組織を元気にするリーダーの健康力 

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肉体的な健康は「仕事力」に影響を及ぼすだろうか。

僕の経験から言えば、それは「状況」による。説明しよう。

20代から30代にかけて、僕は運動をする暇がまるでなかった。米国のMBAスクールに留学し、自分の会社を立ち上げ、がむしゃらに働いて、様々なことを成し遂げた。結婚して5人の子どもの父親にもなった。

だから、他のことに費やせる時間はまったくなかった。運動も含めて。

しかし、若さの素晴らしいところは、何もしなくても元気で健康でいられるという点だ。がむしゃらに仕事(とパーティ)をしても、健康やスタミナにはそれほど悪影響がない。

ところが40代に入ると、状況は一変する。

突然、無茶な生活習慣の付けが回って来る。スタミナが低下し、特に出張をすると疲れ果ててしまう。職場で風邪が流行れば必ず引き、あまり熟睡できず、体重は増え始める…。

そんな事態がついに我が身にも訪れたのだ。

しかし、長年の習慣というものはなかなか変えられない。生活のスタイルを変えようと本気で思うようになるまでには、かなりの時間がかかった。実際のところ、会社は地歩を固め、成長しつつあった。会社の経営に力を貸してくれる素晴らしい人たちにも恵まれた。起きている間ずっと、会社のことを考えて過ごす必要はなくなっていたのだった。

学生時代に水泳をしていた僕は、マスターズ水泳大会に40~44歳区分で出場することで運動を再開することにした。だが、20年のブランクは大きい。当然、僕の成績はひどいものだった。

そこで僕は気付いた。本気で体を鍛えたいなら、明確なゴールを設定する必要がある。ちょうど、次々に偉業を成し遂げていく起業家がそうするように。

僕はまず、大会に10年連続で出場するともらえるメダルの獲得を目指すことにした。そして、全種目の中で最もハードなメドレーに出場することを自分に課した。

僕は1回1km以上を週3回は泳ぐようになり、いつの間にか、試合で勝てるようになっていた。

水泳とは別に、5人の子どもと一緒にスノーボードも始めた。オフシーズンには、山歩きをして下半身をなまらせないように心がけている。ここでも僕は明確なゴールを設定している。年に8山のペースで登り、最終的には日本百名山を制覇するというものだ。
職場も最大限活用中だ。1日に2回、9階にあるオフィスまで階段で上ることを自分に課している。

その結果、30代の頃よりも50代の今のほうが、はるかに体調がいい。スタミナは向上し、風邪も引きにくくなった。そして、プールを何往復も泳いでいると、仕事に関するさまざまな名案が浮かんでくるという副産物まであった。

これは僕だけの話ではない。

日本では最近、トライアスロンをするビジネスリーダーが増えている。これまでも、著名なビジネスリーダーの多くが運動の必要性を唱え、実践してきた。

ソニーの共同創業者である盛田昭夫氏は毎朝、仕事の前にテニスで汗を流すことを習慣にしていた。ピムコの債券王ビル・グロス氏は、投資に関する最善のアイデアが浮かぶのは、ヨガの逆立ちのポーズをしているときだと主張している。JPモルガン・チェースのトップ、ジェイミー・ダイモン氏は闘争心に溢れるリーダーとして知られるが、1998年にシティグループを解雇されたのを機にボクシングを始めたという。

もちろん、体を鍛えて、健康を維持することの大切さは、中年を超えたトップ・マネジメントに限ったことではない。僕は若い頃に運動をまったくしなかったが、僕の会社の社員は同じ過ちを繰り返すべきではないと思う。

誰でも、体を鍛えて健康であればあるほど、より幸福になり、生産性も高くなる。だから僕の会社では、さまざまなクラブ――テニス、ゴルフ、ランニング、サイクリング、ウインタースポーツ、フットサル、トライアスロン――の活動費を補助することで、社員の健康増進を支援している。

このようなスポーツ活動のおかげで、僕の会社の社員は健康になっただけでなく、一層エネルギッシュになり、精神的に強くなり、チームワークが高まった。

あなたの経験はどうだろうか。

あなた自身が健康であることが、仕事の生産性につながると思うだろうか。
会社は社員の健康増進を積極的に支援すべきだろうか。それとも、それは社員の私生活の領域だと考えて、会社はそこに踏み込まないほうがよいだろうか。

「フィットネス(健康・体力)」という言葉のとおり、議論に「フィット」するテーマだと思う。

あなたの意見を聞かせてほしい。

この記事は、2015年1月8日にLinkedInに寄稿した英文を和訳したものです。

(Photo: Shutterstock / Luis Louro)

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