ダボス会議2015年(5) 「日本人のチェアマン誕生、そして登壇へ!」 

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日本人のチェアマン誕生、そして登壇へ!

今年は酔っ払うまいと思って参加したダボス会議だったが、今年もやっぱり飲み過ぎてしまった。ジャパン・ナイトそしてグロービス・ナイトと盛り上がり、夜中2時過ぎまで飲み続け、結局二日酔いになった。だが、朝7時半から重要なボードミーティングがあるので、しっかりと朝6時過ぎには起き、メールをチェックして、ダボス会議の専用シャトルに乗って、会場のホテルに向かった。

その会議とは、僕がチェアマンを務める「世界の成長企業」のボードミーティングだ。現在、世界経済フォーラムには、全部で400社を超える企業が「世界の成長企業」のメンバーに名を連ねている。日本では、SBI、マネックスグループ、LINE、オイシックス、アイスタイル、アドバンテッジパートナーズ等が所属している。世界的にもIDEOなど著名な会社が並ぶ。僕はそのボードミーティングに2010年から所属しているが、2013年から2代目の共同チェアマンに抜擢され、今年からは唯一のチェアマンとなった。日本人が世界組織でチェアマンを務めるのは、とても珍しいことであろう。

僕の役割は、チェアマンとしてボードミーティングの議事進行をすることと、さまざまなイベントで挨拶をすることだ。もう6年目にもなると、もっとも古いメンバーになるので、すべてのボードメンバーとは友達関係だ。米国、南アフリカ、中東・ドバイ、中国、イギリス、インド等から多くのメンバーが集った。僕は、このボードミーティングを過去6年間、一度も休んだことがない。国際的な会議の場では、常に「そこにいる」というコミットメントと存在そのものが重要となる。不在だと、どんどん立場が弱くなるものなのだ。

1時間半ほどの会議を終えて、一旦ホテルに戻った。そして、昼からの僕が登壇するランチセッションに備えた。今年からインターネットでの情報収集も増やしている。会場で意見交換しつつ、ホテルの部屋でツイッター、ブログ、新聞記事さらには世界経済フォーラムが配信している動画やLIVE映像を視聴するのだ。

会場が満杯で入れなかった、あるいは見逃したセッションを部屋でチェックする。世界経済フォーラムのウェブサイトはかなり充実しており、とても重宝している。ダボスまで来れなくても、臨場感を持って国際世論の大体の流れを把握できる。

他にはフィナンシャル・タイムズやウォール・ストリート・ジャーナルの意見は、とても影響力がある。CNN、BBCワールドニュースやブルームバーグなどもテレビで特集をしている。インターネットでも一部見ることができる。そして、主要な参加者をツイッターでフォローすれば、自分が参加していないセッションの内容が理解できるし、異なる視点からの風景を見ることができるのだ。会場の物理的交流も有意義だが、インターネットでの交流も有意義だ。今年は、部屋からインターネットでダボス会議に参加する時間が増えた。

時間が近づいたので、昼食時のセッション会場へと、6人乗りのシャトルで向かった。ダボス会議は、実はダボスの街中で、様々な場所を使って会合が開かれている。メインはコングレス・センターと呼ばれる会議場だが、朝食会、昼食会、夕食会は、通常、外のホテルを会場として開催される。まさに、街全体が会議場なのだ。その街を巡回するとともに、隣町のクロスターと繋げているのがシャトルなのだ。全部で4つの路線がある。

僕が登壇するランチセッションの会場は、インターコンチネンタルホテルだ。昨年完成したばかりの素晴らしいホテルだ。だが、ちょっと遠い。歩いてはいけないから、シャトルに乗った。遠いだけあって、ホテルから見る景色とは、全く違う景色を見ることができた。水墨画の趣がある白と黒の世界。白いもやの中から出てくる白い山が、なんとも奥ゆかしい。

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僕が登壇するセッションのテーマは、「Reshaping Education」だ。シンガポール国立大学の学長がモデレートし、オックスフォード大学の学長等が登壇した。教育のテーマは広すぎて、散漫となってしまう。しかも、他の登壇者は、小学校向けのエドテックを始めたイスラエルの起業家や、南アフリカのゲーム教育の女性起業家などだ。

僕は、グロービスの事例を話した。とても反響が大きかった。まだ世界はMOOCs(Massive Open Online Courses)次元で動いていた。だが、さすがにMOOCsの問題点が見えて来たので、ハイブリッド型に移行している。MOOCs型だと一方通行なので、MOOCsの後にクラスの討議を行うのがハイブリッドだ。だが、その程度だ。

スタンフォード大学の教授が指摘していたが、「産業革命時代の知識偏重型の教育ではなくて、今後はクリエイティビティさらには難解な問題を分析して意思決定する能力を得る必要がある」のだ。そうなるとMOOCsでは、自ずと限度がある。そういう議論を経て、僕が5分間プレゼンする番が来た。

「グロービスが狙うのは、知識ではなくて知恵である。教科書やレクチャーから学ぶのではなくて、クラスメートから学ぶのだ。正解はない。だからこそ最善の解を求めるのだ。そのコンセプトでアパートの一室と貸し教室で始まった学校が9年前に大学院となり、今や規模の面・ランキングの面などで日本1位の経営大学院となった。大学院は、東京、大阪、名古屋、仙台、福岡にキャンパスを持ち、日本語と英語でMBAを提供している。世界数十カ国から学生が集っている。まさにゼロから創り、ハーバード大学やオックスフォード大学を抜き去る大学院を作ったようなものだ」。聴衆は、皆そんな学校があったのかと、ビックリしている様子だった。一旦、息をついてから続けた。

「その中で、昨年から始めたのがSPOCsによるオンラインMBAだ。Massive Openではなくて、Small Privateなのでドロップアウトしない。学生の評価を見ても、リアルのクラスとまったく遜色が無い。むしろ満足度が高いほどだ。今年の4月から大学院が本格的にスタートするが、予想通り5つのキャンパスの近郊に住んでいない人がマジョリティとなった。海外からも来ている。また育児休暇中の社会人も参加している。物理的に通えない人に、教育機会を提供できるのだ。教育の方向性は、今後はオンラインにシフトしていき、リアルな教育はその補助的なものになっていく予感がする」と締めくくった。

その後、各グループに分かれて、議論をした。世界に出て思うことは、グロービスの教育の在り方そのものがDisruptive(破壊的)であることだ。そもそもゼロから始まり、その国でNo.1になった多言語、多拠点、多時制のMBAなど世界でも例が無い。そこに、オンラインMBAが加わるのだ。そりゃ、テーマの通り、「Reshaping Education」(教育の再構築)そのものだ。

僕に会うことを目的にわざわざセッションに参加してくれた方もいた。また、前の晩のグロービス・ナイトに来てくれた方もいた。「グロービス・ナイトで簡易カイロを2つもらって帰った」とご機嫌だった方もいた。確実にグロービスが、世界に浸透してきている感じがした。これで、6年連続の登壇だ。リーダーシップ、教育、ベンチャーなど、語れる領域が比較的広い。今後とも頑張って、貢献したい。

午後には、テクノロジー系のセッションに集中して出席した。その夜は塩崎恭久・厚生労働大臣や竹中平蔵さんなどと情報交換会をした。下村博文・文部科学大臣は既に帰国の途に就かれたが、翌日からは、宮沢洋一・経済産業大臣が来られる。土屋聡氏を始めとした世界経済フォーラムの日本チームが、万全の体制で臨み、日本の存在感が確実に増していることが実感できる。

僕も、ジャパン・ナイトの協賛、グロービス・ナイトの主催、WSJやジャパンタイムズのダボス特集号への広告、チェアマンとしての役割、複数のセッションでの登壇、さらには会場からの質問とネットワーキング等で、確実に存在感を高めている。

日本の存在感を高める方法は簡単だ。日本人が世界で活躍すればいいのだ。北島康介、イチロー、本田圭佑、錦織圭が活躍すれば、水泳、野球、サッカー、テニスでの日本の存在感が増す。同様に日本人がそれ以外の分野において世界で活躍すれば、存在感を発揮することができる。僕もグロービスも、教育・ベンチャー等の分野で、その役割をしっかりと果たしていきたい。

その日は、前日からの酔いを醒ますために、お酒を1滴も飲まずに、静かに就寝することにした。窓の外では、しんしんと雪が降っていた。ダボス会議は、いよいよ終盤を迎えようとしていた。

2015年1月25日
ダボスから帰国の機内にて執筆
堀義人

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