G20もG8も忘れよう。G1について考えよう 

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前回は、「静かなる革命」がどのようにして理念の力だけで社会を変えることができるのかについて書いた。その際、G1サミットについて簡単に触れたが、G1サミットは、さまざまなステークホルダーが一堂に会するカンファレンスであり、日本を再活性化させるために役立つアイデアやリーダーを育成する場となっている。

今回は、G1のアイデアがどのようにして生まれ、また、このプロジェクトが過去数年間でどのように進化し、規模と影響力を拡大させてきたのかについて、さらに詳しく取り上げたいと思う。

まずは、僕がG1サミットを立ち上げた理由から説明しよう。
これは単純な話だ。G1の原点は、2007年9月に中国の大連で開催された、世界経済フォーラム史上初の「サマーダボス」まで遡る。

ある小さな会合の席で、僕は世界経済フォーラム(WEF)の創設者であるクラウス・シュワブ博士に対し、極めて単刀直入な質問をした。「WEFは中国サミットとインドサミットを主催しています。でも、なぜ日本サミットがないのですか」と。

シュワブ博士の答えも同じくらい端的だった。僕の記憶では、WEFにはこれ以上の年次イベントを主催できるだけのリソースがないのだといった趣旨のことをシュワブ博士は述べた。そして、「あなたが日本で始めてはどうですか」と提案してくれた。

僕はシュワブ博士を大いに尊敬しているので、その言葉を文字通りに受け取った。そして2009年2月、史上初の全3日間のG1サミットを日本の福島で開催したのである(「GLOBE(世界)が1つになる」の略である「G1」という名前は、G8やG20のような狭く排他的なグループ分けとは対照的な、世界全体は1つに結ばれているという考え方を表現している)。

ダボス会議と同様に、僕たちも多種多様なステークホルダーに参加してもらうよう気を付けた。

過去5年間のG1の参加者は次の通りである。

政界や政府の重要人物。現在の総理大臣の安倍晋三氏と、安倍内閣の閣僚2人のほか、市長8人、知事8人、多数の省庁の公務員など
日本の新世代デジタル企業(楽天、グリー、ディー・エヌ・エー)のCEO
・ NPOで活動する社会起業家
・ オリンピックの平泳ぎで金メダルを獲得した北島康介選手のような優れたアスリート
・ 茶道、演技、ミュージアム・マネジメントなどのさまざまな分野の文化人
・ 新聞、テレビ、雑誌などで活動する世論形成者
・ 2012年にノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥氏、安倍首相の構造改革路線の立案者である竹中平蔵氏などのスター学者

発足から5年間で、G1サミットは単一のカンファレンスから、G1 Global(英語によるカンファレンス)、G1経営者会議(執行役員以上のビジネスリーダー向けカンファレンス)、G1新世代リーダー・サミットという一連のイベントを擁する、変革に向けた本格的な運動へと進化を遂げた。2014年からG1地域会議G1ベンチャーも立ち上げる予定だ。

上記の定例イベント以外の場でも、変革に向けた勢いを高い水準で維持するために、G1の参加者たちは8つの専門的な「部会」(国会議員、公務員、学者などから構成される)を結成している。これらの部会は年2回、それぞれの分野の行動宣言を策定・実施するために、自主的に会合を行っている。

例えば国会議員たちは、以下の5つの明確な目標を掲げた行動宣言を策定した。

1. インターネット選挙運動を解禁する
2. 総理大臣を含む大臣が国会会期中に海外へ渡航するのを妨げ、日本の国際外交の障害となっている時代遅れの法律を改正する
3. ねじれ国会による政治の停滞を打開する
4. 一票の格差を縮め、圧倒的に人口の多い都市部よりも農村部の票の重みが大きくなっている現状を是正する
5. 米国で一般的な議員立法を活性化させ、法案を提出する政治家を増やす

喜ばしいことに、国会議員たちが設定した上記の5つの目標のうち、最初の3つはすでに達成された。

他の部会の行動宣言も同じように成功すれば、G1の縦割り部会は非常に大きな変化を日本にもたらすことになるだろう。

各部会が重点的に取り組んでいるその他の領域としては、日本の国際的な「ソフトパワー」の開発と、ダイバーシティの推進、特に、指導的地位に就く女性を増やすことが挙げられる。

「ソフトパワー」に関しては、2020年オリンピックの東京開催を確保したことが、国全体としての重要な成功の1つと見なされている。政府が日本のクリエイティブ産業の輸出を促進するために、5億ドルのクールジャパン・ファンドを設立したことも同様である。このファンドのアイデアが初めて浮上したのは、G1サミットの場だった。

ダイバーシティに関しても同様に素晴らしい成果を上げるべく、G1のコミュニティーでは、指導的地位に占める女性の割合を2016年までに30%まで増やすことを目指している。これは、2020年までに30%という政府の目標よりも意欲的な数字である。

G1の運動は、個人が自分の人生を変えるきっかけにもなっている。同族経営の百貨店の5代目社長を務めていた伊原木隆太氏は、G1に参加したことにより、岡山県知事選挙への出馬を決意することになった。2012年10月に同県知事に当選した伊原木氏は今、日本を良い方向へ変えるために直接的に頑張っている。

さまざまなステークホルダーが参加するG1の公開討論会は、日本と世界の舞台の両方で重要な役割をいずれ果たすことになる――あるいは、すでに果たしている――新世代のリーダーを育てているのである。

だから僕はこう言うのだ。G20は忘れよう。G8も忘れよう。G1について考えよう――「グループは1つ、世界は1つ」、と。

 

(Photo: G1 Summit 2011)

※この記事は、2014年3月13日にLinkedInに寄稿した英文を和訳したものです。

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