吉田素文 選: 『流れとかたち―万物のデザインを決める新たな物理法則』 

知見録執筆陣が選ぶ「2014年、この1冊」
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「変革ファシリテーション道場」などの執筆者であるグロービス経営大学院 教員 吉田素文が、「世界の原理」に立ち返って考えることの意義を綴ります。

『流れとかたち―万物のデザインを決める新たな物理法則』 ベジャン,エイドリアン/ゼイン,J.ペダー 著、 柴田 裕之 訳/木村 繁男 解説

変化が激しく、先が見えにくい時代に求められる思考姿勢は何か。幅広い知的好奇心を持ち、情報感度を高く保つことも重要だが、情報過多ともいえる現代においてより重要になってくるのは「原理原則」の理解。様々な現象の背後にある構造を捉え、どのような法則性によって物事が動いていくのか、結果に影響を与える変数は何かを理解する。そうした原理原則を理解する。そうすると様々な事象を「仮説」をもって観察することができ、そこから質の高い「なぜ?」という問いが生まれる。そしてその問いを具体的に深めていく。こうした「原理→仮説→検証」を繰り返していくことで、一見ばらばらに、予測不可能にみえることが、よりはっきりと、手ごたえを持って見えてくる。

「流れとかたち―万物のデザインを決める新たな物理法則」は、熱力学の専門家である著者が発見、提唱する「コンストラクタル法則」、「すべては、より良く流れるかたちに進化する」という原理原則を、一般向けに説明した著作。その範囲は植物の形や動物の身体構造、スポーツの記録など生物、稲妻や河川の形など無生物の形態、そして経済やグローバリゼーションなど様々な社会現象まで、まさに森羅万象に及ぶ。

この新しい法則の妥当性が、科学の世界でどのくらい受け入れられているものかは判らないが、世界を貫く原理を見つけようという思考のスケールの大きさ、細分化・専門化した世界に閉じこもるのではなく、広い世界に果敢に、オープンに挑戦する知的チャレンジは素晴らしく、そしてとても面白い。

マーケットの変化、技術の進化、企業間の競争・協働のあり方、組織における人と集団の振る舞いなど、ビジネスの様々な事象にもインスピレーションを与えてくれる。ときにはビジネス書を離れ、世界の原理から考えてみたい。

『流れとかたち―万物のデザインを決める新たな物理法則』、ベジャン,エイドリアン/ゼイン,J.ペダー 著、 柴田 裕之 訳/木村 繁男 解説、紀伊国屋書店(2013/08発売)

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