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生い立ちとキャリアの関係

投稿日:2014/06/11更新日:2019/09/20

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「あなたの真のモチベーションとは何ですか」と最近、MBAプログラムのある学生から尋ねられた。「あなたを駆り立てている要因が生い立ちにありますか」と。

そう質問されて、僕はアマゾンに関するブラッド・ストーン氏の最近の著作『ジェフ・ベゾス 果てなき野望』を思い出した。同書でストーン氏は、アマゾンの創業者であるジェフ・ベゾス氏が――オラクルのラリー・エリソン氏、Appleのスティーブ・ジョブズ氏と同様に――養子であることを指摘している。この3人にとっては、養子であるという要因が世界一の企業を作ろうとするモチベーションになっているのかもしれないとストーン氏は推測している。

さらに身近なところでは、日本の通信大手ソフトバンクは最近、アジアに6社しか存在しない時価総額1,000億ドルを上回る企業の1つになった。ウォール・ストリート・ジャーナル紙によれば、ソフトバンクのCEOである孫正義氏は、日本の「貧しい在日韓国人の家庭」で育ったという。このようなマイノリティの出身であることも、孫氏を成功に駆り立てる要因となったのだろうか。

僕の場合は間違いなく、生い立ちに基づく心理的要因の影響を受けている。僕の起業家としてのモチベーションの源は、2人の祖父に直結しているのだ。

説明しよう。

僕の片方の祖父は政治家だった。もう片方の祖父は工学の教授で、日本の産業・エネルギー政策の原案を作るうえでも主導的役割を果たした人物だった。

2人目の祖父は、僕が9歳のときに飛行機事故で亡くなった。死後、祖父の友人たちが協力して祖父の遺稿・追悼集をまとめた。この本で明らかになったのは、70代で亡くなった祖父がその全人生を、27歳のときに記した自分の個人的なミッション・ステートメントに沿って生きたということだった。

『吾人の任務』と題したこの遺稿集をきっかけに、僕は考えるようになった。僕の人生の任務とは何なのだろうか、と。

そして、一時は片方の祖父の影響で政治家になろうかなどとも考えたが、結局はもう片方の祖父の足跡を追い、京都大学の工学部へ入学した。

ところがあいにく、工学がどうしても好きになれない。

そこで、ビジネスの世界に入ることを決意した。まずは、日本屈指の商社である住友商事に就職した。世界の動きやビジネスの仕組みに関する感覚を身に付けるには格好の職場だった。仕事は楽しかったが、まだどこか物足りなかった。

数年後、僕は会社の留学制度でMBA取得のためにハーバードへ入学した。自分のキャリアのあるべき姿を理解し始めたのはこのときだった。

起業家クラブで聞いたスピーチに感銘を受け、応援してくれるクラスメートに鼓舞された僕は、とうとう自分の任務を見つけた。それは、起業家になることである。何かをゼロから作り上げるという考えに僕は魅了された。そして突然、自分の可能性が信じられるようになった。人は自分の志を見つけると、内側から膨大なエネルギーが湧いてくるのだ。僕は、自分にできないことなどないと思うようになった。

(余談だが、成功した起業家に共通する特徴の1つは、他人の意見よりも自分の考えを心の底から信じるという点だ。例えば、スティーブ・ジョブズ氏を思い出してほしい。彼は、「消費者は自分たちが何を求めているのか自覚していない」という理由で、市場調査を実施しようとしなかった)

いずれにしても、僕は自分の志を固めた。それは、「ヒト」「カネ」「チエ」の3つの要素の組み合わせに基づいた相互連鎖的な生態系を創り、社会に創造と変革を行うことである。

そして僕は幸運にも成功を収めてきた。今では、「ヒト」(日本でNo.1のビジネス・スクール)、「カネ」(ベンチャー・キャピタル)、「チエ」(出版、カンファレンスの主催など)を手がけている。

振り返ってみれば、僕は結局、片方の祖父と同じように、志に基づいた生き方をすることを選んだのだ。選んだ分野は異なるが。

僕は試行錯誤を経て自分の志を見つけた。そうした過程はほとんどの場合、すんなりとは進まない。僕は今、自分の志を見つけるにはどうすればいいのかと尋ねられたときは、次の3つの基準を満たすものを探すよう勧めている。

自分の志とは
1.他の人よりもうまくできること。
2.わくわくすること。
3.世界をより良い場所にするために役立っていると感じられること。

あなたはどうだろうか。自分の真のモチベーションについて考えたことはあるだろうか。それは、自分の心の奥底にある何かだろうか。それとも、尊敬する家族の誰かだろうか。あなたは何歳のときに自分の志を見つけただろうか。それとも、まだ探している途中だろうか。

あなたの道のりについて聞かせてほしい。僕は常に、他の人の人生におけるモチベーションや志について知りたいと思っている。
(Photo: marekuliasz /shutterstock)

この記事は、2014年1月9日にLinkedInに寄稿した英文を和訳したものです。

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