「攻めのHR」はこう作れ! ―『「変革型人事」入門』 

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ビジネスリーダーにぜひ読んでほしい1冊を紹介するこのコーナー。第5回は3月に発売された『「変革型人事」入門』(グロービス経営大学院著、労務行政)をご紹介する。

企業の人事部門というと、どんなイメージが浮かんでくるだろうか。たとえば「従業員の仕事だけでなく生活までをサポートしてくれる部署」とか、「社員の評価を司る組織の番人」といった「守り」の印象が強いかもしれない。つまり、企業活動の担い手である人材やその集合体である組織の基盤を支える機能――採用、配置、育成、評価、報酬、退職、それぞれの局面で求められる実務――を担ってもらうことが、人事部門への期待だろう。

だが、「守る」だけで激変する経営環境の中、組織の閉塞感を打破し、人々の活力を最大限に引き出すことはできないという考え方が浮上している。高齢化と労働力不足という制約条件を抱えながら、グローバル化をさらに加速し、イノベーションを推進していくためには、人事部門には変革を主導する「攻め」のリーダーシップが期待されているのだ。

本書『「変革型人事」入門』の特徴は、多くの企業が直面している人や組織の問題を、従来型の人事部門の視点にとらわれることなく、経営的観点から記述したところにある。企業を取り巻く環境変化の中で、人事部門がビジネスの競争力強化を推進する「攻めのHR」にステージアップするためには、どのような発想転換が必要なのか――。本書は、そこに最大の力点を置いている。

本書は大きく3つのパートから構成されている。まず概論パートでは、今日の日本企業が直面している課題を俯瞰し、人と組織のマネジメントの全体像を経営的視点から紐解いている。次に各論パートでは、グローバル化やダイバーシティといった、これからのHRが直面するチャレンジについて、背景文脈と必要となる考え方をテーマごとに掘り下げている。最後に総括パートでは、執筆陣が所属するグロービスで実践しているHRマネジメントの実例を交えながら、「個」を活かす生態系としての新しい企業像とその実現を担うHRへの期待を述べている。

本書の元になったのは、人事・労務の専門情報誌『労政時報』に掲載された「誌上ビジネススクール講座 経営の未来をつくる戦略的HRマネジメント」と題された連載コラムだ。書籍化にあたっては、各章読み切りの講義形式を踏襲しつつ、人事業務に詳しくない一般の読者にも理解しやすいよう用語解説が大幅に加筆されている。「人材ポートフォリオ」「タレントマネジメント」「ネットワーク型組織」といった専門用語だけでなく、「コーポレートガバナンス」「オープンイノベーション」等の関連する基本概念や「バランストスコアカード」「ポジティブサイコロジー」「シナリオプランニング」など著名なフレームワークや考え方についても説明を加えている。経営の全体像と個別テーマを往復しながら読み進めることができ、それぞれの勘所が理解しやすいように構成している。

企業のあり方の「変革」を主導していく人事部門の役割、そして、人事部門が自らを「変革」していくためには何を考えるべきか――。この2つの論点を盛り込んだ本書は、人事の専門家はもちろん、組織変革に取り組むすべてのビジネスパーソンにお勧めしたい。

『「変革型人事」入門』
グロービス経営大学院著
2,750円(税込2,970円)

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