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「PDCA」の流れに従えば、前回まではプランについて主に述べてきた。今回からはプランを実行するドゥのフェーズについて議論していく。

「戦略、戦術の実行」と言ってもなかなか難しい。私はビジネスの成果は基本的には戦略の完成度と実行度のかけ算で表現できると考えている。環境変化が激しい業界ではトライ・アンド・エラーをとにかく繰り返すという考え方もあるが、戦略の重要性を否定するものではない。

かけ算ということはどちらかが高くても、どちらかが低ければ成果は上がらないということだ。組織の力を超えた精緻な戦略を組んでみても、実行できなければ成果はあがらない。一方で戦略の完成度は多少低くても、実行度が高ければ成果は上がる可能性があるとも言える。

今回のテーマである実行度を上げていくために、何をすべきだろうか。まずは実行者が一個人として、周囲からの信頼を集めるという話からしていく。

信頼とは「信じて」「頼る」と書くが、まさに周囲に信じてもらい、頼られる存在にならなければ始まらない。一般的に信頼の基になるのは、専門性(3カ月前に比べて自分の仕事に専門性が高まったか)、日々のコミュニケーション(丁寧なコミュニケーションをしているか、大切なことをしっかり伝えきっているか)、仕事に対する姿勢(可能な限りの努力をしているか。妥協していないか)、仕事で上げてきた成果(成果を貪欲に求めているか)などだろう。

どれも一朝一夕に構築できるものではない。小さい努力を積み重ね、「信頼の残高」を増やしていくしかない。同時に社内でコントロール可能な資源や情報入手経路を確保する努力も怠るべきではない。こうして自分のベース(パワーの基盤)を強めていくのだ。

パワーの基盤の構築と並行して取り組まなければならないのは、人脈の構築だ。ビジネスで、1人だけでできることはほとんどない。社内外に意味のある人脈、つまり単なる仲良しクラブではない人脈を作る必要がある。

最近、若い人の話を聞いていると、朝活(あさかつ)などを含め社外のネットワークに重きを置く傾向があるように思う。これはこれで重要だが、同時にぜひ、社内の人脈を意図的に作るということにも注力すべきだ。

何より、同じ会社にいる人はその会社のビジョンやミッションを達成するために集まった仲間である。この仲間の中で信頼関係、人脈を構築できないのであれば、社外で自分が魅力的に映ることはないだろう。

社内の人脈を作る際には、次のことに留意するとよい。困ったときに親身になって相談に乗ってくれる人がいるか、必要な誰かを紹介してくれる人がいるか、最終的に味方になってくれる人がいるか、自分を引き上げてくれる人がいるか、それらの人脈は複数あるかなどだ。

社外の人脈を作る際には、社内では得られにくいものの見方や考え方を与えてくれるか、社内文化から切り離された第三者的立場からアドバイスをくれるか、人脈を広げることに貢献してくれるか、などが大切だろう。

人脈は待ちの姿勢でたまたまできるものではない。意図を持って作りにいくものであることを意識してほしい。読者の皆さんも、自分のパワーの基盤、人脈がどのような状況にあるか、今一度確認してみてはどうだろうか。

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※この記事は日本経済新聞2013年11月6日に掲載されたものです。
(Cover photo: shutterstock / Ismagilov)

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