日本の国際化を!留学生倍増、大学2言語・春秋入学体制へ! 

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初稿執筆日:2013年12月27日
第二稿執筆日:2015年12月22日

 近年、世界各国で、特に中国、インド、韓国において海外留学生が増加傾向である中、日本では、海外留学する学生の数が減少している。グローバル人材の育成が叫ばれる中、海外に留学する日本人の数は2004年の8.3万人をピークに減少し、OECDの最新統計(2012年統計)によれば6.0万人となってしまっているのが実情だ(なお、これでも対前年比2637人(約5.0%)増である)。また、受け入れている外国人留学生もアメリカ72.3万人、イギリス41.6万人、オーストラリア35.6万人などに比べ、日本は13.8万人と国際的に見ても少ない(出典:文部科学省資料)。

 日本人の英語力も、世界的に見て低い水準であり、アジアにおけるTOEFLスコアの国別ランキングでは28位(69点)と、他のアジア各国、1位のシンガポール(99点)、2位インド92点、7位韓国82点などと比べて低い。さらに、以前にも述べたが、大学の国際化対応が遅れているため、大学の国際的な評価も低く、世界の大学ランキングでは、東京大学が43位、京都大学が88位などと低位に留まっている。

 今後の日本の成長のためには、グローバルに活躍できる若者をさらに増やしていくことが必要不可欠であり、そのためにできることを国家戦略として日本の総力を挙げて行う必要があろう。

1. 日本人の海外留学を12万人に倍増させよ!

冒頭で述べた通り、アジア各国で海外留学生数が増加傾向の中、日本の海外留学者数が減って来ていることは、日本の未来を考えると憂うべき現実だ。

 海外留学を倍増させるために政府、企業、学校・大学のそれぞれがあらゆる努力をする事が必要だ。

 文部科学省は、2020年までに大学生の海外留学12万人(現状6万人)、高校生の海外留学6万人(現状3万人)への倍増を目指し、「トビタテ!留学JAPAN」を進めている。この取組では、民間企業からの寄付も集め、官民協働でグローバル人材育成コミュティの形成を目指している。まさに、積極的に進めるべき施策だろう。

 政府ができる最大の努力は奨学金への予算措置の拡充だろう。文部科学省では、上記の「トビタテ!留学JAPAN」の2015年度予算で100億円を超える予算措置とおよそ100企業が協力した基金の設置で、大学生や高校生の海外留学への奨学金支援を拡大する方針を取っており、とても評価すべきことだと思う。この基金の創設によって給付型奨学金の支給対象者を今の3倍強の約3万6000人に増やす計画で、基金を運用・拡充し、さらに対象を拡大していくことが望ましい。

 企業ができることは実は多い。一番インパクトが大きいのは、募集要項に「留学経験者を優先的に採用する」と一言入れることだろう。このことにより、多くの学生がこぞって留学することになろう。また、採用活動を大学4年生の4月以降にずらすことで、3年生の時に海外留学に出られない弊害を除くことができる。政府と産業界が連携して就職活動の時期の是正を行うべきだ。

 学校・大学も学生の海外留学を積極的に促進する必要がある。多くの高校では、海外留学した時に履修は単位として認定されない。従い、留学後に1年留年して、1つ下の学年にて再度学習することになるのだ。筆者は、高校時代に豪州に留学して、帰国後1つ下の学年に配属となる。僕の同級生は皆卒業済みで、とても寂しい思いをした。さらに、1年下の水泳部の後輩と同級生になる。彼らも戸惑うし、僕もやりにくかった。

 こういう高いハードルがあると、高校の留学は進まない。だが、高校時代の留学が一番、精神的にも、文化的にも、英語的にも最も良いと経験的に思っている。ところが、驚くべきことに先進的な学校であるはずの慶應・早稲田の中等・高等部も、帰国後は留年をすることになるのだという。それでは大半の生徒が留学を躊躇するのも当たり前だ。

 大学においても未だに留年しなければ留学できない大学が多く、慶應や早稲田でも、学部によっては海外留学における取得単位が卒業単位に算入できないところがある。海外の学校との連携を強めて、海外留学における単位取得を卒業単位として認めることがとても重要だ。

 1年落ちるばかりか、高校生にとっては大学受験に不利になるために海外留学を躊躇するケースも多い。大学側が、大学受験で留学経験者を優先的に受け入れる制度を作ることも有効だろう。大学入試の募集要項にも、「留学経験者を歓迎する」と一言明記することを勧めたい。

 このように、企業・大学・高校が留学生を増やす努力をすることが肝要だ。グロービスでも率先垂範することにした。早速グロービス経営大学院の学生募集要項に「留学経験者を歓迎する」と一言明記することを指示するとともに、株式会社グロービスの社員採用募集要項にも、同様の文言を明記することにした。

2. 訪日外国人留学生を30万人に増やせ!

外国人留学生を積極的に受け入れることは、日本で活躍する優秀な外国人を増やすことになり、日本経済を活性化させる。また、帰国した外国人留学生も母国における親日派知識層を形成し、海外における日本のプレゼンス向上にもつながる。外国人留学生の受け入れ拡大は、日本の国益を大きく高めるために有用であり、国家戦略として大いに進めるべきであろう。

 残念ながら現在は、東日本大震災の影響もあって日本の外国人留学生の受入数は減少し、13.8万人(2013年)となっている。一方で近隣諸国では外国人留学生獲得競争の様相を呈しており、中国は現在32.8万人と海外留学生の受入数は日本の倍以上だが、それを2020年までに50万人とする目標を立てている。また、韓国も現在は6万人程度だが、2020年までに20万人を目標とするなど、国を挙げての活発な誘致活動が繰り広げられている。

 政府は文部科学省が「外国人留学生30万人計画」として外国人留学生を2020年までに30万人にするという目標を掲げている。実際、直近1年では受け入れ留学生数は増加傾向にあり、最新の2014年の数字は、前年比1万6010人(9.5%)増の18万4155人となっている。今後もより積極的に進めるべき施策だ。

 目標実現のためには、次以降の項目で述べるように、英語の教員、英語による授業を増やし、英語だけで卒業できるカリキュラムを拡充するといった日本の大学の徹底した国際化、春・秋入学の導入による学事歴の解消を行うべきだ。

 加えて入学手続きに関しても、アメリカの大学への入学手続きは、インターネットを通じてワンストップで便利に進められる大学が多い。日本の大学でもインターネットを通じた入学手続の簡略化を進めるべきであろう。

 グロービス経営大学院でも2012年度より、9月入学のフルタイムの英語の大学院を始めた。今まで2年間で50名以上の学生が、20カ国以上から集まってきた。「日本で学びたい、日本が好きだ、日本に住みたい」という層が確実に多くいることが理解できる。

 そのニーズに応えるためにも、留学生にとって魅力がある教育環境を整えることが重要であろう。教育のコンテンツを充実させ、ブランド価値を高め、卒業生の日本企業への積極的な就職支援などを通して、日本で教育を受けることの魅力度を高めていきたい。

3. 「大学の国際化」を徹底せよ!

日本の若者をグローバル人材に育成するためにも、海外からの留学生を増やすためにも必要なのは、日本の大学の国際化(英語化)を徹底することだ。

 「世界大学ランキング」で、東京大学が43位、京都大学が88位など、日本の大学のランクが低いことは既に述べた。このランキングでは、「教育」「国際」「産学連携」「研究」「論文引用」の5つの項目で評価されるが、日本の大学が低評価であるのは「国際」の指標である。例えば、2013年のランキングにおける「国際」(international outlook)の指標(100が最高値)では、東京大学が29.6、京都大学が27.5と極めて低い値であり、明らかに国際化(英語化)の遅れが原因だ。

 1)英語だけで卒業できるカリキュラムの編成を!

 慶應SFCやグロービス経営大学院では、原則英語による授業のみで卒業できるカリキュラムがある。そういったカリキュラムを各大学でも増やすことが必要だ。グロービスの場合には、原則全ての科目が英語でも単位が取れる。完全に、日英のどちらの言語でも学ぶことができるのだ。

 そのためにも、日本の大学において、優秀な外国人教員を積極的に採用するとともに、日本人教員の英語力を向上させ、英語による授業を圧倒的に増やすことが必要となる。

 さらに、海外大学との連携も強化していく必要があろう。海外大学との共同プログラムによるジョイントディグリーなどに加えて、高等教育先進国であるアメリカなどのトップクラスの大学のカリキュラムや教員等の教育ユニットを日本の大学へ誘致するような方策も検討し、日本の大学の国際化と教育機関としてのレベルアップを進めるべきだ。

 2)春・秋入学の併用を!

 海外留学の阻害要因としては、経済的負担や語学力の低さに加えて、学事歴のミスマッチが挙げられている。世界的には秋入学がスタンダードである中で、日本の大学が春入学のみであることの問題だ。これは日本から海外への留学の阻害要因であるだけでなく、その逆もまた真である。
 意欲のある学生が、学事歴の違いで就職等に支障を来すために留学を諦めるのは日本にとって国益を損なう事態といえよう。日本の大学は海外との学事歴のミスマッチ解消のため、春入学に加えて秋入学を本格導入し、学生の選択によって春・秋どちらでも入学・卒業可能とすべきだ。春・秋入学はグロービス経営大学院でも慶應のSFCや法学部でも既に導入されており、学生の選択の幅を拡げている。日本の他大学でもぜひ導入を進めてもらいたい。

 学生に選択肢を与えることで、海外留学を目指す学生は秋入学を選び、留学しやすくなるだろう。同時に、海外からの外国人留学生も学事歴の差異の解消で日本への留学がしやすくなるはずだ。実際、グロービス経営大学院の秋入学者のうち、96%は外国人である。春・秋入学を可能とすることで日本の大学の国際化はさらに進むはずだ。

4. 大学受験の英語試験をTOEFLにせよ!

TOEFLは、グローバル人材を育成する上で、重要な試験となっている。筆者もハーバードに留学する際に、TOEFLを猛勉強し、受験した。大学入試の英語試験に国際的に通用するTOEFLを活用したら、どんなに準備が楽であったかと思う。このTOEFLの教育は、100の行動48【文部科学2】においても既に述べた。それだけ重要だと思うから、再度論じてみたい。

 現在の大学入試における英語試験は文法や訳読に偏っており、実践的な英語力を測定する試験にはなっていない。また、いくら高校までの英語教育を実践的な英語教育に変えても、生徒の最大の関心となる大学入試で従来の文法・訳読型の受験英語が残ったままでは英語学習は変わらない。

 大学入試の英語試験にTOEFLを活用し、英語の選考をTOEFLのスコアに変更すれば、受験英語ではなく実用的な英語の習得を生徒が目指すようになる。さらに、生徒は年に何度も試験を受けることができ、一発勝負と言われる大学受験の弊害も是正することができるはずだ。

 大学にとっては試験開発、試験運営のコストも削減できるし、生徒にとっては、海外留学に直接使えるTOEFLを受験することで、海外留学に向けた負担が軽減し、海外留学へのハードルが下がるはずだ。

 国内の受験者数は年間約60万人であり、大学入試へのTOEFLの活用には試験会場や採点体制などの運営上の課題もあろうが、ぜひとも進める施策と言えよう。

 BS番組「ニッポン未来会議」の第4回目のテーマは、「ニッポンの若者」だった。ニッポンの若者に望むことは、世界で活躍することだ。是非ともご視聴頂き、大いに世界に飛び立って行って欲しい。そのためにも、国家、企業、大学、高校など総力で、留学生を増やす機運を生み出していきたい。

 まさに、「ニッポンの未来を決めるのは、あなたたちだー!」である。

http://globis.jp/article/282

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