現実を直視した安全保障政策の確立を! 

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初稿:2013年6月7日
第二稿:2015年5月26日

2013年4月、北朝鮮は日本海側の発射基地に弾道ミサイルを配備するとともに、2007年以降停止していた原子炉を再稼働するとの宣言を行った。これらの行為は6カ国協議と国連決議に明確に違反する行為であり、同国の政治情勢に鑑みるといつ事態が変わってもおかしくない極めて危険な状態であると言える。日本は、こういった不安定で危険な国を隣国に持つということを再認識しなければならない。

北朝鮮の不安定さの増大に限らず、日本が存在する東アジア地域の安全保障環境は現在その厳しさを増している。中国は日本の尖閣諸島への挑発のみならず、ベトナム、フィリピンとの間でも領有権紛争を引き起こしながら海洋権益の拡大を指向している。急速な軍の近代化もあって、域内の安全保障環境を不安定にし、日本の脅威となっている。

一方、北東アジア地域の平和と安定を維持する存在であった米軍のパワーが相対的に後退しているという事実も、日本の安全保障にとって厳しい現実である。私たちはこうした冷徹な事実を直視して、如何に日本の平和と安定を確保していくかを考えなければならない。

日本は第二次世界大戦後、防衛については基本的に抑制的な姿勢を維持してきた。しかし現実は甘くはない。私たちの隣国は容赦なく自国の権益を拡大しようとしているのだ。私たちはそろそろ、自分の国は自分で守るしかないという現実を直視し、国の防衛という課題から目を背けず、新時代の安全保障政策に正面から取り組む必要がある。

そういった観点から、今後取り組むべき「行動」について以下の提言を行う。

1. 国家の安全保障戦略の策定を!【済み】

日本には、国家の安全保障戦略が存在しない。防衛力整備に関して、防衛大綱と中期防が策定されているが、米国が公表しているような「国家安全保障戦略」は存在しないのだ。日本には、1957年に定められた「国防の基本方針」と1987年の閣議決定(専守防衛、軍事大国にならない、文民統制の確保、非核三原則のいわゆる四方針)が、国家の安全保障と防衛に関する基本方針として存在するのみであり、その後の改訂はなされていない。

しかし、日本が専守防衛を定めた冷戦時代と異なり、今や世界の安全保障環境は大きく変化し、いかなる国家も一国のみでは平和や安定を維持できなくなっている。日本も日米同盟のみに依存した「一国平和主義」を続けることは不可能だ。

私たちは、「一国平和主義」を捨て、平和を積極的に創る国家として、東アジア地域と世界の平和に貢献する国家となるべきである。そのことが翻って日本の平和と繁栄にも直結するからだ。

このため、制定以来改訂されていない「国防の基本方針」の改訂を行い、積極的に世界の平和構築に貢献する国家としての新たな安全保障戦略を政府として定め、広くかつ根強く国民と国際社会に対して発信することが必要である。

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2. 集団的自衛権の行使を認め、国益を守り、世界の平和に貢献せよ!【一歩前進】

日本は現状において自国を自国のみで守る能力を保持していない。例えば、弾道ミサイル防衛においても米国のSEW(Shared Early Warning、早期警戒衛星)情報がなければ、システムは機能しない。核兵器も保有していない。この現状において、日米同盟が日本の安全保障の基軸であることは言うまでもない。

これだけ重要なパートナーであり、現状において国を守るために無くてはならない同盟が日米同盟であるにもかかわらず、日米は軍事的にもイコール・パートナーとはなっていない。

たとえば、日本防衛事態に至る以前の段階で、ミサイル発射に備えて日米共同オペレーションに従事する米艦に攻撃が仕掛けられた場合に、これを自衛隊が防護することは今の憲法解釈では認められない。また、弾道ミサイル防衛において、日本のイージス艦が米国領土に向かう弾道ミサイルを撃ち落とすことも、従来の憲法解釈では認められない。

憲法論からスタートして「これはできる」「これはできない」という議論はもうやめるべきだ。そうではなく、そもそも日本の国益のために何が必要かを考え、現実を直視し、日本の国益を守るために政府として正面から集団的自衛権の行使を認めるよう憲法解釈を改めることを求める。

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3. 国際平和協力に積極的に参加できる体制を!【一歩前進】

世界の安全保障の環境が大きく変化した現在、日本は積極的に国際貢献を果たす必要がある。国連の国際平和協力活動への参加は2007年の自衛隊法改正により自衛隊の本来任務となり、実際、日本はこれまでカンボジアPKOを皮切りにイラクやインド洋への派遣といったPKO以外の任務にも参加するようになった。しかし、世界における国際平和協力活動のニーズが変化し、破綻国家の再建までもが課題となった現在において、日本の国際平和協力の基本原則であるPKO 参加5原則は、もはや時代の流れに適応できていないと言えるのではないか。

PKO参加5原則は、1992年に国際平和協力法が制定された際に、国連PKOミッションの形態をもとに作られたものであり、1)停戦合意、2)受け入れ同意、3)中立性の3つの原則は、紛争当事者に該当する明確な主体の存在を前提としている。さらに、4)上記前提が崩れた場合には撤収することが出来ること、5)武器の使用は、要員の生命等の防護のために必要な最小限のものに限られること、である。

しかし、脆弱国家や破綻国家が活動対象の場合、その主体自体が存在しないことがある。

破綻国家の復興といった「国づくり」は、むしろ日本が得意分野として積極的に国際貢献すべき分野である。防衛以外の分野、たとえばNGOとの連携やODAの効果的な運用も含めて、破綻国家や脆弱国家の再建、大規模自然災害支援など、単なる平和維持活動ではなく、平和創造のための文民両方の協力を行うのだ。

したがって、日本は、これまでのようにPKO参加5原則に基づいて個別の事案ごとに特別措置法をその都度制定して自衛隊の派遣を決めるという方法を改め、国際平和協力法を全面的に改正し、国際平和協力に関する包括法を制定し、タイムリーで積極的な自衛隊による国際協力活動への参加と破綻国家の再建等を含めた幅広い国際協力を可能とすべきである。

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4. 海外における自衛隊の武器使用基準の見直しを!【一歩前進】

2013年1月に起こったアルジェリアの邦人人質拘束事件は痛ましい事件であった。この事件を受けて、政府は災害や騒乱などに巻き込まれた在外邦人の陸上輸送を可能にする自衛隊法改正案を閣議決定した。この改正案の成立は切に望むところである。(2013年11月成立)

しかし、今回の改正では、諸外国と比べて極めて制限されている武器使用基準の緩和は見送られてしまった。

武器使用基準に関しては、国連平和維持活動協力法でPKOに参加する要件として「要員の生命保護のための必要最小限の武器使用」とされ、2001年の法改正で「自己の管理下に入った者」や「武器、弾薬などの防護」のために武器が使えるように基準が一段階緩和された。しかし共同で任務に参画している他国軍への攻撃に自衛隊が反撃することや、離れた場所にいる文民を保護するために駆けつけて武器を使うこと(駆けつけ警護)は認められていない。

このことは、活動に参加する自衛官に多大な負担と行動の制約を与えている。今後、日本が国際協力活動への参画を拡大する方向と合わせ、極めて厳しい武器使用基準も国際的なスタンダードに合わせて改めるべきである。

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5. 国民的な憲法論議を!

防衛に関する「行動」を考察していくと、最後は憲法9条の問題に突き当たる。世界の安全保障の環境が大きく変化した現在、いかなる国家も一国のみで平和を維持することは不可能となっている。日本もいつまでも「一国平和主義」を続けることなど不可能だ。私たちはそろそろ冷徹な現実を直視し、戦力を放棄し、交戦権を否定する理想主義に頼ることなく、自ら自国を守り、かつ世界の平和に貢献する普通の国家として、憲法9条の改正を国民、メディアを含めてタブー無く議論すべき時に来ているのではないか。

尖閣諸島における毎日の様に発生している中国による領海侵犯。竹島を不法に占拠されたままの状態。北朝鮮の核武装とミサイル発射能力。これらの現実を直視した上での、冷静な憲法改正及び防衛論議が必要とされている。

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