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試練を乗り越えて歩め-その8) 四男・五男の初めての囲碁全国大会

投稿日:2014/07/29更新日:2019/08/20

『スタート時点で、本当は結果がほとんどわかるんです』(有森裕子氏)

その言葉を痛感したのが、今回の全国小学校囲碁団体戦の結果だった。

昨年までの6回の全国大会では、長男、次男、三男の『日本最強の三兄弟』(2010年のNHK正月番組のタイトル)が、ほぼ栄冠を独占してきた。その結果が、子供たちが通う、九段小学校による6年連続の東京都大会優勝、6年連続全国大会ベスト8。そして、3回全国優勝の栄冠だった。

だが、長男が卒業し、次男も卒業し、そして三男も今年3月に卒業した。残されたのは、四男と五男だ。その2人は、遊ぶのが大好きで、努力や試練から逃げたがる傾向があった。その結果、上3人ほどには、下2人の棋力が伸びなかった。そもそもやる気が無いのだ。家で、詰め碁もやらない、棋譜並べもしたがらない。できる限り、囲碁レッスンはさぼろうとする。こんなのでは、囲碁が強くなれるとは思えない。

だが、我が家で良く使われる言葉は、「逃げるな」だ。甘えて逃げようとしても、許されないのだ。たとえ家では逃げることができても、社会に出たら逃げられないのだ。厳しい現実が待ち構えているからだ。成人してから、厳しい試練に直面し苦労するよりも、子供の時から厳しい試練に立ち向かわせて、「試練を乗り越える力」を育成することが、親にできる最大のことであると言っても過言ではない。

まさに、「子供を愛するなら厳しく接し、憎いならば甘やかせよ」だ。子供のためにも愛情を持って、厳しく接しなければならない。

だが厳しく接するだけでは、棋力は全く上がらないものなのだ。強制すればするほど、頑なになり、逃げて行く。だが、ここで甘やかすと、いつも逃げる子供になってしまう。親子の根比べだ。小学生は、精神的に不安定だから「親力」が大きいとつくづく思う。愛情を持って厳しく、粘り強く、接し続けなればならない。

そこで、僕は決心した。夜の仕事を絞り込み、不要不急の出張は止めて、徹底的に自宅にいることにした。そして、「五男と1日1局毎日打ち続ける」と宣言した。泣こうが、叫ぼうが、逃げようが僕が毎日1局ずつ打ち続けることにした。カレンダーに勝敗を記録し、3連続で勝つか負けると手合いを変えて、「堀家男子ビリ決定戦」と称し、ひたすら打ち続けた。親も必死だ。僕も詰め碁や手筋の本を移動中に読み続け、棋力を上げる努力をした。粘り強く子供と接するしかなかったのだ。

子供たちの囲碁レッスンの送り迎えも自らが行い、可能な限りレッスンの間も立ち会い続けた。そして一局一局結果を報告させた。親の本気度を伝えたかったのだ。

そして迎えた東京都大会。6年連続で優勝してきたこの大会で、初めて敗北を喫し、2位に甘んじた。堀兄弟が2人とも負けたことによる敗北だ。チームに迷惑をかけた。ひたすら謝るしかなかった。やはり、棋力が全く足りなかったのだ。

冒頭の言葉通り、「スタート時点で、本当は結果がほとんどわかる」のだ。だからこそ、スタートラインに立つまでに、どこまで努力ができるかにかかっていた。都大会から1カ月で最後の追い込みをした。

そして、いよいよ囲碁団体戦の全国大会の当日を迎えた。朝、四男と五男と僕とで、九段小のユニフォームである青いTシャツを着た。僕もチームの一員なのだ。手をつなぎながら、市ヶ谷にある日本棋院まで歩いて行った。

初戦は、昨年、一昨年と決勝トーナメントに残った強豪校だ。頑張れ九段小!

初戦で、三将の五男は勝ち名乗りを上げたが、早くも副将の四男が敗北した。主将も苦戦していた。「今年のチームは、全国では初戦敗退する程度の力だったのか」と敗北を覚悟した。だが、幸い逆転して、きわどくも勝利をものにした。本当にラッキーだった。次は、京都代表だ。この予選リーグには、8校中5校も、過去にベスト8までいった小学校が入っている。まさに「死の組」だ。

2回戦がキックオフした。夏の甲子園に例えられるこの囲碁団体戦の大会。3人で戦い、2勝した方が勝利する。結果、九段小、2回戦を3-0で勝利した。

予選リーグの3回戦は、大阪代表だ。過去6年間で、九段小がトーナメント戦で負けたのは3回だけ。そのうち2回が、この大阪代表だった。結果は、九段小が3回戦も勝利。3-0でリベンジできて本当に嬉しかった。

これで、決勝トーナメントに進出することができた。7年連続のベスト8の偉業を達成できたのだ。初日を終えて、九段小チームは、インタビューを受けていた。やはり、2連覇中だから、注目度が高い。

『たとえ劣勢にあっても、逃げないこと。たとえどんなに負けていても、自分は勝てると、いつも信じなくてはならない』(タイガー・ウッズ氏)

全国小学校囲碁団体戦2日目。会場に到着。静まり返っていた。小学校のベスト8に東京勢が4校も残っていた。だが、東京都大会の優勝チームが敗れる波乱があった。全国のレベルが上がっていることを実感した。一方、中学のベスト8には、東京からは開成・麻布。そして灘中、洛南中など名門校が残っていた。小学校も中学校も64校いたのが、8校に絞り込まれていた。

全国小学校囲碁団体戦決勝トーナメント1回戦が始まった。東京代表同士の戦いだ。静かな空間に「パチリ」と言う石の音と、「ポーン」と言う囲碁時計を押す音が響いている。静かな頭脳の戦いが続いている。

準々決勝は、九段小チーム辛くも2-1で勝利!東京代表対決を制した。これで、ベスト4だ。ベスト4は、東京代表2、名古屋1、京都1の大都市圏が残った。次の対戦相手は、強豪名古屋の羽根三兄弟だ。平成四天王の一人と称される羽根九段のご子息達だ。激戦が続く。

全国小学校囲碁団体戦の準決勝が始まった。準決勝から記録係が付き添い、棋譜が記録される。頑張れ、九段小!頑張れ、四男、五男!

いつものように、いち早く三将の五男が勝ち名乗りを上げた。だが、副将の四男が敗退した。これで1-1。最後の主将勝負も少し足りずで、九段小準決勝で無念の敗退となった。3連覇ならず。1-2で3位決定戦へと向かった。

ランチタイムに、僕は四男に厳しく叱りつけた。「勝ってチームに貢献せよ」と。今のところ、五男は全勝。だが、四男は2勝3敗だった。これでは不甲斐ない。意地を見せて欲しいところだ。だからこそ厳しく叱責したのだ。

午後から始まった3位決定戦。なかなか勝負が決まらない。五男は苦しい表情だった。三将は、逆転勝利だった。副将の四男も大差で勝利。残る主将も、勝利し、銅メダルを獲得した。決勝は、やはり羽根三兄弟が勝利していた。一方、中学の部は、東京勢同士の決勝となっていた。麻布対開成は、1-1で主将勝負の結果、麻布中が優勝した。

九段小チーム、表彰式後の集合写真の撮影にて賞状とメダルを片手に。3位は、勝って終わるから気持ちがいい。しかも3-0。メダルも貰える。

九段小の鈴村校長先生へ全国大会3位の報告へ。九段小は、7年連続ベスト8。優勝3回の実績ばかりでなく、全校生徒が囲碁を打てる「囲碁小学校」だ。総合学習、放課後活動、そしてクラブ活動で囲碁が取り入れられている。名前も「九段」とめっぽう強い。

四男、五男が所属する九段小は、3位となった。違う言い方をすれば、「3位になる」程度の努力しかしなかったのだと思う。「優勝できる」ほどの強烈な努力をしないと、全国では勝てないものだ。嫌々やっていて、逃げてばかりでは強くなれない。だが、大会前には、立ち向かい努力をした。その結果が3位だったのだろう。

厳しい、本当に厳しい戦いを経て、自らの力で銅メダルを手にした四男と五男。彼らの笑顔を目にすると、親として頑張ってきてよかったとつくづくと思った。1つでも成功体験ができると、次に繋がるからだ。親としては、「愛情を持ち、厳しく、粘り強く」、だ。

大会を終えて、仲良く帰る3人組を見ていると本当に微笑ましかった。厳しい、厳しい戦いを3人で戦い抜き、2日間で逞しく成長した。
その夜、我が家の夏の一大イベントが終わり、一段落した。小学生は、囲碁大会と中学受験が一大イベントなのだ。中学生は、部活の公式戦と留学とがビッグイベントだ。子供が5人もいると、親にとってはビッグイベントの連続だ。我が子供たちには、新たな試練に立ち向かい、どんどんと成長して欲しいと思っている。愛情を持ち、厳しく試練を与えたい。

この大会を終えて、5年生の四男は、中学受験準備に突入する。残る3年生の五男には、来年に向けて棋力を伸ばして、優勝を狙ってほしいと願いたい。三男は今年4月に中学受験を終えたばかりで、今はサッカー三昧だ。サッカーでも結果を出して欲しい。次男は、バスケで区大会優勝し、MVPを獲得した。そして、今週末に北米へと旅立つ。長男は今月北米留学から帰ってきたばかりだ。

子供達には、それぞれの試練に立ち向かって、突き進んで欲しい。試練を経た分だけ、成長する。逃げたら何も得られない。多くの試練に立ち向かうと、人間の幅が広がるのだ。小学生時代に囲碁でギリギリの勝負をして、中学受験を経て、部活動、そして留学だ。心技体それぞれを成長させて、世界で戦えるように逞しく育ってほしい。

今晩は、親として一段落した日だ。そして、また明日からの試練に対して、楽しみながら立ち向かいたい。

「試練を乗り越えて歩め」シリーズは、まだまだ続く。
初回は、2008年5月に執筆した「試練を乗り越えて歩め-その1)豊かさの中での人間的成長」だ。
2014年7月29日
一番町の自宅にて
堀義人

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