ブランド・プレゼンスを高める4つの秘訣 

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ブランドは見る人の頭の中に存在する。あなたのブランドが誰にも知られていなければ、実際にどれほど優れたビジネスを行っていようと関係ない。世間一般の人々にとって、あなたは存在していないも同然だ。

あらゆる新規事業を軌道に乗せ、前進の勢いを長期的に維持するためには、コミュニケーションが肝心である。

僕のコミュニケーション戦術――ここでは主に企業とサービスのブランドについて述べる――は、次の4つのシンプルな原則に基づいている。
(a)差別化を図る:競合相手との違いを明確化する。
(b)志を掲げる:顧客の共感を得られるようなビジョンを打ち出す。
(c)メディアを積極的に活用する:あらゆる種類のメディアを利用して認知度の向上を図る。
(d)常に顧客を念頭に置く:満足した顧客の口コミは常に最も効果的なコミュニケーション戦略である。

僕にとってこの4つの原則は、間違いなく効果があった。例えば、1990年代初期に日本でビジネススクールを立ち上げたとき、僕は国内有数の由緒ある大学の数々に対抗することになった。歴史と名声を武器に持つ大学は、かなりの強敵である。

なぜなら僕たちには実績もなければ、事務所も(僕のアパート以外に)なく、教室も(時間貸しの部屋しか)なかったからだ。銀行口座の残高も、わずか80万円という有り様だ。

そこで、どうしたのか。僕たちは、このような特異な点をすべて利点として宣伝し、自分たちをビジネス教育界の完全なる「珍獣」としてアピールすることにしたのだ。大学が学究的ならば、こちらは実用性を強調する。大学が一般経営学に重点を置くならば、こちらは起業家精神に重点を置く。大学が大規模で、画一的で、顔が見えない存在ならば、こちらは学生中心で、柔軟で、打てば響くような存在になるために最善を尽くす。

これまでにない特異な存在として自分たちをアピールし、次に心に響くようなビジョンを示した。製品――僕たちの場合、スクールで提供する講座にあたる――の詳細については敢えて語らなかった。その代わり、「創造と変革の志士を育てる」ことによって自分たちがいかに社会に貢献したいのかというメッセージを送った。

アップルも過去にこれと同じようなことを行っている。1997年、スティーブ・ジョブズが同社に復帰し、経営を立て直そうとした際のことだ。PCメーカー各社は、プロセッサーの速度やメモリーの容量といった退屈な技術仕様を列挙することによって、顧客を引き付けようと躍起になっていた。しかしアップルは、そのような何もかもを超越して、Macユーザーをジョン・レノンやボブ・ディラン、マーティン・ルーサー・キングのような「いかれた奴ら、はみ出し者、反逆者、トラブルメーカー」の域まで引き上げることを約束したのである。

メッセージが固まったら、次はそれを発信する必要がある。ここでの僕のアプローチは、きわめて実際的だ。つまり、利用可能なあらゆる形のメディアを活用するのである。1992年当時、僕たちはダイレクトメール・キャンペーンを実施し、ビジネス誌に広告を出し、メディアに取り上げてもらえるように最善を尽くした(僕たちが珍獣だったからこそ、メディアは喜んで記事を書いてくれた)。特に効果のあった普及活動の1つは、MBAのフレームワークや理論に関する一連の書籍を出版することだった。現時点で、シリーズ累計売上は150万部近くに達している。

インターネットが登場すると、僕たちはウェブサイトを作り、オンライン・マガジンの制作を始め、ブログも立ち上げた。ウェブの発展に応じて、FacebookやTwitterなどのソーシャル・メディアにも進出した。僕たちが主催するカンファレンスやセミナーを放送するために、専用の動画ストリーミング・サイトも開設した。さらに僕は昨年、日本が直面するさまざまな社会・経済・政治問題を扱うテレビ番組(BS-TBS「ニッポン未来会議」)の司会まで務めた。

メディアは宝くじのようなもの。どの本や記事、ブログ記事、動画、テレビ番組が大きな影響力を持つのかをはっきりと予測することはできない。だからこそ、利用可能なあらゆるメディアを積極的に活用することで、人々とつながる可能性を高めるのが理にかなっているのだ。

とはいえ最終的には、口コミこそが最も効果的なマーケティング・ツールである。だから僕たちは、自分たちの評判を広めてくれるような、満足した顧客のコミュニティを作りたいと考えた。そして、それを実現するために、教育界ではきわめて異例の制度を導入した。つまり、サービス保証制度である。僕たちのビジネススクールでは学生全員に対し、受講した講座に満足できなかった場合には、受講料を全額返金することを約束した。

ユニークで志の高いメッセージをさまざまなプラットフォームを通じて発信するのに加え、自らブランドアンバサダーを買って出てくれる満足したコミュニティ――僕はそれをファンと呼ぶ――を作り出せば、あなたのブランドはきわめて良い位置に付けるだろう。

正直言って、このような「Xの7つの秘訣」や「Yのための8つのヒント」といった類の記事は、あまり書きたくはなかった。LinkedInにはその手の記事があふれているため、アプローチ全体がかなり陳腐でつまらないものであるかのように見えかねないからだ。だが、少なくとも1度は挑戦したほうがいいと考え直した次第である。

僕はこの記事で、コーポレート・コミュニケーションとコーポレート・ブランディングに関する個人的な経験から、4つの原則を導き出したことを伝えたかった。

もちろん、僕たちに効果のあった方法が、あなたの国のあなたのビジネスに、必ず効果があるとは限らない。あなたはどんな経験をしてきただろうか? ぜひ紹介してほしい。

(Photo: shutterstock / Victor Correia)

この記事は、2014年5月20日にLinkedInに寄稿した英文を和訳したものです。

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