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茨城県笠間ツアー~芸術家・起業家の気概に触れる旅

投稿日:2014/02/13更新日:2019/08/20

水戸出身で弊社の代表室にいる川崎アツシが、笠間焼き発祥の地である古民家が売りに出されているとの記事をみつけ、「何とかならないものか」とツイッターで呟いた。それを見て、僕が「先ずは視察に行きましょう」と応じて、笠間ツアーが急きょ決定した。ランチタイムに話題となり、その場にいた代表室メンバーも、笠間訪問に同行することになった。

取り急ぎ、高校の同級生で、陶芸研究の第一人者でもある学習院大学教授の荒川正明氏にメールを送り日程調整を行い、同じく高校の同級生で県庁観光物産課の橘川栄作氏にもコンタクトして、ツアー日程が2月11日の建国記念日となった。

朝10時過ぎに水戸駅集合だ。先週末の大雪の影響で、千波湖は雪で囲われていた。まさに水戸八景の一つである「仙湖暮雪」の風情だ。この湖の向こうに、僕の実家がある。

千波湖を半周して、我が実家を訪問した。小中高と過ごした白い家に隣接する雑木林は、全て取り崩されていて、宅地となっていた。何よりも問題なのは、家の真横に高さ4mにも及ぶコンクリートの壁が建っていたことだ。この地区は風致地区に規定されており、明らかに条例の趣旨に反する。今、両親を含め近隣の住民が訴訟中なのだと言う。水戸市は、ぜひしっかりと対応してもらいたいものだ。

実家を後にして、北関東自動車道で一路笠間市へと向かった。笠間芸術の森にある茨城県陶芸美術館に到着した。この美術館一帯は、屋外コンサートも開催できる文化的公園として綺麗に整備されていた。だが、本日は、寒くて公園散策どころではなかった。

茨城県陶芸美術館の前でグロービスの代表室スタッフとともに、パチリ。この美術館には、波山の作品が30品以上ある。今は、ガラス展を行っている。茨城県には、カガミ・クリスタルがあるので、ガラス芸術にも定評がある。

茨城県陶芸美術館の板谷波山の常設コーナーにて、高校の同級生とパチリ。波山研究の第一人者の学習院大学教授の荒川正明氏、県庁観光物産課参事兼映画「HAZAN」と「桜田門外の変」のプロデューサーである橘川栄作氏とともに。

板谷波山は、茨城県下館出身の20世紀最高の陶芸家だ。陶芸家として初めて、文化勲章を受賞した。陶芸家としてダントツの波山と、画家としてダントツの横山大観が実は、同じ茨城県出身で、同じ頃に芸大に入ったのは、偶然であろうか。茨城が生んだ両巨匠は、小細工を一切せずにそれぞれに絵画、陶芸の王道を歩み、そのダントツの地位と評価を手にした。水戸っぽのまっすぐな精神の現れであろうか。

笠間稲荷神社の境内の隣にある「むぎとろ量深」にて、昼食をとることにした。笠間市の乾杯条例に従い、地元の酒と笠間焼きのぐい飲みで乾杯した。どうやら、ビールをグラスで乾杯するのは、条例違反らしい。「山桜桃(ゆすら)」を造っている地元笠間の須藤本家は、日本最古の酒蔵で、且つ茨城県の法人第一号と言われている

昼食後は、「むぎとろ量深」の隣にある笠間稲荷神社にお参りした。日本三大稲荷として有名だ。芸能と商売の神様だ。歌舞伎座の隣にあるのも笠間稲荷だと言う。ちょっとほろ酔い気分だ。笠間は、東京から80kmぐらい。観光資源が本当に豊富だ。

笠間焼発祥の地である、久野陶園の茅葺きの母屋の前でパチリ。この久野陶園が売りに出ているという情報を得て、今回の笠間ツアーを企画した。陶芸研究家の荒川正明氏と新進気鋭の若手陶芸家の戸田浩二さんともに。

この茅葺屋根の家は、江戸時代のものらしい。古くからある窯も見学させてもらった。大切な歴史建造物だ。是非良い形で保存、活用してもらいたいものだ。

映画「永遠のゼロ」の舞台となった筑波海軍航空隊記念館に向かった。ここは戦後、友部病院として使われ、4年前に空き家となった。昨年末から映画「永遠のゼロ」がきっかけとなり、記念館として公開することになった。本年4月まで一般公開中。本日、入館者1万人達成!

この筑波海軍航空隊記念館は、県庁職員の橘川栄作氏が中心となりプロジェクトが組成され、実現した。かつて滑走路だったこの記念館の前は、今は広大な駐車場や空き地となっている。記念館の中では、ビデオが上映されている。

筑波海軍航空隊の建物の中。この階段は、映画「永遠のゼロ」にも登場する。この中には、零戦の飛行士がタイムトリップして存在していた。飛行士は、日立市出身の現役大学生のボランティアだ。

「永遠のゼロ」で、宮部久蔵が、大石賢一郎をお見舞いした病室。この記念館は、今年4月まで。この建物は、取り壊される予定だったが、撤回された。だが、今後の使用目的は未定だと言う。現在茨城県が所有している。「永遠のゼロ」美術館としてでも、何とか良い形で保存してほしい。

可愛い雪だるま発見!

記念館を後にして、新進気鋭の若手陶芸家である戸田浩二さんの工房に向かった。山道を抜けて、景色がとても良い一軒家だった。「良い芸術家は、良い環境で創作活動をしている」とは、荒川正明氏の言葉。戸田さんが造られた湯のみ茶碗で一服。 素材を活かしたシンプルな作品だ。

戸田さんの工房と窯を拝見したあとに、金澤大介さんが所有するギャラリー金澤美術に向かった。笠間焼の陶器類が、美しく陳列されていた。金澤さんは、43歳の陶芸ギャラリーの起業家だ。金澤さんや戸田さんの様な若い人々により、新たな芸術が笠間から生まれているのを実感できた。とても頼もしい。

そうこうするうちに、日が暮れてきた。笠間ツアーを終日堪能したことになる。10年ほど前に笠間に訪問した際には、笠間日動美術館や笠間城跡、やきもの通りやギャラリーロード、そして、西念寺に行った記憶がある。西念寺は、浄土真宗の宗祖・親鸞が20年間も過ごした草庵を、寺格化したものだ。この日も一日かかった。

茨城の観光地トップ5は、大洗、水戸、笠間、ひたちなか(海浜公園)、つくば、だと言う。茨城は、観光資源が豊富な、首都圏に近い、大いなる田舎だと思う。

水戸に戻り、南町にある「かずこ」で、笠間の地酒を楽しみながら、大盛りのアンコウ鍋をペロッと食べた。高校時代の同級生、会社の同僚と楽しい時を過ごす。ほろ酔い気分で、スーパーひたちで上野へと向かった。

今回は思いがけず、水戸一高の同級生&グロービスの代表室メンバーによる笠間ツアーが実現した。思い立って、たった10日間での実行力だ。郷土を知り、陶芸に理解を深め、仲間と親交した旅だった。

僕は、絵画は、岡野博さんのコレクションをしている。今後は、陶芸も板谷波山や戸田浩二氏等少しずつコレクションしていこうかと思う。美意識が高く研ぎ澄まされた絵や陶器に囲まれていると、心が豊かになるものだ。

板谷波山は、貧乏しながら、苦労しながら、91歳に到るまでの生涯、黙々と作品を創り続けてきた。波山は、郷里の筑波山から命名したと言う。

「芸術家が芸術を創造しつつある間は、一個の芸術である」。(ショーペンハウアー)

板谷波山は、人間国宝の受賞を辞退したと言う。自らを職人としてではなくて、芸術家として位置付けていたからであった。陶芸を、職人芸から芸術に昇華させてきた、その気概(水戸っぽ魂)を感じる。まさに芸術家の生き方そのものが芸術なのだ。

起業家も同様に、まっ白いキャンパスに、自由自在に絵(事業)を描く、芸術家だと思う。僕は、職人としてではなくて、芸術家(起業家)として新たな創造を行いたい。だが、もしかしたら、一番の芸術的作品というのは、創られた芸術(事業)ではなくて、その人の生き様そのものなのかもしれない。

2014年2月12日
一番町の自宅にて執筆
堀義人

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