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世界で唯一個人で出資した韓国ザイオネックス社の日本進出

投稿日:2013/11/29更新日:2019/08/20

本日、韓国ザイオネックス(Zionex)社の日本初セミナーが開催された。僕は冒頭の挨拶で、以下を述べた。

「ザイオネックスは、僕が(グロービス以外で)世界で唯一個人として出資し、世界で唯一取締役に就任している会社です。13年前に、僕が38歳の時に、ソウルで30歳前後のMITのPh.D. 3人と出会った。3人は、MITで使ったテクノロジーを使い、製造業を効率化・最適化するソフトウェア会社を創りたい、と夢を膨らませていた。その時僕は、日本でワークスアプリケーションズが成功したように、彼らが韓国でも成功することを直感した。

当初は、設立したばかりのエイパックス社との合弁のベンチャー・キャピタルからの出資を念頭に置いていたが、合弁パートナーのアラン・パトリコフ氏(コラム:伝説のベンチャーキャピタリスト、アラン・パトリコフ氏)が、YESと言ってくれず、グロービスからの出資の道は閉ざされてしまった。

そこで、僕が個人として出資をすることになった。実はそれ以来、ベンチャー・キャピタルとコンフリクトがあるので、一社たりとも個人では投資をしていない。韓国であれば、それほどコンフリクトはなかろうという気持ちがあった。それでザイオネックスは世界で唯一の僕が個人で出資する会社であり続けた。

同社はその後成長した。その成長のプロセスで、僕は良きメンター兼株主としてサポートし続けた。気がつけば筆頭株主となり、3名の創業者と4人で約8割以上の株式を持つに到っていた。
http://www.zionex.co.jp/

ザイオネックスは今や、韓国の大手製造業の多くにソフトウェアを納入し、LGやサムスン等の韓国製造業躍進の秘密兵器になっている。恐らく企業向けパッケージソフトウェアの会社として欧米企業以外で成功したのは、人事系の日本でのワークスアプリケーションズと製造業向けの韓国のザイオネックスだけだろう。地道な成長に拍手を送りたい。

ザイオネックスが軌道に乗ってきた頃、僕から『韓国ばかりでなく、日本の製造業のシステム化のお手伝いをしてよ』とお願いしたところ、日本進出が決まった。日本法人を創る際に僕は取締役に就任した。グロービス以外で初めて取締役に就任することになった」

そして、本日のセミナー開催へとつながったのだが、僕はこのセミナーの冒頭の挨拶をこう締めくくった。

「ザイオネックスの3人の共同創業者には、一度も嘘をつかれたことも裏切られたこともない。とても真面目で、信用できる人達だ。是非貴社でも、製造業の効率化・最適化を図る上でも採用をご検討ください」

そして、本日のセミナーの共同主催者であるプライスウォーターハウスクーパーズのプレゼンがあり、ザイオネックス株式会社(日本)の代表取締役の藤原玲子さんによるプレゼンがあった。そして休憩をはさみ、いよいよ本日の目玉である事例紹介だ。

この事例紹介のために、わざわざ韓国からサムスンとLGの担当者が来日している。正午前に表敬訪問を受けた後に、一緒にランチをすることになった。予約したランチ会場に向かう途中に韓国料理店があったので、「入ってみる?」と聞いたら、「ぜひ」と言ったので、一緒に石焼ビビンバを食べた。結局、予約はキャンセルすることになった。スミマセンm(__)m

さて、話を戻そう。ザイオネックスの日本初セミナーで、サムスンの事例を基にサムスンの強みが語られた。スピーカーは、ザイオネックス本社の代表取締役のユン・ドンシック氏だ。「APSというソフトウェアで生産、在庫拡充、需要管理システムを同期化、生産販売計画もシステム化し、GOCという組織で、グローバル販売―生産―購買―物流を統合して運用する。そして週単位で生産販売会議を開催している」と言う。

ザイオネックスの話を聞いていると、韓国企業は購買、製造、販売のシステム化にとても熱心なことが理解できる。一方日本は生産技術は優れているが、それらを統合するシステム化はできているのだろうか。恐らく社内で独自のシステムを作り込んでいるのであろうが、それではコストや汎用性・拡張性で劣る気がする。

ザイオネックスの凄いところは、生産に関わるシステムを「T3(ティキューブ)シリーズ」としてパッケージ化しており、それらを様々なニーズに応じてクライアントに提供できるところだ。生産スケジュール管理、需要予測販売計画、生産計画及びスケジューリングの最適化、材料必要計画(MRP)のソリューション等があり、それをニーズに応じて選択し、組み合わせて提供している。汎用性があり、拡張性があるので、コスト的にも優位である。

やはり、日本の製造業の担当の方々にザイオネックスの存在を知ってもらい、活用して世界で勝って欲しいという思いが強くなってきた。

そして、いよいよセミナーはフィナーレを迎えた。最後の挨拶は、プライスウォーターハウスクーパーズのパートナーの韓国人女性のヤン・ヘヨンさんだ。まだ若い。来日一年だが、日本語で頑張って挨拶をしている。

「なぜ韓国企業が強いのか? それは、1997年のIMF危機以降に意識が変わったからだ。以前よりもっとシステム思考になり、グローバル志向となり、グループ全体の視点で考えるようになった。ザイオネックスを使って、日本企業の競争力強化の手助けをしたい」
彼女はこう締めくくった。

創業13年での日本への進出。筆頭株主としては歓迎したい。日韓関係が難しい時期だからこそ、こういう草の根の交流が重要になるのであろう。日本での成功を祈念する。

2013年11月28日
一番町の自宅にて執筆
堀義人

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