップしました。定性面、定量面の両面から企業活動を分析したり、事業立案にも応用したりすることのできる超重要分析ツールです。

内部分析:バリューチェーン(価値連鎖)

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【POINT】
バリューチェーンとは、企業が提供する製品やサービスの付加価値が事業活動のどの部分で生み出されているかを分析する手法だ。付加価値に着目することにより自社の優位性の源泉を探って、基本戦略を考えたり、競争分野を決めたりすることができる。

◆バリューチェーンの考え方
内部分析の目的は、競合と比較したときの自社の強みと弱みを把握することにある。それにより、自社の優位性を生かす方向や克服すべき課題が見えてくる。内部分析に役立つのが、ポーターのバリューチェーン(価値連鎖)という考え方だ。これは、事業活動を機能ごとに分解し、どの部分(機能)で付加価値が生み出されているかを分析することで、事業戦略の構築や改善に役立てようというものだ。

1つの製品が顧客のもとに届くまでには、さまざまな業務活動が関係する。ポーターは図のように「モノの流れ」に着目して企業の活動を主活動と支援活動に分け、それにマージン(利益)を加えて全体の付加価値を表している。主活動は、部品や原材料などの購買、製造、出荷物流、販売・マーケティング、アフターサービスなどだ。支援活動は、主活動を支える人事や経理、技術開発などの間接部門である。

この分析では、諸活動を厳密に分類することが目的ではなく、それぞれの活動の役割、コスト、および全体としての事業戦略への貢献度を明確にすることがポイントになる。

◆バリューチェーンの活用
自社の活動において優位性構築の源泉を探ることは、資源配分の検討や基本戦略の決定に役立つ。たとえば、優位性構築にそれほど影響を与えない機能は外部資源の利用を検討するなどして、戦略上より有効な機能に自社の経営資源を投入することが可能になる。また、バリューチェーンのどの部分でコスト削減が可能かを把握することで低コストを武器にしたり、高い付加価値を生み出している機能に集中して差別化を図るなど、自社の強みを生かした戦略を検討することができる。

バリューチェーン分析は、業界構造の分析にも利用できる。事業において決め手となる企業活動を浮かび上がらせることで、業界特性や成功要因を理解することが可能になる。たとえば、医薬品業界では研究開発や販売力が、文具業界では物流体制がとくに重要だ。

さらに業界全体のバリューチェーンを分析することで、自社の位置づけを確認したり、どのような付加価値を生んでいるか把握すれば、自社の事業領域を川上、川下方向に発展(垂直統合)させたり, M&Aなどにより同じ業界内で事業を拡大(水平統合)することを検討する場合に何らかのヒントが得られるだろう。

◆コスト・ドライバー(Cost Driver)
ポーターは事業分析の際にコストに注目し、コストを規定する構造的要因を整理している。戦略の策定に経済性の裏付けは欠かせない。最適な戦略を策定するには、下記のコスト・ドライバーがどのように自社のバリューチェーンに影響を与えるかを定量的に把握することが大切だ。ただし、すべての要素が大きな影響を与えるとは限らないので、状況や分析のニーズに合わせて重要な要素だけに絞り込んで分析するとよい。

1. 規模の経済(または規模の非経済)
2. 経験曲線(ラーニング、経験の共有など)
3. 範囲の経済(他の事業単位との活動の共有化、シナジーなど)
4. 設備などの利用状況(利用度と固定費との関係、利用度の変化など)
5. 連結関係(価値連鎖の最適化、サプライヤーや流通チャネルとの関係)
6. 統合(垂直統合などによる「5つの力」の変更)
7. タイミング(先行者の有利、不利)
8. 自由裁量できる政策(製品政策、技術・マーケティング手段の選択など)
9. 要素コスト(原材料や労働力などの変化)
10. 制度的要因(規制、法律、労働慣行などの影響)

バリューチェーン

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次回は、マーケティングのパートから「マーケティング・マネジメント」を紹介します。

ダイヤモンド社のご厚意により、厳選した項目を抜粋・転載しています)

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