どっちも嫌なのに! -誤った二者択一 

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問題です

以下の会話で、リーダーの良くない点はどこでしょうか

リーダー: 「君には悪いが、今のプロジェクトチームからは外れてもらいたい」
メンバー: 「いきなりなぜですか?」
リーダー: 「複数のメンバーから、君と一緒だとやりにくいという相談があったんだ。君がこのプロジェクトに多大な思い入れがあるのは理解しているが、そういう事情なので納得してほしい」
メンバー: 「でも、いきなり外れろなんてひどいじゃないですか」
リーダー: 「しかし、残るという選択肢はないよ」
メンバー: 「なぜですか?」
リーダー: 「残ったところで、君は針のむしろに座ることになるだけだ。おそらく、皆からも冷たく扱われるだろう」
メンバー: 「・・・」
リーダー: 「君には、おとなしくプロジェクトを外れるか、それとも残って針のむしろの状態に耐えるかという選択肢しかないんだよ。だったら、前者を選んだほうがいいんじゃないのかな」

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解答です

今回の落とし穴は、「誤った二者択一」です。これは、他にも選択肢や可能性があるにもかかわらず、「AもしくはBしか選択肢や可能性はない」と考えてしまう落とし穴です。自分自身がこの落とし穴にはまってしまう場合もありますし、交渉の場において、相手にとってより有利な(自分にとっては不利な)選択肢を相手から奪ってしまうテクニックとしても用いられます。

今回のケースでは、リーダーは

(1)プロジェクトチームを外れる
(2)プロジェクトチームに残って皆から冷たい扱いを受ける

という2つの可能性しかなく、だったら前者をとるべきと勧めています。しかし、ちょっと考えればわかるように、

(3)リーダーが、皆が協力して楽しく働けるような環境作りに努める
(4)逆に、他のメンバーを入れ替える

などの選択肢も本来あってしかるべきです。むしろ、普通に考えれば、まずは(3)の選択肢を模索するのがリーダーの責務でしょう。おそらくそれを面倒くさいと考えたのか、それとも本当に他の選択肢を思いつかなかったのかもしれません。

今回のような単純な例であれば、「そういう状況をマネジメントするのがリーダーの務めでしょう!」などとすぐ反論もできるかもしれませんが、現実には、時間的な余裕がなかったり、精神的に追い詰められていると、岡目八目にはすぐに見える選択肢すら見えなくなってしまうものです。交渉などでは、あえてそうした余裕を奪おうとする老練な交渉者も存在します。

しかし、そうしたペースに乗せられてはいけません。客観的な立場で自分が置かれた環境を眺め、「他の選択肢はないのか」を冷静に考える姿勢が重要です。また、そうした余裕が持てるよう、意識して時間を作ることも必要です。テーマにもよりますが、誰かに相談するのも有効な方法です。

なお、「他の選択肢はないのか」という問いかけの有効性は、今回紹介した「誤った二者択一」の回避に止まりません。よくあるのは、ある課題があったときに、最初に思いついた対応策やアイデアで思考を止めてしまうというパターンです。「これならうまくいきそうだから、まあこれでいいか」という発想です。しかし、本来、世の中には無限の可能性があるはずです。厳しい経営環境が続き、タフな競争に勝ち残らなくてはならない現在、ぜひ、「(ベターな)他の選択肢はないのか」を問いかける姿勢を持ちたいものです。

ちなみに、他の可能性を考える際には、常識を疑ったり、与えられた前提をはずして考えたりしてみることも有効です。たとえば、2002年の日韓共催のW杯は、「一国開催」というそれまでのルールを前提としている限り、実現不能でした。この前提を外すことで、「日本か、それとも韓国か」という、どちらをとっても禍根の残りそうな二者択一から逃れることができたのです。

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