数字力入門(3/4) −散布図でわかる「金持ちは長生きするか」 

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前回のコラムでは、「分析とは比較」だということをお伝えしました。数字はそのままではうまく「比較」できません。実は簡単に比較するための最強のツールがグラフです。

今回はグラフを使って「目で見て」比較することにチャレンジしてみましょう。なかでも、このコラムでは散布図と呼ばれるグラフに焦点をあててみたいと思います。

世の中にはいろいろな分析のツールがありますが、実は皆さんの目ほど「強力」な分析ツールはありません。グラフにして「比較」することで、難しい分析ツールを使うまでもなく、データ間の差異や関係性が視覚的に浮き彫りになるのです。

ちなみに、私が大好きだったシカゴ大学ビジネススクール時代の恩師(統計学)も授業では常に「まずグラフにして必ず目で見てください(EyeballTest!!)」と強調していました。

経済的な豊かさと寿命の関係をグラフで考えてみる

前回、最後に宿題を出しました。

『お金持ちは長生きする?』

どのようなデータ、グラフがあれば言えそうでしょうか。

さて前回の宿題ですが、裕福さと寿命にはどのような関係がありそうでしょうか。裕福になると衛生状態や栄養状態が良くなって長生きするのだろうか。それとも逆にぜいたくすることがあだとなって寿命は短くなるのだろうか。まず実際にデータを集める前にどんなグラフになりそうか予測してみましょう。

この「予測」が意外と大事なのです。この予測なしにデータを見てしまうと、「そうだよね」で思考が止まってしまいがちです。いったん予測(最近は「仮説」と呼ばれることが多いです)した上で、その予測と作成したグラフとが違えば、「なぜだろう」と更に思考が前に進むはずです。というのもそこには、あなたが事前には考えられていなかった何か新しい発見が含まれている可能性があるからです。

では実際に、裕福さと寿命という2つの要素の関係を見比べてみましょう。ここでは国レベルでの裕福さの指標として一人あたりのGDP(最も大切な経済指標の1つですが、ここではあまり難しく考えず、国民一人あたりの平均の収入ぐらいに考えておきましょう)と、更に寿命として平均寿命(出生してから平均して何年生きると期待できるか、0歳での平均余命)をとってグラフにしてみました。グラフの円の大きさは各国の人口規模を表しています。

 

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グラフからは大多数の国にとって、経済的に豊かになると平均寿命が伸びるという直線的な右肩上がりの関係(統計の世界では、相関関係あるいは共変性と言います)が成り立つことがきれいに読み取れます。グラフから「裕福な国であるほど長生きできる」ということは言えそうですね。

実はこのデータは「GAPMINDERWORLD」というサイトのデータをExcelでグラフ化したものです。同サイトでは、実は過去200年強に及ぶ豊かさと平均寿命の関係性を辿ることができます。サイトにアクセスし、是非画面下にある「Play」ボタンを押してみてください。産業革命以降、経済的な発展が各国の平均寿命に与えた影響がグラフの変化として手に取るようにわかります。

散布図はグラフの王様

このグラフは散布図と呼ばれるグラフです。みなさんがよくご存じの折れ線グラフ、円グラフや棒グラフは、1つの数字の変化を見るグラフです。それらとは異なり、散布図は2つの数字の関係を見ることができるグラフで、グラフの歴史の中では画期的な発明とされています。というのも、2つの数字をこのようなグラフの形で「比較」し、関係を見極めることで「因果関係」を推し量ることができるからです。一説によると科学分野で使われているグラフの7〜8割が、この散布図であるとも言われています。まさに前回説明した「Why?(なぜその問題が生じているのだろう?)」に答えるために生まれてきたグラフと言ってもよいかもしれません。「Why?」はじっと数字をそのまま見比べていても因果関係は見えてきません。散布図を使ってグラフ化することで、見えてくるのです。

経営の分野にはもしかすると皆さんがどこかで耳にしたことがあるかもしれない、「規模の経済(規模が大きい方がコストは有利)」「経験曲線(累積でたくさん作れば作るほど、コストは有利)」といった大事な概念があるのですが、実はこういった概念は全て簡単な散布図で表現することができます。みなさんも関係が気になる2つの数字をぜひ散布図にしてみてください(Excelで簡単に作れますよ!)。

改めて、「目」は最強の分析ツール

今日から数字を見る際にはグラフをつかって、目で見て「比較」してみてください。みなさんの目は最高の分析ツールです。

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