動画はオタクから女性向けへ―東京ガールズコレクションやロクシタンが森川亮氏のC CHANNELに集結する理由 

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「動画元年」といわれる2015年。前LINE代表取締役の森川亮氏が「C CHANNEL(シーチャンネル)」を立ち上げ、スマートフォン向け動画メディア事業に参入した。

2012年に40億円規模だった動画広告市場は、2013年に153億円、2014年には311億円と倍々で成長。2017年には880億円に達するとされる。市場成長を牽引しているのは、スマホやSNSの普及。なにげない日常の風景をスマホで撮影、アプリで編集加工し、SNSに投稿する。スマホ1台あれば、スタジオがなくても動画を制作し、世界に共有できる。

LINEはすでに、台湾とタイでLINEテレビを展開。秋にはネットフリックスが日本に上陸する。動画メディアで勝つ要因とは何か。森川氏に聞いた。

"オタク向けから女性向け"進化する動画メディア

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「C CHANNEL」は、タレントやモデルなど、クリッパーと呼ばれる約100名の女性を擁し、ファッションやヘアメイク、食べ物、旅行などの情報を約1分の動画で紹介するメディアプラットフォームである。きゃりーぱみゅぱみゅなどが所属するアソビシステム等が出資し、クリッパーは自薦他薦で選考する。初月に月間100万PVを超え、年内に月間1000万PV超を目指す。

「スマホに特化したメディアが必要だと思います。Eコマースもそうですが、Amazonにしても楽天にしても、PC時代のEコマースなんですよね。ほしいものが明確にあって、検索して商品にたどりつくモデルになっています。スマホは、そうではありません。コンテンツを観ていくうちに、セレンディピティ(幸運な出会い)が見つかるのが、スマホ時代のEコマースだと思います。メディアも同じです。あれこれ見ながら、幸運な出会いのように必要な情報を手に入れられる。スマホならではのメディアの方法論があると思うんですね」

動画の画面も、スマホを前提としたタテ型としている。動画はもともと横長で撮影されていたが、スマホ主流の時代になり、タテ型で撮影して視聴するユーザーが増えているからだ。画面を開くと、クリッパーたちによるファッションやグルメ情報が並ぶ。ユーザーによるLike(好き)やクリップ数がつき、お気に入りのクリッパーをフォローすることができる。

難しいのは、いかに遠すぎず近すぎない女性の「スター」を生み出すかということだ。有名な女優やモデルが発信したから共感を呼ぶわけではない。

「つくられた感があまり出るのは、良くないなと思います。テレビと変わりなくなってしまいますから。インターネットだから、本音が出ればいいなと。自撮りもそうですが、スマホメディアで必要なのは、さりげない自然さだと思います」

日本でも人気YouTuberと呼ばれる人々が現れ、彼らをマネジメントするUUUMやスリーミニッツのような事務所が現れている。広告市場として動画ビジネスを捉えたとき、重要なのは、発信力のある女性インフルエンサーをどのように取り込むかということだ。

どんな人がブレイクするかというのは、メディアの形態によって違う。Twitterで人気が出るのはエッジの利いた短文で情報を発信できる人だが、Instagramで人気が出るのは美しい写真を発信できる人というように。

「動画メディアのいまの状態は、ブログ黎明期と同じだと感じています。環境は整備されつつあって、みんなが使い方を模索している感じ。芸能人のブログも、昔はマネジャーがあたりさわりのないことを書いていたでしょう。ワッと火がついたのは、本人がポロッと本音を書いちゃった記事が出てきてから。そこからブレイクするスターが生まれてきた。動画でいえば、きちんとキャッチボールができる人だと思います。その中で、今までスポットライトが当たっていないところから、新たなメディアならではのスターが生まれてくるんでしょうね」

東京ガールズコレクション、ロクシタン――女性に人気のコンテンツがC CHANNELに

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C CHANNELを立ち上げた4月から、広告出稿の問合せが相次いだ。8月からは、ローソン、アパレルのクロスカンパニー、化粧品のロクシタンジャポンなど10社超の出稿が決まっている。スポンサーは「C CHANNEL」内にチャンネルを持ち、たとえばクリッパーがクロスカンパニーの洋服を着て、旅行に出かけるようなコンテンツ動画が放映される。いわば自社のオウンドメディアが、C CHANNELの中にチャンネルを持つイメージだ。

さらに、5月には「東京ガールズコレクション(TGC)」とのコラボレーションがスタートした。来場者数3万人を超え、若い女性に圧倒的な人気を誇るファッションイベントTGCとタイアップし、女性向け小売店やメディアと連携していく。

「女性向けサービスをやっている会社がたくさんありますけれど、C CHANNELがそのプラットフォームになっていくイメージです。デパートに行くと、シャネルやディオールのお店がいろいろあって、女性客がたくさんいる。そんな『場』をつくりたい」

女性クリッパーによる動画コンテンツを展開し、流行に感度の高い女性ユーザーを囲い込む。「何がカワイイか」「どんなコスメが流行っているか」「どんなグルメが人気か」情報がプラットフォームに集積し、女性消費者にリーチしたい企業やメディアが、C CHANNELに集まる。

動画コンテンツが隆盛する中で、女性に受けるコンテンツとはどのようなものだろうか。

「試行錯誤しながらやっています。女性は男性に比べて、好みが細かく分かれているし、こだわりも強い。10代と20代など、世代によっても違いますし、同じ20代でも、たとえば働く女性にはグルメ情報が人気など、セグメントによって嗜好が相当違います。今はPVやLike数のデータを取りながら進めている」

新たなメディア時代の新たなスター輩出プラットフォームをつくる

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2016年には、プラットフォームの英語化にも対応する予定だ。

「日本人の女の子の『かわいい』、たとえばファッションやヘアメイク、カルチャーやライフスタイルなんかを、世界に発信していこうという動きは、以前からありますよね。C CHANNELが、そのプラットフォームになれればいいなと。早くしないと、日本の『かわいい』が競争力を持つ時代は、この先長続きはしないと思うんですよね。中国・韓国とも、だんだん差がなくなってきているので。いま出ていかないと、日本の良いものが国際競争力を失ってしまうという危機感が強くあります」

各国の女性に訴求する「かわいい」の集まるメディアができたなら、日本語圏だけでなく、世界に発信するメディアプラットフォームができる。

「アパレルの人とも話していたんですが、新しいスターやタレントを売り出そうとするとき、登場するメディアがどんどん減ってしまっています。ファッション誌の部数は落ちる一方で、テレビも視聴者が減って、モデルさんの活躍の場がなくなってきている。それでは若い子たちが夢が持てないと思う。女性のためのプラットフォームが必要だと思うし、まるごと海外に出ていけるメディアプラットフォームをつくることができれば、日本から世界で活躍するスターの輩出にもなります。それが日本の競争力にもつながると思う」

日本やアジアのみならず、海外の女性たちが「かわいい」を共有し、国籍を問わず、スターを生み出していく。そんなプラットフォームができれば、従来のテレビや雑誌に匹敵するような巨大なビジネスモデルを築くことが可能になる。その可能性を尋ねると、こういって笑った。

「メディアだから見てもらえるわけじゃないです。まずは居心地の良い場所をつくらなければ、誰もきてくれない。毎日きたいなって思える場所をつくることが、一番大事です」

LINEでバナー広告を出さなかったという意思決定が思い出された。広告収入にすべてを依存しているといっても過言ではないインターネットビジネスで、「心地よいコミュニケーション」を最優先して「ユーザーにとっては邪魔だから」バナー広告を選択しなかったLINE。まずはユーザーにとって居心地の良い場所をつくる。LINEでも培われた法則であり、プリンシプルなのかもしれない。

「日本発のグローバルメディアは、これまでありませんでしたから。いつかはヴァージン・メディアやMTVのようなグローバルメディアブランドを目指したいですね」

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