MBA経営辞書「埋没原価」 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

埋没原価(SunkCost)

どの選択肢を採用してもそれとは無関連に発生する原価(すでに支払ってしまったお金)のこと。過去の投資などがそれに当たる。

本来であれば、埋没コストが将来の意思決定に影響を与える余地はないはずである。しかし、単純にそう割り切れないところに現実の意思決定の難しさがある。

埋没原価をさらに一般化した心理バイアスに、不合理な固執がある。これは、自分が当初とった行動、あるいは過去の行動に引きずられて合理的判断ができなくなるというものだ。過去の意思決定や投資をなんとか正当化しようとして、本来選ぶべきではない選択肢を選ぶ、などが典型である。

埋没原価へのこだわりは、個人の立場の場合よりも、組織の一員として意思決定する際に、より一層起こりやすくなる。これは、「たとえ将来破局が訪れることが確実でも、いま責任を問われ、つらい思いをするよりはまし。もしかしたら問題を先送りしているうちに事態が好転するかもしれない」という心理によるところが大きいと思われる。

また、そうした意思決定を行う一因として、「一貫性の心理」もある。これは、いったんある立場をとると、「一貫性のない人間とは見られたくはない」という心理が働き、その立場を維持しようと頑なになる心理を指す。さらに、ある立場をとり続けているうちに、自分に都合のいい情報だけが見えるようになり、都合の悪い情報は排除してしまう、という心理メカニズム(確証バイアス)も働く。

埋没原価へのこだわりは、このように複雑な要因が絡み合って起こっているため、根が深い問題と言えよう。

▼「MBA経営辞書」とは
グロービスの講師ならびにMBA卒業生など、幅広い分野から知を結集して執筆された、約700語の経営用語を擁する辞書サイト。意味の解説にとどまらず概念図や具体例も提示し、マーケティング、ファイナンスなどの分野別に索引できる。今後、検索機能ほかサイト機能の追加を行う一方、掲載用語を1000語程度まで拡充した上でサイト上でのご意見の収集ならびに監修の実施を通じた更なる精緻化を図り、グロービス編著のベストセラー書籍『MBAシリーズ』と併読いただける書籍として出版を予定している。

名言

PAGE
TOP