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前回までに課題・論点(イシュー)を定め、それに答えるための柱を設定し、柱ごとに仮説を立ててみるという話をしてきた。仮説を立てたら次にやるべきことはその仮説を検証し、その仮説が正しそうかどうかを見ていくことである。

重要なのは完全に証明しきるのは不可能であるとの前提のもと、あくまで「正しそうか」どうかを見極めるという姿勢を持つこと。仮説を100%検証することはできないのだ。

同時に、どこまでのデータや事実を準備したら仮説が検証されたことになるのかは、自動的には決まらず、企業文化やプロジェクトの性質などと深い関係があることを理解しておくべきだ。立ち上げ当初のベンチャー企業であれば、精緻な仮説検証よりも、スピード感のある実行を求められることが多いだろう。

一方、精緻な仮説検証が進められないと一歩を踏み出さない大企業もあるだろう。いずれにしても仮説検証を進めるのに、どのレベルで何が求められているかを見極め、それに合わせて活動する必要がある。

実際に検証するにあたってまずすべきことは、データ・情報の収集だ。このように書くと特別な時間をとり、時間をかけて仮説を立て、データ収集を始めるようにも感じるが、大切なことは常に仮説を持ち、関連する情報を見に行く、取りに行くという姿勢だ。

仮説があるから、何かを見たときに頭のどこかに引っかかり、思考が巡る。情報は数字データに限らず、定性データ、現場に行って人の話を聞くなど、バランスが大切。定性、定量情報の間を思考が行ったり来たりすることで、考えが洗練されてくることが多い。

「営業の数字は☆☆という傾向だ。そういえば先週営業先で、こんな話を聞いた。同じ部のAさんも似たようなことを言っていた……。ということは……」。例えばこんな感じだ。

集めたデータを活用する際には、そのデータや情報が自分でゼロから集めた一次データなのか、既に誰かの手によって加工された二次データなのかを意識しておかなければならない。

加工された二次データの場合、どんな前提で情報が集められているのか、どのような調査方法が用いられているか、などを念頭に置いておくことが重要だ。

数字はパワフルだ。シンボリックにうまく強調された数字が一人歩きをするという話は枚挙にいとまがない。自らが生データから何らかの加工をする場合には、必ずそこには意図がある。逆に言えば、加工済みデータの意図を読み解かなければ、集めたデータに使われてしまうことになる。

実際にデータ収集する場合、国や自治体のデータベース、業界団体のデータベース、有料のデータの活用のほか、出所・出典などがあまり明らかでないネット上の情報などがあるだろう。いずれの場合もこれまで述べてきたことを頭に入れて虚心坦懐(たんかい)データに向かってほしい。

公的な機関のデータでさえ、長期にわたるデータの場合、途中でデータ取得方法が変化していたり、データ取得対象が変更されているなどの理由で不連続になっていることさえある。うのみにせず、常に疑ってみることが大切だ。

社内で入手できるデータを見るときも同様だ。社内のデータベースなどから定型のフォーマットで出力されるものは、誰かが、どこかのタイミングで設定した切り口(年齢別など)と切り幅(10代、20代、30代など)であり、それが、今日も有効なのかはよく吟味しなければならない。

 

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※この記事は日本経済新聞2013年8月28日に掲載されたものです。
(Coverphoto:shutterstock/Ismagilov)

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