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議論をさばく(12)さばきの基本動作(11)結論づける

投稿日:2012/10/24更新日:2021/10/08

議論が進み、会議も終盤にさしかかってきた時間帯、ここでファシリテーターが最も活躍すべき瞬間が訪れます。“終わり良ければすべて良し”という訳ではないですが、様々な議論をどうまとめ、結論づけるかによって、議論の成果や参加者の満足度が大きく左右されるのは確かです。今回は基本動作の最後である「纏(まと)める」即ち、「結論づける」ことについて考えてみたいと思います。

到達点を確認し、行動につなげる

到達点を確認するいろいろなことを話し合っていると、ついつい結論が不明確なままになってしまったり、本来決めるべきことが漏れたままになってしまったりします。そこで、この段階でまず意識すべきは、当初設定した「議論の到達点」と現状を比較し、得るべき結論が出たのか?参加者の認識や意欲などは目指す状態になったのか?を確認することです。

ときには当初設定した到達点に至らない場合もありますが、その場合でも、どこまで何が決まり、どういう段階までは行ったのか、そして、この後に何を決め、どこまで進めることが必要なのかを明確にすることが肝要です。

行動に繋げる一応の結論は出ていても、参加者それぞれが会議後に何をするのかがはっきりしないままになっている、もしくはその認識が参加者で共有できていないことも多いものです。ビジネスにおいて、議論すること自体は目的ではなく、議論の結果として各自が行動を起こすことが重要ですので、ここをしっかりその後の「行動」を具体化することが必要です。

ですから、議論の最後だけでなくそれぞれの議題の終了時など各所々々で、そこでの結論をできるだけ明確、具体的にし、議論の後に何をどうするのかを確認するように心がけると良いでしょう。この際、特に効果的なことは「決まったこと」と「決まっていないこと」を峻別して示すこと、そして「誰が」「いつまでに」「何をするのか」を明確に表現し、参加者に確認することです。

たとえば、「ではAさんが次回の会議までに、今日決まった内容について具体的な実行案を作成する。それとともに、決まらなかったXの論点について、B部署と相談し、あわせて実行案に織り込んで、次回の会議で再確認することにしましょう」といった感じです。これは単純なことですが、ついつい「判っているはず」と思って結論を明示することを省略したり、行動して欲しい本人への確認を怠ってしまうことが多いものです。

さらに、ファシリテーターが全てまとめて言うだけでなく、「では、今の議論を踏まえて何をするか、Bさん、確認のために纏めていただけますか?」といった形で、行動すべき本人に話してもらう、議事録等を担当する人に確認し、不明確・具体的でない点が無いか確認するといった方法も効果的です。

議論がまとまらないときにどうするか?

会議において、ときには当初予定した到達点に達しない、結論が出せない時もあります。結論が出せない理由は、意見が対立したままで合意に至らない、情報不足で結論が出せない、結論を出すために考えるべき論点が漏れており、十分な検討に至らない、などのパターンがありますが、ここで良くやりがちなのは、無理やり結論を出してしまうか、単に「では次回再度議論しましょう」として終わってしまうことです。

適切な結論を出すために本来必要な情報が不足しているのにも関わらず無理やり結論を出すと、誤った結論に多くの人がコミットして動き出してしまうなど多大な無駄が生じます。また合意に到達していないのに無理矢理押し切って結論を出しても、後に火種を残し、実行に向けて作業を始めたとたんに議論が再燃する、納得していない参加者が行動を起こさないといったことになりがちです。

一方で、「次回再度議論する」だけで終わらせてしまうと、次の議論の場で一から議論をやり直すことになり、参加者の時間と労力を大きく浪費してしまいます。

合意が形成されていない、結論が出ない状態でファシリテーターが目指すべき「結論」とは何でしょう?

それは、
・どんな論点に関して、どこまでは結論が出たのか
・合意と行動に至るために、残された課題は何か
を明らかにしたうえで、
・残された課題を解決し、次回合意に至るためには、【あとどのようなことが明らかになり、どういった条件が追加されれば結論に至ることができるのか?】
を明確にすること、言い変えれば、「条件付きの合意」を形成し、それを会議の結論にすることです。

より具体的には、
(1)合意できた論点と結論を確認する
(2)合意できていない論点を確認する
(3)合意できていない論点について、さらに論点を細分化し、どの部分は合意できていて、どこが合意できていないかを確認、共有する
(4)合意できていない論点について合意するためには、どういった条件が揃えばよいのかを考え、確認する
(5)合意に必要な条件を満たすための検討(上位や特定の部門に対する方針等の確認や詳細検討の実施、制約条件や懸念点への対応可否の検討、追加の情報収集等調査の実行など)を依頼し、次回、もしくは条件が明らかになった時点で報告してもらうよう依頼する
というステップを踏むことです。

たとえば、ある社内の仕事を外部にアウトソーシングする議論をしているとします。価格は安いがアウトソースできる業務範囲が狭いA社に発注するか、価格は高いが業務範囲は広いB社に発注するか決まらない、という状況を想定し、具体的に考えてみましょう。

まず、アウトソースすること自体の必要性、両社が提供するサービスの質については違いが無いこと、開始時期等については合意していることを確認(1)したうえで、あとは業務範囲と価格に関する点が折り合わないことを確認(2)します。そのうえで、業務範囲を具体的に洗い出し、それぞれさらに「アウトソースすべき」「アウトソースすべきでない」と全員が合意している業務は何か?そして「アウトソースすることの可否について意見が分かれている業務」に分解したうえで、どういった理由で意見が分かれているのかを確認します。そして、「アウトソースすることに関して懸念が表面されている業務に関して、A業務に関しては「緊急時の対応の迅速性が懸念」、B業務については「自社内でノウハウ蓄積が進まなくなる懸念」があり、そうした業務をアウトソースせずにA社に依頼するか、そうした業務も含めてB社に依頼するか意見が分かれていることを確認(3)します。そのうえで、「緊急時の対応」に関しては、対応に30分以上かからないのであれば問題が無いと判断すると決め、それが可能かアウトソース先に詳しく確認したうえで決めることにする。「自社のノウハウ蓄積」に関しては、その業務ノウハウの重要性が実際に高いのかどうか。現場と社内有識者に意見を聴いたうえで判断する。と決める(4)、(5)、といった感じです。

こうした「あと何が揃えば決められるのか?決めるために今後何をどのように進めるか?」を明確にして合意するという「条件つきの合意」は、極めて有効性が高く、かつ応用範囲が広いものです。単に「決まらないので次回また話し合いましょう」ではなく、「では、決め方を決めましょう」と提案することを常に意識してみてください。(続きはこちら

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