米国の魅力が失われた? 

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“America is losing its allure(デフォルト危機で対米投資の魅力が半減)”という容赦のないタイトルの記事が最近、「グローバル・ポスト」に掲載された。この記事で筆者は、「米国政府が債務不履行のチキンレースを繰り返している」ために、米国に対する外国人投資家の「熱が冷めつつある」ことを指摘している。

悲しいことに、僕も筆者と同意見だ。

米国はかつて、紛れもなく世界のリーダーだった。もちろん、あらゆる国と同様に、米国もそれなりに問題を抱えてはいたが、それでもなお世界の精鋭を引き寄せる経済大国であり、正義、理想主義、フェアプレーなどの価値観を信奉するモデル国家だった。僕自身は幸い、ハーバード・ビジネス・スクールに通うことができた。その経験に触発されて、僕は起業を志した。日本に戻って僕が最初に行ったのは、グロービスを立ち上げることだった。

だが最近、米国はどこかおかしい。

例えば政治だ。日本ではつい最近まで、麻痺状態にあった日本の政治体制を「決められない政治」と呼んで非難していた。ところが最近では、世界中の人々が、政治の麻痺状態を米国特有の問題と見なしているのである。日本では2013年7月、自民党が参議院選挙で圧勝し、衆参両院の支配権を握ることになった。その結果、真の「決められる政治」を見事に体現する形で、安倍晋三首相の改革プログラム「アベノミクス」が急速に展開されている。

米国の実行力の低さは、シリア問題でも浮き彫りになった。オバマ大統領は当初、化学兵器の使用が「越えてはならない一線であり、越えた場合は軍事介入も辞さない」と言明していた。ところが、いざその一線が越えられると、それに続いたのは果断な軍事行動ではなかった。オバマ大統領は自分の発言をなかったことにしようと躍起になったのである。

オバマ大統領が10月にバリで開かれたAPEC首脳会議への欠席を決めたのは、政府機関の閉鎖によって環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に向けた交渉に深刻な遅れが生じ、米国自ら宣言した「アジアへの軸足シフト」が無意味になったからである(ちなみにAPECでは、中国が強い印象を与えるだろうと誰もが予想したのに対し、最も強烈な存在感を示した国は日本だった)。

オバマ大統領は就任して間もない頃、演説が苦手なジョージ・ブッシュ・ジュニアとの対照ぶりが特に影響し、雄弁家としての名声を得た。だが、オバマ大統領と安倍首相の最近の演説を比べてみれば、あなたは驚くかもしれない。安倍首相の演説のほうが明るく、心がこもっていて、力強く、内容がある。そう思うのは僕だけではないはずだ。

つい数日前、全く信じられないことが起こった。11月12日、中国とサウジアラビアが国連人権理事会の理事国入りを果たしたのだ。笑えるほど皮肉な出来事である。かつて人権という大義をあれほど熱心に推進していた米国は、このような茶番を食い止める意志を失ってしまったのだろうか。

僕は米国を尊敬している。米国本来の強みを信じている。そして何より、1人の日本人として、2011年に東日本大震災が発生した直後、米軍が「トモダチ作戦」と称して日本を助けに駆けつけてくれたことに深く感謝している。

以上のような理由から、僕は米国が目を覚まし、以前の姿に戻ることを心から願っている。
僕にとって米国とは、向こうがどんなに魅力を減らそうとしても、決して魅力が失われることのない国なのだ。
だから、少なくともその意味では、米国の魅力は失われていない。
さて、あなたはどう思うだろうか。

この記事は、2013年11月18日にLinkedInに寄稿した英文を和訳したものです。

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