・・・エッ、靴買いに行ったんじゃないの? 

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今回も私が以前から感じてきた女性にまつわる謎をテーマにしてみたい。それは、「なんで女性は靴を買いに行って服を買って帰ってくるんだろう」というものだ。女性読者の多くには「それの何が疑問なの?」という問いかもしれない。だが、男性読者(の多くは)は間違いなく、頷いてくれると思う。

男は黙って真っ直ぐ靴屋に行く(キリッ)

筆者が思い返しているのは、こんなシーンだ。読者男性諸君には同様の経験があるのではないだろうか?

女性:ただいま〜♪
男性:おかえり(ん?なんか嬉しそうだな)
女性:コート買ったの!すごく私に似合うんだよ♪
男性:えっ。だって、キミ、靴を買いに行ったんじゃなかったっけ?
女性:そうだけど、、、素敵なコートがあったから買ってきたの
男性:???(いや、それは最初に聞いたから分かってるし)
女性:何か変?
男性:(あかん、怒らせた。なにがいけなかったんだ、、、)

この場面での男のモヤモヤ感を女性読者に分かってもらう為には、もう幾ばくかの説明が必要な気がする。(というか、説明したい。させてくれ!)

男性の場合、「靴買いに行く」と言えば、「真っ直ぐ靴屋に行って靴を買う」。場合によっては、事前にどんな靴を買うかを調査し、どこで売っているか確認し、時間があれば、事前に該当する靴屋に電話してその靴がある事を確認した上で買いに行く。寄り道などせず、とにかく真っ直ぐ靴屋に行く。よしんば、靴屋に行ってみたら、サイズが合うのがなかった場合でも、

(1)別の靴を選んで買う
(2)よっぽど、気に入ったものがなければ諦めて「何も買わないで」帰ってくる
そして買えなかった場合は、内心結構傷ついている。

なのに。なのにだ。(あ、あかん。力が入ってしまった)女性は、靴を買いにいったはずなのに、靴を買ってこない。しかも、全然、関係のないコートなんてのを(・・・失礼、言い過ぎた。つい感情的に)・・・もとい、コートを買って帰ってきた。しかも、嬉しそうに。

そう。嬉しそうにだ!少し暗い悔しいという表情があれば共感できるのに、嬉しそうなんだ!(・・・また、感情的になってしまった)なぜ、この気持ちを女性は理解してくれないんだ!!!

「そんなことない。女性だって男性と同じだ」と言われるかもしれないが、証拠はあがっている。しかも、このコラムの凄腕編集長K女史が自白している。まさに、これを書いている最中にFacebookに書き込んでいたのだ。曰く、

歳とったのか、流行りの問題なのか、去年まで着ていたものが一斉に似合わなくなったので、「もう黒白グレー紺ベージュのクローゼットはやめる!」「今年はビタミンカラーを着る!!」と決めてちゃんとそのとおり買ってきたはずなのに、なんで袋あけたらこうなってんだ(と黒白グレー紺ベージュの服の写真)・・・ピンクとかオレンジとか黄色とか速攻、ネオン色の服、足しに行く!!

まさにこれこそが、間違いない証拠だ!(鬼の首をとったぞ・・・・フフフ)

でも、なぜこんなに違うんだろう。そして、私は、なぜこんなに、この話題になると感情的になるんだろう・・・その点は、後で追求するとして、まずはインタビューから関連する話を拾ってみたい。いつものように()内は、私の心の声だ。

女は出会いに「あっ!」となって、物を買う

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溜田:これはもしかしたら、お互いに(男性⇔女性)理解し合えないことかもしれないんだけど・・・なぜ女性はカバンを買いに行ったのに、別のものを買って帰ってくるのだろう、と。しかも男はそれに文句を言う。「なんでカバン買いに行くと言ったのに、カバンを買ってこないんだ」って。そういう場面、皆さんは経験したことありますか? そもそも、私がこんなことを不思議に思うこと自体、皆さんから見ると不思議なのかもしれないけど・・・

Kさん:私はありますよ。

Sさん:私もあります。

Kさん:出かけるってことは何かしら目的があって出かけるんだけど、私は衝動買いもすごくするし、「あれ、これって出会いかな」って思っちゃう。しかも“出会い”って思うと、「これは今買わないと損。今しかない」って思っちゃう。

溜田:「期間限定」とでも書かれていたら、男でも買いたくなってしまうかもしれないけど・・・でもそう書いてなくても買いたくなっちゃうという意味?

Kさん:書いてなくても。「これ、私しか見つけてないかも!」と思っちゃう。(あ、それ、うちの奥さんもよく言ってる気がする。「このコート、私のために作られたみたいにピッタリなの」って言ってたこともあったな)私しか見つけてないから、今が買い時!って。(その思い込みがすごい)

溜田:Sさんも頷いているってことは、同じような経験があるの?

Sさん:あります。今日はスカートが欲しいなって思って試着室に入って、店員さんが「このトップスも」って言って、「ちょっと着てみようかな」と思って着て、「あっ、似合うじゃん」って。「スカートの方は思っていたのと違ったから、このトップスだけ買って帰ります」っていうのはあります。(さすが売り手は女性の心理を読んでいるな)

という具合だ。やはり、これは女性に共通の傾向かもしれない。キーワードは「あっ!」という感覚だ。その意味するところは、思いもよらなかった出会い、予定しなかったものとの運命、といった感じだ。

もう少し、聞いてみよう。

Kさん:決めたものしか買わない人もいるとは思うけど、なんか、その場のノリがあるんですよ。お店の人が「これ、凄く使い勝手がいいんですよ」とか「似合ってますね」とかなんとか言うと、「ここまで来て買わないっていうのはカッコ悪い」とか思っちゃうんですよね。(お、それは少し分かる)だからすっごい盛り立てられちゃう感じ。

溜田:男も見栄で買うことはあるかも知れないね。盛り立てられちゃって。

K女史:んー。あとは、なんか多分、ここにいるメンバーは皆、自分でそこそこ稼いでいるからかもしれないけど、素の状態として足りないものがそんなにないんですよ。どうしても必要なものがあるから買い物に行くシチュエーションっていうと、黒のパンプスが同時に何足もヘタッてしまったとか、トイレットペーパー買い忘れていたとかぐらいで、それ以外のところでの欠乏感っていうか物欲はあまりない。ないんだけど、出会いがあると「とりあえず買っておくか」。

Kさん:「使えそうだから」って感じで、結果、紺、ベージュ、黒ばっかり買っちゃうんですよね。よく見てみると、ボタンが1個か2個違うとか、黒いカーディガンもこっちは長いとか。周りから見ると全部一緒の服を着てるように思われているんだけど、自分の中では違うっていうか。前の会社で「毎日、同じスーツだな」って言われたんですけど、いやいや、昨日は1つボタンで、今日は2つボタンです、みたいな(笑)。(それ、私も見分けられないかも)

K女史:そうそう。私もクローゼット開けると、黒、白、グレー、紺、ベージュ、以上!ってなってる。(ここでもカミングアウトしてたんだ。納得)

「買いに行く」ではなく「買い物に行く」。そこに隠れた前提がある

ここまでの会話を通じて少し見えてきたのは、女性にとって「買わなければいけなくて何かを買いに行く」ときと、「買いに行くとき」は違う、という事だ。

「買わなければいけなくて何かを買いに行く」・・・対象のものを買いに行く
「買いに行くとき」・・・・・・・・・・・・・・・・・何かを買う

という感じだろうか。その2つに照らして男性の買い物の仕方を考えると、男性は(そうじゃない男性もいるのかな)「買わなければいけなくて何かを買いに行く」という事になる。言い換えると「男性の買い物」は「目的買い」となろう。

だとしたら、女性は何なのであろうか?ここで、別のグループのインタビューにヒントを見つけたので、そちらも紹介しておこう。

溜田:マーケティングに関係することで聞きたいことがあって・・・。男性は「カバンを買いに行くよ」っていったら、カバンを買いに行って買えないとイラッとするんだよね。だから、女性がカバン買ってくるって言って、洋服を買ってご機嫌で帰ってくると「なんで?」ってなっちゃう。

Yさん:あー、でも、カバンを買いに行って洋服を買ってくるっていうのはよくありますよ。

Fさん:イラっとくるんですか?(えっ、それって疑問なの?この感じ、伝わっていないんだ)

溜田:だって、なんでカバン買ってこなかったのって。(だから、イラっとくるでしょう)

Yさん:だって、良いカバンがなかったんだから。なければ買わない。(うっ、それは分かる。さすがYさん、論理的だ)

溜田:要するにショッピングが楽しいってことになるのかな。僕らがショッピングする時にはカバン屋に一直線に行って帰ってくる。でも女性はショッピングして、カバン屋に行くと言いながら行かないこともある。(そこが、理解できないんだけど)

Yさん:それはコミュニケーションの違いですよ。(えっ?コミュニケーション?買い物じゃないの?)男性は狩りに行く。目的を持ってそれを獲りに行くために出かけるから、いかに良いカバンを手に入れたか、いかに自分のイメージに合ったものを手に入れられたかに達成感を得ていると思うんですけど。で、私もそういう買い方をすることはありますが、(あるんだ)女性の場合は、買い物に行くというよりショッピング、時間そのものを楽しんでいるのであって、もしかするとカバンは口実でしかない。外に出ていろいろものを見たいのであって、だからコミュニケーション上はとりあえずカバンと言っていますが、カバンでない可能性もあると思います。

Aさん:「カバンが欲しいから買い物に行こうかな」っていうシンプルな発想だと思うんですよね。(え?シンプル??)カバンが欲しいからカバンを買いに行くんじゃないんですよ。カバンが欲しいから買い物に行くんです。買い物なんです。カバンを買いに行くんじゃないんですよ、買い物に行くんですよ。(おぉっ、なんか違う事を言っているぞ。買い物に行く?)

買い物の中で、ウィンドウショッピングとかしながら、「カバンが欲しいと思っていたけど、そういえばコートなかったな」とか。そこでもいろいろ情報処理しているんですよ。カバンを見に行ったつもりだったけど、「そういえば昨年に買った黒のスーツがそろそろ傷んできてるから新しいスーツ買ったほうがいいかな。カバンに5万払うならスーツを買った方がいいかな」とか。

自分のワードローブを考えながら、「あのスーツを買うとしたら、インナーも違う形を揃えたほうがいいし、あっ、そういえば、今度、友達の結婚式あったな。年齢的にそろそろ膝下丈のほうがいいかな」とか。近々に起こるスケジュールとか、自分の変化とか、わーっとストーリーで考えながら、で、いろいろ考えた結果、「自分にご褒美で指輪買っちゃおう」とかなるじゃないですか。(えっ?ならないってば。すごいな)でも、それはいきなり買ったんじゃなくて、自分の頭の中では、いろいろと処理しているんですよ。

インタビューの内容は、まだまだ続くのだが、ここまでを整理するとしたら、大体こんな具合だろうか。

キーワードは「○○を買いに行く」のではなく、「○○を買いに行く(のを口実にして)、買い物に行く」という違いにあるわけだ。

仮説10:男性は、目的物を手に入れる事を、買い物と呼ぶ「目的型」
仮説11:女性は、買い物に行くという行為そのものを、買い物と呼ぶ「プロセス型」

ということだ。すなわち、「買い物をする」という言葉は、男女で意味するところが違うわけだ。

こういう違いは、男女間にかかわらず、実は至るところで起こっている。思考技術の世界でよく言われるところの(第2回でも登場した)“隠れた前提”というものだ。双方が持っている暗黙の認識や根拠が異なるため、どこまでいっても話が噛み合わない。Yさん言うところの「コミュニケーションの違い」もここから来る。

そこでようやく、自分がこの問題になると、なぜ感情的になるのかが理解できた。毎度、こんな会話が脳裏に蘇ってくるからだ。

私:買い物に行くの?一緒に行こうか?
妻:嫌。一人で行く。あなたと行くと、すぐ怒るから
私:だって、時間かけ過ぎだろう。
妻:そういうこと言われるから、嫌なの
私:・・・・・

どうもうまくいかなかったのは、「買い物」に対する意味合いの違いに起因するのではないだろうか。だとすれば、解決策の一つは女性の側の“隠れた前提”に自分が寄りそうことだろう。ただ、一つ、問題がある。果たして自分は、女性の考える「買い物」というものに、耐えられるのだろうか・・・

そうだ、まずは「買い物」しにいこう!もちろん、プロセス型の「買い物」だ。ひょっとして、好きになれるかもしれない。そうすれば編集長のK女史よりも、「買い物」上手になれるかもしれない。そうなれば、今度こそ返り討ちにしてくれる!

(・・・はいはい。まぁ、やってみたらどうですかぁ。by “K女史”)

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