11年目のダボス 

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先週、世界経済フォーラム(WEF)が開催されたダボスから日本へ帰国した。僕がWEFに初めて参加したのは2004年のことだ。つまり、今年で11年目の参加になる。これを機に、過去10年間でダボス会議がどのように変化したのかを振り返り、考察してみることにした。

その結果、5つの重要な変化に気付いた。

1.ダボス会議の規模は拡大し、活気も増大

ダボス会議の物理的な規模が拡大した。コングレス・センターは拡張された。参加者が増え、セッション会場や通路は常に混み合い、街中以上に賑わっている。それと同時に、メディアに取り上げられることが増え、会議の世界的な認知度も高まった。現在、ほとんどのセッションは、インターネットでもライブストリーミング配信されている。

2.スポットライトは常に移動し、今年は日本が主役に

2006年から、ダボス会議では中国が話題の中心になった。中国に関するセッションは軒並み満員だった。やがて2009年になると、インドにスポットライトが移った。インドからは大規模な代表団が派遣された。「インディア・ナイト」が開催され、建物には色とりどりの装飾が施され、ディスコではボリウッド・ミュージックが流れた。誰もが「信じられないほど素晴らしいインド(Incredible India)」に大きな期待を抱いていた。

ところが今年、インドと中国はあまり目立たなかった。日本が注目を浴びる番が来たのである。日本の安倍晋三総理大臣が招かれて会議の基調講演を行い、世界経済フォーラムの創設者であるクラウス・シュワブ教授が開会式で「日本は復活した(Japan is back)」と宣言した。会議の締めに行われたグローバル・エコノミック・アウトルック(世界経済の見通し)のパネルでは、イングランド銀行、欧州中央銀行、国際通貨基金のトップとともに、日本銀行の黒田東彦総裁が登壇した。

日本のエスタブリッシュメントがダボス会議を真剣に受け止めていたのは確かだ。日本政府は今年、5人の大臣を代表団として派遣している。経団連次期会長と経済同友会代表幹事も会議に参加した。

この熱意は決して一方的なものではない。2004年当時、日本のセッションに参加する人の数はわずか10人か15人ほどだったと記憶している。それに対し、今年行われた「日本の再構築(Reshaping Japan)」に関するディスカッションは満員で、キャンセル待ちの列ができるほどだったのだ。

3.テクノロジーとインターネットが注目の的に

ダボス会議ではITへの注目がますます高まっている。今年は、ウェアラブル・テクノロジー、MOOCs(大規模公開オンライン講座)によるオンライン教育、サイバーセキュリティ、ソーシャルメディアの影響力などが議題として取り上げられた。スピーカーの中には、ヤフーのマリッサ・メイヤー氏、セールスフォースのマーク・ベニオフ氏、シスコのジョン・チェンバース氏の名もあった。先に述べたように、多くのイベントはライブストリーミング配信されたほか、内容をツイートしてシェアすることを参加者に推奨するイベントもあった。

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4.テーマと参加者の幅が拡大

ダボス会議では従来、ビジネスと政治に重点が置かれていた。しかし今年は、文化や精神の面がこれまでになく大きく扱われた。マット・デイモン氏が参加し、文化のアワードを授与された。日本の仏教僧も参加し、瞑想に関するセッションまで行われた。非営利活動とビジネスの世界の間で第3の道を見出すべく尽力している社会起業家も数多く参加した。

規模の拡大に伴い、ダボス会議は参加者層を広げ、従来よりも多様な国の人々を歓迎するようになった。現在、世界経済フォーラムはまさに世界の縮図であり、OECD諸国に加えて、アジア、中欧、アフリカ、南米からも参加者を迎えている。WEFはまた、グローバルシェイパーズ(リーダーの素質を備えた30歳以下の優秀な若者に機会を与えるプログラム)とヤング・グローバル・リーダーズ・フォーラム(「大胆、勇敢、行動的で、企業家精神を備えた」40歳以下のリーダー900人からなるコミュニティ)を通じて、世界の若者にも働きかけている。

5.問題の規模が拡大し、難易度も上昇

ダボス会議では近年、解決が困難な問題が数多く取り上げられてきた。若者の失業や所得格差のような社会問題、気候変動などの環境問題、そして、水、エネルギー、食糧の安全保障に関する全問題である。いくら議論しても、有効な解決策はいまだ生まれる気配はない。

つまり、どういうことか?

過去10年間でダボス会議は規模を拡大し、影響力を強め、参加者の幅を広げてきた。それと同時に、これまで以上に大きな問題に取り組もうとしている。

例えば、気候変動、貿易自由化、社会の分断という問題はあまりに大きく、既存の世界的な統治機関の手には負えそうにない。IMFも、世界銀行も、G20も、国連も、WTOも、現代の大きな課題の前では無力に見える。

この空白を埋めるべく、WEFはさまざまなアジェンダ・カウンシルからなるネットワークを立ち上げた。各カウンシルは、今日の最も差し迫った課題について新たな考え方を提示するという任務を課せられ、世界中の多種多様な分野の専門家から構成されている。

どのような分野を取り組んでいても、カウンシルの多くは最終的に同じような結論に達する。それは、非常に大きな問題を解決するためには、適切なリーダーシップの存在が不可欠であるということだ。

昔ながらのリーダーシップのモデルは時代遅れになった。
リーダーシップの新たなモデルが必要とされている。
したがって、WEFのあらゆるカウンシルの中でも、リーダーシップの新モデルに関するグローバル・アジェンダ・カウンシルは、きわめて重要な役割を担っている。

このカウンシル(実を言うと僕もその一員だ)では、複雑でグローバル化し、テクノロジーによって動かされている今日の世界において、リーダーたちがどのように変化すれば効果を上げることができるのかを模索している。
このカウンシルが出す結論は、大統領や大臣から、CEO、各部署のリーダー、自営業者に至るまでの、僕たち全員に関わるものである。

次回の記事では、リーダーの新たなモデルのあるべき姿について僕たちがどう考えているのかを伝えよう。

それまでの間、あなたの考えも聞かせてほしい。

あなたはダボス会議にどのような印象を抱いているのだろうか。そして今、リーダーにはどのような資質が必要とされていると思うのだろうか。

この記事は、2014年2月3日にLinkedInに寄稿した英文を和訳したものです。

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