おさえるべき項目を再認識 

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前回は「論理的に考える」パートの「課題・論点(イシュー)の全体構造」について議論した。今回は次のステップとしてイシューを「柱」で支えるという話をしよう。

これから何に取り組むべきかというイシューが明確になったら、それを正確に言葉にし、可視化しておくことの重要性はすでに指摘した。

その次にやるべきことは、そのイシューに取り組んでいくために何を具体的に考えればよいのかという、イシューを支える2〜4本の柱をセットで考えるということだ。

例えば上司から「A事業に参入すべきかどうかを検討してほしい」と言われたとしよう。これが今回のイシューで、このイシューにこたえるために何から考え始めるだろう。

責任者は誰か、どこが担当部署か、チームは何人か、自社の強みは生かせるか、製品開発までにかかる時間は、収益見通しは、撤退基準は、マーケットは伸びているか、など様々な検討課題が頭に浮かんでくるはずだ。

しかし、このようにばらばらと考えていくと、何をどこまで考えれば十分か、どこまで考えれば上司に提案できるか、抜けている・漏れている論点はないか、など不安に思うはずだ。全体感を持ってイシューにこたえていくために、個別具体的なことを考える前に大きな柱を2〜4本たてることを習慣にしてほしい。

今回のケースであれば、A事業の「市場はどのような状況なのか」「この市場にはどのような競合が存在しているのか」「自社の強みは生かせるのか、弱みは致命傷にならないのか」といった具合だ。大きな方向性として「市場」「競合」「自社」、いわゆる「3C」を軸に考えるのだ。

最初に柱をたてることができれば、自社の状況の分析だけに終始し、報告した際に競合について聞かれ右往左往することはなくなるだろう。

会議の終盤で自分が想定していなかった論点を投げ込まれ、それまでの議論が足元から崩れてしまった、という経験をしたことがある人は、会議前に伝えるべき柱をしっかりたてておかなかったことが要因だ。つまりおさえるべきことをおさえていなかったのだ。

柱をたてるという考え方は、ビジネスの多くのシーンで適応可能だ。

「今書こうとしているメールをわかりやすくする」
「海外転勤をさせてほしいということを人事部にお願いする」
「今度発売になった新製品をクライアントに紹介する」
「広告予算の増額を上司に訴える」——。

こういった場合、あなたならどのような柱をたてるだろうか。海外転勤ならば私は「能力(スキル)、気力(ウィル)、経験」といった柱をたてるだろう。

イシューが決まったら、柱を考えるというステップを習慣にすることで、確実にこれまでより全体感を持って仕事に取り組むことができるようになるはずだ。

柱を考える時、柱には正解がないということを注意する必要がある。Aという柱のセットとBというセットを比べたとき、どちらがふさわしいかという議論をすることは可能だが、正解かどうかはわからない。それは聞き手の状況やイシューの文脈にも依存するからだ。

最初は自分が考えた柱が適切かどうか不安だろう。しかし、この柱を考えるプロセスを通じて、頭の中が整理されるという効果もある。あまりふさわしくない柱しか出てこなかったとしても、頭を回した効果は確実にあるのだ。

 

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※この記事は日本経済新聞2013年7月31日に掲載されたものです。
(Coverphoto:shutterstock/Ismagilov)

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