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アイデアを「ゴミ」にしないための10のアクション(後半)

投稿日:2015/09/18更新日:2019/04/09

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前回に続いて、「思いついたアイデアを、新事業の卵に変える10のアクション」を解説していきます。なお、最初の5つのアクションはこちらです。

1. 類似の製品・サービスを知る
2. 市場が空いている理由を知る
3. 既存プロダクトに対する優位性を決める
4. 顧客インタビューでニーズ検証
5. 需要を分解して見積もる

 

6. 顧客開拓方法の具体化

実ビジネス経験が少ない人が軽視しがちなのが、この顧客開拓の展望です。せっかくの面白いアイデアも、顧客開拓の方法を尋ねられた時に「広告で訴求します」とか、「営業や代理店に売ってもらいます」といった素人丸出しの回答しか返せないと、残念ながら「コイツには事業はできない」という判断が即刻下ってしまうでしょう。

顧客開拓に関しては、最初に落としたい顧客5名(BtoBのビジネスなら5社)程度のプロフィールをリアルにイメージしながら、以下のような点を練ってみます。

1) どうやって顧客に新プロダクトの存在を知ってもらうか?(広告などのペイドメディアだけに依存せず、それ以外で何ができるかを考えます)
2) 顧客が新プロダクト購入を検討するタイミングに、どうやって接触を図るか?
3) その時、顧客に対して誰(自社の営業、販売代理店、小売店など)から新プロダクトの価値を伝えるか?彼らが新プロダクトを推すインセンティブは何か?
4) どうやって顧客が製品・サービスを入手できるようにするか?

特に2と3が重要で、どんなに優れたプロダクトでも、顧客が「買おうか?」と考え始めたタイミングで選択肢に入れることと、営業やチャネルが薦めたくなる明確な理由とが揃わないと、事業の売上は期待外れの結果に終わってしまいます。

7. 課金モデルの検討

課金モデルには多種多様なタイプがありますが、アイデア段階では中核となる収入をひとまず決めればよいでしょう。中核的な収入源としては、例えばメーカーや小売業なら販売代金、ウェブサービスの場合は仲介手数料や広告料収入あたりが多いと思います。

その上で、課金モデルを考える際に犯しがちな過ちを2つお伝えします。1つ目は単価の設定に関して。「6. 顧客開拓方法の具体化」で述べた通り、営業や流通を動かすには十分な経済的なメリット(マージンやインセンティブ)が不可欠です。最終顧客への販売単価ばかりに目が行って、こうした営業に必要な経費やマージンを織り込まないままに次の「損益分岐点計算」をしてしまい、後で慌てて単価を修正する人が結構いるので、気をつけてください。

2つ目は、「当面は無償でサービス提供する。ただし顧客数が増えればデータが蓄積され、そのデータを使って色々稼げるはず」という具合に、「フリーミアム」の考え方に影響されることです。理論上は成り立たなくもないですが、取引を増やしても全く収入が生まれない状態が続くと、現場の士気を維持するのが大変難しい点は覚悟が必要です。加えて言うならば、「データを使って稼ぐ」のように「将来的に規模が拡大した時には・・」という前提を置いたストーリーなら誰でも語れます。でもその前に、前提にあたる「規模を拡げる」部分のストーリーに説得力がなければ、将来の話なんて聞くに値しないと肝に銘じておきましょう。

8. 損益分岐点の計算

ここでやりたいのは、利益額を正確な算出ではありません。利益を出せるだけの売上が、市場規模や期待シェアに照らして現実的なのかを、ざっくりと判断することです。損益分岐点分析に必要なコストや貢献利益率の見積もりは、類似ビジネスを参考にすればわかります。市場規模は先の「5. 需要を分解して見積もる」を参照して算出してください。となると判断の分かれ目になるのは、期待シェアです。無数のプレイヤーが乱立する事業でせいぜい数%のシェアに止まるのか、リーダー企業になれば20~30%以上の圧倒的なシェアを確保できるのか。これには「規模の経済が効くかどうか」と「価格以外での差別化要因があるか」といった事業特性が密接に関わってきます。

9. 事業を中長期で展望する

新製品・新事業の提案をすると、上司や経営陣は必ず「競合の追随にどうやって対抗するのか」と質問してくるでしょう。答えとしては恐らく「コスト優位を築く」、「顧客ロイヤルティを高める」、あるいは「プロダクト開発で常に先行する」あたりのいずれかになります。(もちろんコスト優位や顧客ロイヤルティを具体的にどうやって築くのかは、事業によってまちまちなので、ここはしっかり構想を練りましょう!)そもそも競合企業が「追随しようと思わない」状態を作れないかも、一考の価値があります。最初はニッチな市場に絞ることで大手企業の関心を削ぐとか、既存業者が大事にしているアセット(チャネルや生産設備)が無効になるオペレーションを組むなど、知恵を絞りたいポイントです。

もう1つ、最初のプロダクトをリリースした後に、どう事業拡大させるかも必ず問われます。提案者はどうしても新プロダクトという「球」の勝負に熱中しがちですが、提案を受ける側としては事業を新しい「柱」に育てたいと考えます。最初のプロダクトがうまくいったら、次に製品・サービスのラインアップを拡げるのか、エリアや価格帯といったセグメントを拡げていくのか、あるいは新プロダクトで培われるアセットを応用して、さらに別事業を展開するのか。「球」を「柱」に変えていくための構想を描きましょう。

10. 自社内の位置づけを確認する

企業内新規事業がベンチャーと違うのは、新プロダクトが既存の事業や組織に与える影響を考慮する必要がある点です。ここも、提案を受ける側(上司や経営陣)は非常に重視しているのに、一方の提案する側は軽視しがちなポイントなので注意して下さい。具体的には

・既存製品売上とのカニバリゼーション(共食い)は発生しないか
・既存事業とのシナジーは期待できるか
・長期ビジョンや中期経営計画で掲げている戦略の方向性に合致するか

などが典型的な論点です。特に最後の点は重要で、新規事業は利益が出れば何でも歓迎されるわけではなく、当該企業にとっての経営課題解決であるべきです。「5年以内に売上を倍増させる」、「ROEを5%改善する」、「本業とは異なる分野で事業をスタートさせる」、「○○技術を実用化する」など、各社には取組んでいる経営課題があるはずで、新規事業はその課題クリアに資する内容でなくてはなりません。

 

以上が10のアクションですが、いかがでしたか?

なお「最初から詳しい事業計画書を書いたらダメなのか」とか、「これらのアクションとビジネスモデルキャンバス(BMC)を描くのとは違うのか」と訊かれることが時々あります。アイデア段階でいきなり事業計画を書こうとしても、オペレーションや組織体制、収支シミュレーションなどは、所詮「仮定に仮定を重ねた絵空事」になるでしょう。これでは話を聞かせた相手に、分かりやすい突っ込みどころを与えてしまい、かえってアイデア自体の説得力を失う結果になりかねません。

またビジネスモデルキャンバス(BMC)を描こうとしても、顧客ニーズを検証し切れていない段階では、Key ActivitiesやKey Partnersの特定は難しいのが現実です。加えて、BMCでは直接求められていない「事業の長期展望」、「社内の位置づけ」は企業内で最初の支持を獲得する上で欠かせないポイントなので、早めに取り組んでおくべきです。

ビジネスモデルキャンバス

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出典:『ビジネスモデル・ジェネレーション』(翔泳社)

ここまで詰めた上でも「よく考えろ」と上司につき返されたら、「どこがまずいのか?」と自信を持って反論されたらいいと思います。そして仮に「○○費の見積もりが甘い」とか、「技術的に難しいんじゃないか?」と細部を問われたら、「それらを見極めるために、調査にかける時間やプロトタイプ製作費が欲しいのです」と堂々と返しましょう。

今度皆さんがユニークなアイデアに至った時には、まずは10のアクションを済ませ、アイデアを実現へと近づけていってください!

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